インバウンドのおもてなしの達人たち

インバウンド需要

はじめに

日本経済を支えるサービス産業がグローバル市場の中でスキルとその価値を高めるため、2016年に経済産業省は、サービスの認証規格制度「おもてなし規格認証」を創設しました。インバウンド需要に対応するため、日本のおもてなしサービスを見える化し評価しやすくしていこうとする取り組みです。

現在は、新型コロナウイルスによる世界規模での感染拡大が長期化し、サービス事業者は厳しい戦いを強いられていますが、今後、ウィズコロナ、アフタコロナを見据えた新たな戦略を打ち出すために、おもてなし規格認証が功を奏するでしょう。

そこで、インバウンドのおもてなし強化で頼りになる3つの団体と、それぞれのサービスについてご紹介します。

一般社団法人 おもてなしマイスター協会

一般社団法人 おもてなしマイスター協会は、教育機関を母体とし1985年から多様な業種への接遇教育を提供してきました。

主にサービス産業における資格制度の構築や、航空会社でのグローバルな人材育成に貢献。日本のおもてなしの品質向上を目的に設立され、おもてなしの研修やコンサルティングをメインに行う"おもてなし規格認証"の認証機関です。

おもてなしのグローバル化に対応した人材育成や、インバウンド対応に求められる組織・設備の改善など、認証事業を通じサービスを提供する企業を支援しています。

おもてなし規格認証とは

日本経済を支えるサービス産業にあって、サービスの品質向上は必須課題の一つです。サービスの品質を「見える化」し付加価値をつけて底上げしようとする目的で、経済産業省が創設したサービスの認証規格制度が「おもてなし規格認証」です。

サービスやサービスを提供する事業者を目に見える形で評価するのは難しいことですが、サービス品質を多角的に細分化し基準を設けることで「見える化」が可能となり、体系的なサービスの在り方を示すことができます。

チェックするのは30項目。おもてなし規格認証を受けることで企業やサービスに携わる人材の改善点を見出すだけでなく、企業の強みを発見したり、現状を分析したりすることにも役立ちます。

「おもてなしスキルスタンダード」ベーシック研修とアドバンス研修

おもてなしスキルスタンダードは、業種や職種にこだわることなくサービス産業全般での現場で働く人材のスキルを標準化し、誰にでもわかるように体系的に表した基準です。

おもてなしスキルスタンダードの認定を受けるための研修プログラムは2種類。ベーシック研修とアドバンス研修があります。

ベーシック認定

標準的レベルの認定である「ベーシック認定」は、おもてなしスキルスタンダード認定の基幹を構成するもので、サービスを提供する現場で求められる基礎理念や基本動作の習得を目的としたプログラムです。

TPOに合わせた基本動作や対お客様への基本的なコミュニケーション能力、チーム内での自身の役割を認識し、実践していく力を研修によって修得します。サービス産業の現場で働く個人がサービススキルを向上させると共に、チームや周囲で働く人たちのサービス品質向上にも役立ちます。

アドバンス 認定

「アドバンス 認定」は、さらに高いレベルに到達するための研修が必要です。チームリーダーやマネジメント層などの中堅スタッフを対象に、職場で見本となる基本動作を身に着け、潜在化する顧客ニーズをも読み取る力を養います。

トラブルを未然に防ぎ、サービス現場での高度な課題解決力を養成するとともに、自身の知見や経験したことをチーム全体の知に転換し普及させるスキルも修得します。個人だけでなく所属する組織でのサービススキル向上を牽引する人材を育成することが出来ます。

日本ホスピタリティ推進協会

NPO法人日本ホスピタリティ推進協会(JHMA)は、ホスピタリティの啓発・普及推進を目的とし、「ホスピタリティ・コーディネータ」認定制度を実施するなど、ホスピタリティに根差した人材を育成する機関です。

社会の構成員がホスピタリティ精神を発揮し合うことで相互満足を高め、それぞれの価値向上と豊かさを享受できる社会を実現することを理念として掲げています。

接客の場面では、「おもてなし」による顧客満足を高めると同時に、従業員相互間や地域社会に対してもホスピタリティを発揮することで人と人とが相互満足できるコミュニティを成立させることを目指します。

「ホスピタリティ・コーディネーター」認定制度

日本ホスピタリティ推進協会が実施する「ホスピタリティ・コーディネータ」認定制度は、企業や地域、教育機関などでホスピタリティの啓発・普及活動を実践し、ホスピタリティに根差した社会環境づくりを推進するコーディネータを育成する仕組みです。

ホスピタリティ・コーディネータは、人や自然との共生を通じて環境改善に努め、企業や地域社会、学校などのグローバルなコミュニティで社会環境の健全な発展を推進する役割を担います。

当協会は「おもてなし規格認証」の認証機関を務めますが、「ホスピタリティ・コーディネータ」は、★★(紺認証)を取得する際の人材要件にも認定されています。

※★★(紺認証)については、後述の「おもてなし規格認証2020」で詳しく説明しています。

オンライン講座

「ホスピタリティ・コーディネータ」を取得するには、「ホスピタリティ・コーディネータ養成講座」を受講することが必要です。

2021年1月現在、新型コロナウイルスによる感染の拡大を防ぐため、Zoomでのオンライン開催になっています。会員以外のどなたでも参加可能ですが、事前申し込みと参加費が必要です。下記より、詳細が確認できます。

日本ホスピタリティ推進協会「日本ホスピタリティ教育機構」 ONLINE講座

おもてなし規格認証2020

日本ホスピタリティ推進協会は、「おもてなし規格認証2020」の認証機関です。認証の取得を通じて、サービス産業事業所が提供するサービスの品質が「見える化」され、認証マークを参考にして消費者が事業者を選ぶことを可能にします。

「おもてなし規格認証2020」には、★(金認証)・★★(紺認証)・★★★(紫認証)の3種類があります。

金認証は、既定のマネジメント関連30項目中15項目以上を専門審査員による実地確認によって認定されます。

紺認証は、覆面調査および専門審査員による実地確認。既定のマネジメント関連30項目中21項目以上が実施され、ほかに人材要件として認定プログラムの修了が必須です。

最も高いレベルとなる紫認証は、認定機関が書類審査と現地審査を行いますが、認証機関の推薦が前提となります。その後、第三者委員会の審議を経ることによって認定されます。いずれも有償の第三者による認証です。

一般社団法人OSTI

一般社団法人OSTIは、コワーキングスペース秘密基地などとの連携により九州地域を中心に、地域・分野・組織を超えた人の繋がりを活かした事業を展開しています。

全国で活躍する高度な人材によるプロフェッショナル・ネットワークを形成し組織化。地域社会の持続可能な発展に貢献し、社会価値の共創の実現を目指します。分野を問わず産学官金民連携での事業プロデュースという支援のし方で、政策から企業経営、まちづくり、大学での研究活動等の推進に貢献しています。

おもてなし規格認証の認証機関

一般社団法人OSTIは、おもてなし規格認証の認定機関であるサービスデザイン推進協議会より認定された認証機関です。

申請の受付や実地審査を含む審査および改善指導などの認証業務を担当します。飲食・宿泊・小売を中心としたサービス産業全般を対象とした金認証と紺認証の認定が可能です。

おもてなし規格認証の項目を活用しながら、サービス事業者がビジネスをブラッシュアップしていくことを支援します。

まとめ

インバウンド需要に対応するため、サービス産業に従事する個人や事業者には、より納得のいく形でスキルアップできるための制度が求められていました。それに応えるべく、おもてなし規格認証が整備されることで日本のサービス産業全体の底上げに繋がります。おもてなし規格認証の認定機関での研修を経て、おもてなしの達人を目指してみてはいかがでしょうか。

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