おもてなしの達人を目指そう「おもてなし規格認証」のご紹介

インバウンド需要

はじめに

コロナウィルスの第3波、第4波が世界中を襲うなか、始まったばかりのワクチン接種に期待が高まるところです。とはいえ、コロナとの戦いは今後も長期化することが予想されます。

このような状況下、新たな戦略で挑む観光事業者は多く、「ウィズコロナ」「アフターコロナ」を見据えた訪日ゲストへのサービスの強化として注目されるのが、日本のおもてなしです。

この記事では、組織を対象としたサービスの規格である「おもてなし規格認証2020」をメインに、個人が対象の規格「おもてなしスキルスタンダード」についても取り上げています。

「おもてなし規格認証2020」とは

おもてなし規格認証とは、日本経済の発展に不可欠なサービス産業において、提供したサービスにふさわしい評価が下されるよう制度化して認証するという仕組みです。

目に見えないサービス品質を「見える化」し付加価値として換算できるよう、政府の後押しを受けて民間の運用で創設されました。

サービス事業者に付与される「おもてなし規格認証 2020」には、レベルに応じて以下の3つがあります。

・おもてなし規格認証 2020 ★  (金認証)
・おもてなし規格認証 2020 ★★ (紺認証)
・おもてなし規格認証 2020 ★★★(紫認証)

おもてなし規格認証による効果

おもてなし規格認証によって、中小企業には様々な変革が生まれます。

  • 業務プロセスを継続的に改善するためのPDCA(Plan/Do/Check/Action)を促進
  • 働きやすい職場づくり
  • 従業員満足(ES)を起点とする従業員の定着
  • 新規雇用を実現

特に飲食業や小売業、宿泊業、旅客運送業などの観光関連のサービス事業者にとって、高品質なサービスの提供・維持・向上の促進と、下記の目標実現を可能にするものです。

  1. 付加価値経営の推進
  2. デジタルトランスフォーメーション(DX)の促進
  3. 新規雇用獲得と定着、維持

おもてなし規格認証での「サービス業務マネジメント規格・30項目」によって、サービス事業者は継続的改善のためのPDCAを推進しやすくなります。その結果、地域の企業が元気を取り戻すことができ、雇用も改善され、地域経済が活性化されるのです。

おもてなし規格の定義

おもてなし規格は4つのカテゴリで成立します。

出典:おもてなし規格認証「おもてなし規格」4つの定義より

サービスとは形のない目に見えないものですが、上記を体系的に充足させ形にしていくことで、サービスの見える化が実現します。サービスは、お客様へ提供されるサービスの内容とそのプロセスで構成されるものですから、様々なアプローチで“おもてなし”を実現できるのです。

また、おもてなし規格認証には「業務プロセス改善」認証フレームワークが用意されており、サービスの品質向上がしやすくなっています。規格項目ごとにカテゴリーやレベルが設けられているので、業務内容やプロセスに応じた改善策が見つけやすい仕組みです。

3つの認証タイプと手続きについて

おもてなし規格認証には3つのタイプがあります。各認証の定義は以下のとおりで、すべて認証機関による審査を伴う有償認証です。

★(金認証):お客さまの期待を超えるサービスを提供し、設備面や非属人的サービスにおいて一定品質を保つ事業者に付与される第三者認証です。下記「サービス業務マネジメント項目」のうち、更に細分化された「既に実施している取組」について15項目以上該当する必要があります。

★★(紺認証):独自の創意工夫が凝らされたサービスを提供し、設備面や非属人的なサービスだけでなく属人的サービスでも高い品質を保つサービス事業者に付与される第三者認証です。「サービス業務マネジメント項目」のうち、「既に実施している取組」について21項目以上該当する必要があります。

★★★(紫認証):期待を大きく超えるおもてなし提供者に付与される第三者認証です。下記「サービス業務マネジメント項目」のうち、「既に実施している取組」が24項目以上に該当することで取得できます。

【サービス業務マネジメント項目】

  1. 顧客・地域の声の収集・対応
  2. 従業員の声の収集・対応
  3. 業務の棚卸・見える化及び業務改善の検討・実行
  4. 人材確保・育成による業務改善の実行・促進・定着
  5. ITツール活用による業務改善の実行・促進・定着
  6. 組織としての振り返りと学習
  7. 経営理念・ビジョンなど組織の価値観の形成・浸透

便利なセルフチェックシート

おもてなし規格認証 2020 の規格項目を実際にチェックできるセルフチェックシートがあります。一般に公開されていますので、どなたでもチェックすることが可能です。サービス業務マネジメント7項目とインバウンド対応項目があり、それぞれ細分化された質問とわかりやすい事例でチェックできるように構成されています。

おもてなし規格認証 2020 規格項目 セルフチェックシート

「おもてなしスキルスタンダード」とは

おもてなしスキルスタンダードは、個人のスキルを認定する制度です。実際の現場でサービスを提供する人のスキルを誰にでも分かりやすいように標準化し、カテゴリ別に体系化した基準で表します。サービススキルが見える化され個人認定制度が促進されることで、サービスの価値向上が図られます。

お客様へのおもてなしについては、以下のように定義されています。

日本古来のおもてなしの概念を基に、相手の心に寄り添い相互理解を深め、顕在化したものだけでなく、潜在的な要望をもくみ取り、臨機応変に、かつ過不足なく、その解決策を提供すること(引用元:おもてなしスキルスタンダード

個人を対象としたおもてなし規格

個人が実際におもてなしを現場で実行する際のポイントは、4つの視点とプロセスを示す4つの理念を一人ひとりが持つことです。

【4つの視点とプロセスを示す4つの理念】

  • 「お客様」の期待を元に共に価値を創る
  • 「同僚・チーム・仲間等」の意欲と能力を相互に引き出す
  • 「地域社会」と共生していく
  • 「継続・向上」していく
出典:おもてなしスキルスタンダード「4つの理念の関係」より

サービス産業の現場に携わる人材に横断的に求められるスキルは、おもてなしスキルスタンダードの要素としてさまざまな組み合わせで提示されます。基本動作の接客スキルからオペレーションスキル、ユニバーサル・ダイバーシティ対応、チームとしての仕組みづくりなど、7項目が細かく分類されています。

ベーシック認定とアドバンス認定の2つの認証

おもてなしスキルスタンダードは、到達度別に「ベーシック認定」と「アドバンス認定」の2つのレベルがあります。

ベーシック認定

「おもてなしスキルスタンダード」ベーシック認定講座を受講します。サービスを提供する現場では欠かせない重要な基礎理念や基本動作を標準的レベルで習得するものです。ベーシック認定を取得すると、「認定バッジ」と「認定証」が授与されます。

アドバンス認定

ベーシック認定をさらにスキルアップしたアドバンス認定では、「おもてなしスキルスタンダード」アドバンス認定研修の受講が必要です。多様化する様々なニーズに対応し高度な課題解決力を身につけるため、計5日間の対面研修となっています。

研修の内容は、“おもてなし”を実践するための考え方や基本スキルを学ぶ「理論編」をJHMA(日本ホスピタリティ推進協会)認定の講座で受講。現場体験やワークショップなど「発展編」では、実際の課題を発見し設定する力とその解決能力を養成します。アドバンス認定を習得した暁には、その証明として「認定証」と「認定バッジ」に加え、「認定カード」が発行されます。

おもてなしスキルスタンダードのスキルセット

まとめ

訪日ゲストに対するおもてなしを企業全体で向上させ強化できる「おもてなし規格認証2020」と、サービスを提供する個人のスキルアップを図る「おもてなしスキルスタンダード」。両方をバランスよく活用することでサービスに対するお客様満足度を高め、サービス事業者のみならず、サービス産業全体の価値を上げることができるのです。

ストラテでは今後とも「アフターコロナ」に向けたインバウンドへの取り組みをご紹介します。引き続きご購読よろしくお願いいたします。

翻訳市場調査などの「外国語サポート」が必要な方は、
ぜひ「アットグローバル」にご相談ください。
見積もりやご相談は完全に無料です。こちら からどうぞ!