東南アジアアップデート2020「第2回・ラオス」

ラオス

近年、東南アジアが注目されています。中でもカンボジア・ラオス・ミャンマーの3か国、通称「CLM諸国」は経済成長著しく、多くの国や企業が熱い視線を向けています。そこで、今回は東南アジアアップデート2020シリーズ第2回として、ラオスを取り上げていきます。

ラオスはフランス植民地時代の名残と豊かな大自然が融合した国。まだまだ貧しい国ですが、ニューヨーク・タイムズによる『世界で一番行きたい国』の第1位に選ばれるなど、観光地としての存在感なども高めつつあります。しかし、多くの日本人はラオスについては国名ぐらいしか知らない人がほとんどだと思います。

では、ラオスとは一体どのような国なのか。詳しく見ていきましょう。

ラオスの特徴

ラオスのサマリー

ラオス人民民主共和国は東南アジアに位置し、タイとベトナムに挟まれた南北に長い国土を持つ国です。国土面積は237,955km2で、日本の3分の2ほどの広さ。人口は約710 万人で、埼玉県の人口とほぼ同じです。このうち、労働人口は400万人となっています。また、25歳~64歳の識字率は83.4%で、これはCLM諸国の中で最も高い識字率です。さらに、若い世代(15~24歳)での識字率は90%以上と非常に高い数字を記録しています。

人口の約半数に及ぶ53.2%はラオス族で、続いて11%のクム族、9.2%のモン族と続きます。その他、プータイ、タイ、マコン、カタン、ルー、アカなどの少数民族が存在。国民の6割が仏教(主に上座部仏教)、3割が台湾民俗宗教を信仰しています。

通貨は「LAK(キープまたはキップ)」、補助通貨単位は「att(アット)」で、1LAK=100att。日本円との比較だと、1LAK≒0.011JPY (1JPY≒89.04LAK)となっています。(2020年11月29日時点のデータ)

最低賃金は月130米ドルほどと、あまり高くありませんが、13.3%という高いGDP成長率を記録しており、これからの数年で大きくジャンプアップする可能性を秘めています。

ラオスの現状

ラオスは人口が少なく、労働者の数は限られています。しかし、識字率が高いので、ほかの発展途上国よりも質の高い労働者が多い印象です。また、外国事業に対する規制があまりなく、電力の供給も安定しているので、外国企業も参入しやすい市場です。

その一方で、2018年には政府主導の最低賃金引き上げが行われるなど、賃金コストの面での懸念要素があります。また、物流インフラがあまり整っていないので、原材料の調達などにも課題があります。

ラオスの社会情勢

労働力と雇用

前述したように、ラオスの労働人口はあまり多いとは言えません。にもかかわらず、多くの労働者がタイなどに出稼ぎに出ていることから、国内では労働者が不足気味になっています。そのため、失業率は1%未満の非常に低い数字を推移しており、さらに毎年減少傾向にあります。

賃金と経済環境

国内で労働者不足が起きていることを政府は問題視しており、その対策の一つとして2018年に最低賃金が引き上げられました。これにより、一部の労働者が帰国し、国内で従事するようになることを政府は期待しているようです。しかし、最低賃金が引き上がったとはいえ、出稼ぎ先のタイなどと比べるとまだまだ低いままです。これらのことから、ビジネスコストだけが上がり、出稼ぎそのものは減らないのではないのではないかという懸念の声も上がっています。

インフラ

ラオスのインフラはまだまだ未熟ではありますが、中国による積極的な投資によって改善されつつあります。中でも注目したいのが、現在建設中の首都ビエンチャン~中国国境ボーテンまでを繋ぐ鉄道です。JETROによると5月末時点で89.4%の進捗度となっていることが報告されており、完成予定は2021年です。なお、この鉄道は将来的にタイ・マレーシア・シンガポールにも接続する計画です。

ラオスでは検問所に払う手続き料金が高く、タイの検問所と比較すると約1.5倍。また、倉庫レンタル料に関してはタイの3倍です。それに加えて脆弱な輸送網事情も重なり、ラオスにある多くの外国企業が輸送コストの高さで苦しんでいます。この鉄道の完成によって輸送の負担が下がることが期待されています。

ラオスのデジタル事情

ラオスの通信事情

出典元:datareportal.com

ラオスのスマホ普及率は79%、インターネットユーザーは43%です。先進国などと比べると低い水準ですが、近年のGDP成長率から考えると、先進国並みに成長するのにさほどの期間はかからないでしょう。

 ラオスのSNS事情

出典元:datareportal.com

ソーシャルメディアのユーザー数は310万人で、これは人口の43%に及びます。また、2018~2019年の1年でユーザー数が12%増えており、非常に順調な成長を見せています。

ラオスで一番人気のSNSはFacebookです。13歳以上の56%、約290万人の人たちに対してリーチが可能です。なお、Instagramでは20万人、Twitterは16.7万人が利用しています。

 ラオスのスマホシェア

ラオスではアンドロイドが圧倒的に人気です。アンドロイドのシェアは71%、iOSは27%に留まっています。これは、iPhoneに比べてアンドロイド系スマホのほうが安価な製品が多いことが影響していると思われます。

出典元:datareportal.com

しかし、上の画像を見てもらえれば分かる通り、2019年と2018年を比較すると、アンドロイドのシェアが12パーセント下がっている一方、iOSのシェアが53%も上昇しています。今後の経済状況などによっては、数年で逆転現象が起きるかもしれません。

まとめ

ラオス政府観光局の公式日本語サイトには次のように記されています。

「かつてはインドシナの戦火に巻き込まれ、今もまたアジアの経済危機の影響をストレートに受けたラオスは、海外からの経済援助に頼っている。しかし、その中で暮らす人々の心は常に豊かでほほ笑みを絶やさない」

まさに人柄の良いラオス人の国民性を表す言葉ではないでしょうか。ラオスは「これからの国」であり、あまり重要視する企業は多くないかもしれませんが、ビジネスはどこまでいっても人と人との関係がすべて。ラオスという国の外見だけ見て判断するのではなく、国民性や文化などの中身も見て判断することが重要です。デジタル事情やインフラ事情などにも好感を持てる材料が増えていますので、今後が大いに期待できる国といえるでしょう。

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