なんと1億匹以上!中国のペット事情最前線(前編)

はじめに

近年、中国のペット市場規模が急激に拡大してきています。日本のペット市場は現在、1.5兆円規模と言われていますが、中国ではすでに3兆円規模。日本の市場規模を超え、飼育されているペットの数は推定で1億匹以上にも及びます。

今、中国のペット業界に何が起きているのか。そして、今後どうなっていくのか――。今回は中国のペット事情最前線(前編)として、今回は中国ペット市場のリアルな現状をお伝えしていきます。

中国のペットの概要

なんと1億匹!

引用:petfairasia.com

近年、中国ではペットオーナーの数が右肩上がりに増えており、それに伴ってペットの数も急激に増えています。現在、中国で飼育されているペット数は犬が5,503万匹、猫が4,412万匹、合計すると約1億匹に及びます。

一見、多そうに感じられるかと思いますが、実は人口比から考えるとまだまだ少ない数字です。例えば、日本のペットフード協会が2015年~2018年にかけておこなった「全国犬猫飼育実態調査」によると、日本で飼育されている推定ペット数は約1857万匹でした。人口比では約15%ほどになります。また、アメリカでは人口比だと56%ほどにもなります。

一方で、中国の人口は約14億人。人口比で考えると、1億匹というのは7%ほどになります。こう考えると、中国のペット市場はまだ過渡期にあると言えるでしょう。

中国ペット市場のマーケット規模

フードデリバリーの大手「餓了麼(Ele.me)」がペット用の食事デリバリーサービスを展開したり、レストランやホテルなどがペットの「同伴ビジネス」を開始したりするなど、中国のペットビジネスはさらなる広がりを見せています。

引用:petfairasia.com

2019年の調査によると、中国ペット市場のマーケット規模は犬猫だけで2,024億元にもなり、現在のレートで3兆1,656億円に及びます。この数字は、前年度比で約18%増です。2020年には2366億元(約3兆7000億元)に拡大する見通しとなっており、今後5年間は同じような成長率を維持することが予想されています。

ペットの飼い主の実態は?

20代・30代がメイン

現在、ペットの飼い主の年齢層は90年代生まれの20~30代が中心になっており、80年代生まれ、70年代生まれと続きます。若い世代のほうがペットを飼っている比率が高いことから、将来的には95年以降に生まれた若年層が中心層になっていくことでしょう。ちなみに、男女比では圧倒的に女性が多くなっています。

引用:petfairasia.com

情報収集はウェブサイトではなくSNSから

中国はSNSの力が非常に強いことで知られています。それはペット市場も例外ではありません。

ペットに関する情報源として利用されるもので第一に挙がるのが、ミニブログサイトの「微博(ウェイボー)」です。そのほか、メッセンジャーアプリ「Wechat」、動画共有アプリ「Tiktok」なども情報源として上位に位置しています。

金融・株式市場も熱い視線を送る 

ペット専門ECがニューヨーク株式市場に上場

「波奇寵物(NYSE:BQ)」が発表している目論見書によると、現状のペット関連市場のシェアはアリババ傘下のECモール「天猫(Tmall)」と「淘宝(タオバオ)」が60%を占めています。そこに、4%弱を占める中国EC大手「京東商城(JD.com)」、そしてペット専門ECを手掛ける新興勢力「波奇寵物(NYSE:BQ)」が2%弱で続いています。

この「波奇寵物(NYSE:BQ)」が2020年9月30日、米ニューヨーク証券取引所に上場しました。高い成長が見込まれるユニコーン企業として期待を集めており、今回の上場によって1億ドル以上を調達すると見られています。

数百億円を集める動物病院グループ

ペット医療はペット業界の中でも特に注目されている分野で、2019年の資金調達額・資金調達回数の両方で最多を記録しました。

この好調さを物語るように、中国最大のペット病院グループである新瑞鵬寵物医療集団(New Ruipeng Pet Healthcare Group)、通称「新瑞鵬(New Ruipeng)」が、数百億円に及ぶ戦略的資金調達を成功させています。最大出資はテンセント、共同出資にはドイツの製薬大手「ベーリンガーインゲルハイム」を始めとした6社が名を連ねました。

中国ペット業界全体で見ると、2019年だけで合計54億1000万元(約850億円)が調達されました。今、ペット業界が人気の投資対象になっていることが分かります。

まとめ

現在、中国のペット市場は右肩上がりで急速な拡大を見せています。この拡大傾向は今後、少なくとも5年は変わらず続くことが予想されています。

その一方で、ペット文化が成熟しないまま急激に拡大していることで、様々な問題も起こり始めています。今年の9月下旬には、箱詰めにされた商品の犬と猫が物流倉庫で長時間放置され、大量死するという事件が発生しました。

中国のペット業界がどのように成長し、どのように成熟していくのか、今後の動向が注目されます。後編は下のリンクからご覧ください。

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