東南アジアアップデート2020「第3回・ミャンマー」

ミャンマー

Myanmar

近年、東南アジアが注目されています。中でもカンボジア・ラオス・ミャンマーの3か国、通称「CLM諸国」は経済成長著しく、多くの国や企業が熱い視線を向けています。そこで、今回は東南アジアアップデート2020シリーズ第3回はミャンマーを取り上げていきます。

アウンサン・スー・チーさんの軟禁問題や、それらに関連して行われた経済制裁など、負の面がクローズアップされがちなミャンマーですが、実は非常にポテンシャルの高い国として知られています。では、ミャンマーとは一体どのような国なのか。詳しく見ていきましょう。

ミャンマーの概要

ミャンマーのサマリー

ミャンマー連邦共和国はインド、バングラデシュ、中国、ラオス、タイと国境を接する東南アジアの国です。国土面積は676,578 km2で日本の約2倍の広さを誇りますが、人口は約5,370 万人ほどに留まっています。ただし、労働人口は3,700万人という高い数字を保持しています。また、25歳~64歳の識字率は75.3%で、これはCLMの中では最も低い識字率です。

人口の3分の2以上、68%がバマル族によって占められており、続いて9%のシャン族、7%のカレン族と続きます。その他、ラカイン (4%)、 モン (2%)など、計135の少数民族によって国が構成されています。宗教については仏教(87.9%)が最も多く信仰されており、続いてキリスト教 (6.2%)、イスラム教 (4.3%)と続きます。

通貨は「MMK (ミャンマー・チャット)」で、1MMK≒0.079JPY(1JPY ≒ 12.64MMK)となっています(2020年11月29日時点のデータ)。また、補助通貨単位にpya(ピャー)があり、1MMK=100pyaですが、現在はインフレが進んでいるためにほとんど使われていません。

最低賃金は月80米ドルほどと非常に低く、CLMの中でも最低です。しかも、ラオスが月130米ドル、カンボジアが月182米ドルですから、ミャンマーの最低賃金は突出して低いということになります。ただし、GDP成長率は13.3%を記録しており、ラオスと並んで最も高い成長率です。カンボジアやラオスに比べて労働人口が3倍以上も多いということを考えると、ポテンシャルの高さはその2か国よりも高いと言えるかもしれません。

ミャンマーの現状

ミャンマーはラオスやカンボジアに比べて人口が多く、最低賃金も安いため、外国企業にとっては大きなメリットのある国です。その一方で、一部の業種では外資系企業は株式を100%保持できないなど、外国人事業者への規制が厳しいのがネック。また、識字率が低いことも、現地民を雇用することを考えると無視できないデメリットになっています。

また、ミャンマーは農家物や天然資源が豊富です。そのため、これらを必要とする業種にとっては利点がありますが、残念ながら物流インフラがあまり整っておらず、原材料等の輸送にコストがかかってしまうのが玉に瑕。また、電力が安定していないため、業種によっては予期せぬ停電で損害が発生するリスクなどもあります。

ミャンマーの社会情勢

労働力と雇用

2016年に建築基準法が修正されたました。これによって建設事業の再承認が必要となり、計222の高層ビル建設プロジェクトが停止しました。再承認されればプロジェクトは再開されますが、再承認までには1年程度の期間を要することなどから、多くの投資家は労働者を解雇せざるを得ませんでした。結果としてミャンマーでは2016年ごろから大量の失業者が発生。今後も増加していく見通しとなっています。

ちなみに、高層ビルの建設現場では約500人の労働者が雇用されています。そのため、222件のプロジェクトが停止するとなると、単純計算で11万1,000人もの労働者が失業したことになります。

賃金と経済環境

前述したように、ミャンマーはCLM諸国内でも最も最低賃金が低い国です。タイと比較すると、約4分の1という低価格帯を推移しています。しかし、2018年から法定最低賃金が引き上げられるなど、最低賃金は高まる傾向にあります。

また、GDPの平均成長率は13.3%という高水準を維持しており、CLM諸国やタイと比較しても一番高い成長率です。産業別で見ると第三次産業が最も多い40.3%を占め、第二次産業が35.6%、第一次産業が24.1%と続いています。

インフラ

三菱UFJリサーチ&コンサルティングが発表したレポートによると、現在のミャンマーはアジアのラストフロンティアとして期待されているものの、インフラの脆弱さがネックになっているのとこと。中でも最も深刻なのは電力インフラで、外資系企業進出の大きな妨げとなっています。

なお、鉄道、配電、都市開発などが一通り整備されるのは2020 年代後半になる見込みです。このことから、外資系企業が工場を本格的に進出し、輸出型工業で経済発展を加速させるに至るまでには、まだ10年ほどを要すると目されています。

ミャンマーのデジタル事情

ミャンマーの通信事情

出典元:datareportal.com

ミャンマーのスマホ普及率は126%。1人あたり1台以上を持っているという、非常に高い普及率を誇ります。その一方で、インターネット普及率は41%と低く、CLM諸国で最も少ない割合です。日本のスマホ普及率が2020年時点で151%、インターネット普及率が92%となっていることから考えると、まだまだミャンマーは先進諸国と比べると低い水準にとどまっていることが分かります。

ミャンマーのSNS事情

ソーシャルメディアのユーザー数は2,200万人で、これは人口の41%に及びます。2018~2019年の1年でユーザー数が6.6%増えており、比較的順調に成長していることが分かります。

出典元:datareportal.com

なお、ミャンマーではFacebookが絶対的な王者として君臨しており、13歳以上の国民の50%にあたる、約2,100万人の人たちが利用しています。Instagramが64万人、Twitterでは51万人ということを考えると、いかにFacebookが圧倒的かが分かると思います。

ミャンマーのオンラインショッピング事情

まだまだ発展途上国のミャンマー。それを象徴するデーターの一つが銀行口座の所有率です。銀行口座の所有率はたったの26%。クレジットカードの所有率に至っては僅か0.06%と無きに等しい数字になっています。参考までに、日本の銀行口座所有率は98%、クレジットカード所有率は68%です。

また、電子マネーアカウント所有率は0.7%、オンラインショッピングの経験者が3.6%となっており、スマートフォンの普及率の高さの割にはあまり普及していない印象です。

出典元:datareportal.com

まとめ

2011年の民政移管を受け、欧米諸国からの経済制裁が解除されたことで諸外国から注目されるようになり、今や「アジア最後のフロンティア」とも称されるようになったミャンマー。労働者のコストが低く、労働人口も多いため、外資系企業にとっては非常に価値の高い国です。

その一方で、インフラが整っていない、外資系企業への規制が厳しいといったデメリットもあり、一筋縄ではいかない国でもあります。しかし、二の足を踏んで傍観しているだけではフロンティアに乗り遅れることとなってしまいます。ミャンマーの今後を注視し、好機を見逃さないようにしましょう。

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