ベトナムの国勢調査について

ベトナム

はじめに

日本では基本5年おきに、日本在住のすべての人と世帯を対象に、国の最も重要な統計調査である「国勢調査」が行われます。最近は、2020年秋に第21回目の国勢調査が行われましたので、覚えている方も多いと思います。では、外国の国勢調査はどうなっているのでしょうか?

今回の記事では、ベトナムの国勢調査についてご紹介します。

ベトナムでの国勢調査について

正式名称は「人口と住宅の総調査」

ベトナムでは、2019年4月に第5回目の調査が行われました。日本で言う「国勢調査」は、ベトナム語では「Tổng điều tra dân số và nhà ở」で、日本語に訳すと「人口と住宅の総調査」となります。1975年に第1回目の調査が行われ、2009年以来10年ぶりに第5回目(2019年)の調査が行われました。2019年4月1日(午前0時時点)の、「人口」と「住宅の状況」が調査されました。そして、2019年12月19日に調査結果と、今後の(2019年から2069年)人口推移を予測した分析報告書が発表されました。

日本も協力している

実は、ベトナムの統計調査には日本が大きく関わっています。

総務省統計局は、ベトナムへの技術支援を行っています。2013年には、ベトナム統計総局ベトナム統計科学研究所のスタッフが来日し、日本の統計組織、統計品質管理の知識を習得しました。

また、2017年には、日本の総務省統計局とベトナム統計総局の間で「協力の覚書」を交わしました。公的統計に関連する分野において、両機関が緊密に協力することに合意しました。今後も、統計調査等の実施、統計報告書の作成、統計分析・予測などの支援を行なってゆきます。

ベトナムの人口調査の結果

ベトナムの人口

ベトナムの2019年の人口は、9620万8984人でした。2009年(第4回目の調査)から2019年(第5回目の調査)の間に、1,040万人増加しており、平均増加率は1.14%です。1999年から2009年の10年間の平均増加率(1.18%)と比べると、増加スピードは0.04%減速しています。

人口規模は、前回の調査から2位落とし、世界15位となりました。東南アジア諸国の中では、インドネシア、フィリピンに続き、3番目に人口が多い国となっています。

ベトナムの人口は、2050年頃まで増加し続け、約1億1000万人に達するだろうと予測されています。一方、2050年の日本の人口は、1億人を下回る9700万人と予測されています。今後の30年ほどで、ベトナムと日本の人口が逆転する可能性があります。

*出典:公益財団法人ひろしま産業振興機構

ベトナムの戸数

ベトナム全国の戸数は、2009年から440万世帯増加し、2687万戸です。1世帯当たりの平均人数は、2009年から0.2人減少し、3.6人です。人口密度は、2009年から31人増えて、1平方キロあたり290人です。ちなみに、日本の人口密度は335人/km2で、ちょうどフィリピンとベトナムの間ぐらいです。

2020年の人口について

ベトナム統計総局が2020年に発表したデータによると、人口は9758万人と少し増加しています。男女比は、男性49.8%・女性50.2%です。人口の36.8%が都市部に居住しており、63.2%が地方に住んでいます。

ベトナム人の平均寿命は73.7歳です。出生率は、女児100人あたり男児112.1人と、男の子の比率のほうが12%ほど高くなっています。この比率のままいくと、将来的に男女のバランスが悪くなり、数々の問題が起きるかもしれません。

ベトナムの人口調査の特徴

調査方法も独特

今回の「人口と住宅の総調査」のために動員された調査員の数は膨大で、なんと12万人以上でした。調査には、コンピューターを使ったインタビュー(面接)調査(CAPI技術)などが活用され、2か月程度で集計が完了しました。

CAPI技術とは「Computer Assisted Personal Interviewing」の略で、調査員がハンドコンピューターを持参し、訪問対象者に聞き取り調査を行い、その場で入力していくというものです。日本の国勢調査は、自身で回答する「自記入式調査」と、調査員が記録する「調査員調査」が主に用いられています。「オンライン」回答もできますが、どちらかというと紙ベースがまだ多いでしょう。ベトナムのコンピューターを用いる調査方法は、日本よりもだいぶ進んでいます。

身分証明書に自分の民族が記載される

ベトナムの主な民族は「キン族」で、85.3%を占めています。残りの約15%の人たちは「少数民族」で、ベトナムには53もの少数民族がいます。ベトナムの身分証には、自分の「出身民族」が明記されます。

従来のベトナム人民証明書と出身民族記載位置(出典:公益財団法人ひろしま産業振興機構
File:Thẻ Căn cước Công dân (Việt Nam).jpg
新しい人民証明書(IDカード) 民族記載位置は表面の中ほどより少し下に変更されています。(出典:wikipedia

さいごに

今回はベトナムの国勢調査についてご紹介しました。今後、ベトナムの人口は増加し続け、日本の人口を追い抜くと予測されています。ベトナムは、大いに発展の可能性を秘めた国であることがよく分かりました。

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