「ショッピングツーリズム」の基礎知識

インバウンド需要

ショッピングツーリズムとは

ショッピングツーリズムとは、ショッピングを通して「日本」を感じ、体験し、思い出を作ってもらうことです。丁寧なおもてなし、日本人の暮らし、美味しいもの、職人のこだわりなど、あらゆる日本を体験してもらおうという取り組みです。

JSTO(ジャパンショッピングツーリズム協会)は、ショッピングツーリズムは、地域活性の効果が高いと述べています。地域への経済効果はもちろん、新たな「観光資源」の発見、という良い結果も得られます。(こちらのページ)

インバウンドで期待できる、まだ気付いていない「観光資源」があるかもしれません。訪日ゲストは、より「日本」を感じられるものを求めて、地方を訪れています。地方は発展の可能性を秘めています。

日本人の「日常生活」を味わってもらうことも、ショッピングツーリズムの目的の一つです。例えば、スーパーマーケット・ホームセンター・ドラッグストア・100円ショップ。日本人の普通の生活を垣間見ることができて、面白い体験となるでしょう。

日本人の「こだわり」が感じられる、スイーツ店やセレクトショップなどへの集客も効果的です。例えば、日本のスイーツ店(洋菓子、和菓子)は、職人のこだわりと完成度の高さをアピールできます。

訪日ゲストは、日本の「ショッピング」が大好きです。面白いものがたくさんあるから、です。ですが、訪日ゲストの受け入れ体制がまだまだ整っていないのが現状です。ここでは、ショッピングツーリズムの基礎知識を解説していきます。

ショッピングツーリズムの将来性

最新の訪日外国人の旅行消費額を見てみましょう。(2020年1-3月期のデータ)

訪日外国人の消費額は、「飲食費(オレンジの帯)」と「買い物代(濃い青の帯)」で、3,733億円。全体(約7000億円)の約半分!を占めています。非常に高い割合です。

日本での買い物・飲食が、「楽しかった」「印象的だった」「とても美味しかった」「接客がナイスだった」「また来たい」と思ってもらえれば、その体験を家族や友達に話すでしょう。それを聞いた人たちが、日本に興味を持ち、旅行に来てくれるかもしれません。

ショッピングは立派な「観光資源」です。魅力的な商品の開発、外国人客接客のための準備、世界に向けた情報発信を行い、訪日ゲストの集客アップを目指しましょう。

世界各国のショッピングツーリズムへの取り組み

ドバイ・ショッピング・フェスティバル

ドバイでは、12月から1月にかけて、ドバイショッピングフェスティバルが開催されます。ドバイ全体のショッピングモールや買い物スポットで、あらゆる商品(ファッション、ジュエリー、インテリア、車まで)が、大々的な割引セールを行います。

同時に、ファッションショー・エンターテイメント・盛大な花火大会も行われ、お祭りムードで盛り上がります。ドバイの人々は、一年の中で、最もこの時期を楽しみにしていることでしょう。

シンガポール

シンガポールでは、4つの方針を打ち出しています。エキサイティングなツーリズム(ホテル、公園、施設の拡充と整備)、既存施設の再開発(Wi-Fi、店の改装)、アジアの活力取り込み(クルーズ船)、国際競争力を上げる(ホテル・レストラン・観光業でのサービス向上、人材育成)の4つです。

政府が、積極的に「観光大国」となるための対策を打ち出しています。シンガポールは、交通網(空港・地下鉄・高速道路)が良く整備されています。主要なショッピング街も、整備が進められています。観光客をショッピングに呼び込むための準備が、着々と進められています。

日本のショッピングツーリズムへの取り組み

日本は、国を挙げて「ショッピングツーリズム」を推進している、とは言えませんが、消費税免税や法改正を進めています。

JSTO(ジャパンショッピングツーリズム協会)では、毎年「Japan Shopping Festival」を開催しています。日本全国から、商業施設や店舗が参加して、プロモーション活動を行なっています。協会の目標は、「2030年、訪日ゲスト6000万人、消費額9兆円」達成です。本格的に「ショッピングツーリズム」に取り組んでいる団体ですので、参加をご希望の方は、こちらのページをご覧ください。(現在コロナの影響で、活動状況が変わっていることがあります。ご確認ください。)

日本のショッピングツーリズムの課題

キャッシュレス決済の整備

先進国でありながら、日本のキャッシュレス決済は、かなり遅れをとっています。大都市はだいぶ整備が進んでいるとはいえ、まだ「クレジットカードは使えません」「モバイル決済はできません」という店舗がたくさんあります。

政府は、2025年までに40%、将来的には80%の普及を目標としています。

キャッシュレス決済を整備すれば、インバウンド消費も拡大します。外国では、キャッシュレス決済は、当たり前のシステムです。日本に来て、「申し訳ありません。クレジットカードはお使い頂けません。」「モバイル決済も、お使い頂けません。」と言われていたのでは、不便極まりないでしょう。

ですから、まだ「現金のみ」、または「クレジットカードは使えるけど、モバイル決済はまだ」という店舗は、訪日ゲストを迎える準備を行いましょう。

免税環境の整備

訪日外国人客の利便性アップ、店舗の免税手続き効率化のために、免税手続きが電子化されました。以前のように、紙ベースではありません。  国の目標は、地方の免税店数を増やすことです。観光庁の報告によると、地方の免税店数が、2万店舗を突破したとのことです(2020年時点)。今後も、地方での免税店増加が期待されています。

出典:国土交通省観光庁

多言語対応

観光庁のレポートによると、訪日ゲストが「コミュニケーション」で困ったのは、飲食店・小売店の割合が高かったということです。

実際、訪日ゲストは、どういう時に困ったのかというと、「商品を探す時」「商品の内容を知りたい時」「お店を見つける時」だったそうです。感じたことは、「外国語表記されているが、情報が足りない」「スタッフは外国語対応を頑張ってくれたが、スキル不足」「そもそも表示言語が少ない」ということです。

訪日ゲストは「どのように解決するか」の質問に、「スマホ・タブレットの翻訳アプリを使う」「スマホ・タブレットで検索して自分で調べる」、と答えています。

何か国語もマスターし、円滑なコミュニケーションを行うのは、無理です。ですから、できることから対策を始めましょう。メニュー・商品名・店内案内表示などの「外国語表記」は、もうすでに行なっているでしょう。今後、もっと行えることは、表記言語数を増やす、商品名だけでなく説明も加える、翻訳アプリの活用、スタッフの外国語スキルアップでしょう。

訪日ゲストは、日本人の接客態度をとても好意的に感じています。今後は、「コニュニケーション能力」も国際化していくことが必要です。

まとめ

「ショッピングツーリズム」は、日本のインバウンドの鍵です。日本には、魅力をアピールできる「観光資源(商品)」がたくさんあります。「観光立国」として、まだまだ課題が残されています。キャッシュレス化、多言語化、免税電子化、コミュニケーション能力、などです。アフターコロナを見据え、今から、訪日ゲストを迎える準備を行なっていきましょう。

ストラテでは、「ショッピングツーリズム」推進に関する記事を、今後も提供していく予定です。

株式会社アットグローバルは、インバウンドコンサルティングサービスを行なっています。インバウンド対策に関する、さまざまな課題のお手伝いしています。ご要望がありましたら、お気軽に、お問い合わせください。

翻訳市場調査などの「外国語サポート」が必要な方は、
ぜひ「アットグローバル」にご相談ください。
見積もりやご相談は完全に無料です。こちら からどうぞ!