ベトナムの乳製品マーケット

ベトナム

はじめに

ベトナムは生活水準の向上により、乳製品マーケットが発展しています。ベトナムの乳業企業の株式上場や、新株発行の動きも加速しています。特にヨーグルトなどの発酵乳市場が成長しており、欧州をはじめとする外資企業が参入し競争が激化しています。

しかし、ベトナムの乳製品マーケットの発展についてはあまり知られていません。ここでは、ベトナムの乳製品マーケットの現状や、今後への期待、どのような乳製品が好まれているかなどをお伝えします。

ベトナムの乳製品マーケットの現状

ユーロモニターによると、2019年のベトナム乳製品市場は52億USドル(5876億円)の規模にまで発展しました。ここ10年の成長が大きく、年12%と飛躍的な伸びを見せています。2020年のコロナ自粛による消費低迷の中でも、乳製品の販売は好調で、日用消費財市場全体の12%を占めています。

Bean Surveyによると「牛乳を毎日買う」人は64%、「週に何回か乳製品を買う人」が55%と報告されています。ベトナムにおいて、乳製品は日常に不可欠なものとなっていて、多くの国民が消費していることが分かります。

このような乳製品の消費拡大により、ベトナム商工省(MOIT)は、2010年に「ベトナム乳業戦略」を策定しました。2025年までに、生乳の生産量を15億リットルにまで増やす計画を立てています。これは、2010年時点の生産量(4.8億リットル)の3倍にあたります。この拡大計画を、内資企業だけで達成することは難しく、外資企業の参入に頼らざるを得ないのが現状です。ベトナムでは、内資・外資合わせた牛乳ブランドは300以上もあります。日本の乳業メーカーである「森永」や「明治」なども参入しています。

*参考資料:https://b-company.jp/wp-content/uploads/2021/02/FNX_Dairy-Products_JP_2102.pdf

ベトナムの大手牛乳メーカー・ビナミルク(Vinamilk)

「ビナミルク(Vinamilk)」は、牛乳・ヨーグルト・チーズ・アイスクリームなどを生産しているベトナム最大の乳製品メーカーです。

T&Dアセットマネジメントの報告によると、ビナミルクの2020年7月発表の第二四半期決算は、コロナ禍にかかわらず、売上高7%アップ、純利益3%アップだったとのことです。業績好調の背景には、ビナミルクの市場シェアが高いこと、景気変動の影響を受けにくい生活必需品を扱う企業であることなどが考えられます。

現在、ベトナムの1人当たりの年間牛乳消費量は20リットルです。アジアの平均は38リットルですから、今後の発展が大いに期待できます。ベトナムの乳製品マーケットの発展を見込んで、V-Star(T&Dベトナム株式ファンド)が主要投資しているインドシナ地域株式マザーファンドが、有望なビナミルクに投資を始めています。

*参考資料:https://www.tdasset.co.jp/news/pdf/20200807_1.pdf

ヤクルトの乳酸菌がベトナムの子供を救う

ベトナム保健省国立栄養研究所は、株式会社ヤクルトと大規模な共同研究を行いました。

3歳から5歳の幼稚園児1,000人を対象に、乳酸菌「L.カゼイ・シロタ株」の飲用がもたらす効果を調査しました。その調査の結果、乳酸菌「L.カゼイ・シロタ株」を含む乳製品を飲んだ子どもは、飲んでいない子どもに比べ、便秘、下痢、ARI(急性呼吸器感染症)のリスクが減ったことが明らかになりました。

ベトナムでは、子供が下痢や便秘といったお腹の不調を抱えることが多く、ARI(急性呼吸器感染症)による幼児の死亡が高く(全体の約 10〜20%)、子どもの栄養状態の改善が課題となっています。ヤクルトの乳酸菌を摂取しつづけるこで、子供たちのお腹の不調を改善し、栄養を補給し、健康回復に大きく貢献することが分かりました。

ベトナム保健省国立栄養研究所の チュン・トゥエット・マイ副所長は、「子どもでも手軽に飲むことができる乳製品で、このような効果が認められたことは、栄養失調が多く子どもの健康管理が課題となっているベトナムの公衆衛生上、非常に重要な知見である」と述べています。

*参考資料:https://www.yakult.co.jp/news/file.php?type=release&id=160136809325.pdf

子供たちの栄養改善と乳製品

ベトナムでは、国民の約25%が低身長、約14%が低体重という問題を抱えています。これは、適切な栄養摂取が必要な状況にあるということです。

その改善策の一環として、ビナミルク(Vinamilk)が、2007年から学校給食用牛乳プロジェクトを始めました。幼稚園と小学校で、週に5日牛乳を飲む時間を作り、子供たちへの栄養補給を行っています。ベトナム保健省国家栄養研究所の調査によると、このプロジェクトを始めてから2014年までに、5歳以下の低身長児が全体の33.9%から24.9%に、低体重児が全体の21.2%から14.5%に低下したと報告されています。

しかし、学校給食の牛乳を飲むことだけで低身長の改善を目指すことは難しい、日本のように「給食」という食育が必要だという指摘もあります。日本は、栄養バランスの良い「給食」により、子供たちの健康と成長を促すことが出来ています。ベトナムでも、日本の「給食」のノウハウを得て、子供の健康と成長に役立ててもらえると良いですね。

*参考資料:http://njppp.jp/wp/wp-content/uploads/512609e86691fbb075e48ebd0f88dca3.pdf

ベトナムではコーヒーにヨーグルトを入れる?!

ベトナムは、コーヒー生産量世界2位を誇るコーヒー大国です。ベトナムコーヒーというと、コンデンスミルク入りの甘いコーヒーを思い浮かべがちですが、ハノイ発祥のコーヒーは、なんと「ヨーグルト」を入れて飲む習慣があるんです。

「コーヒーにヨーグルトなんて合わないのでは?」という声が聞こえてきそうですが、ヨーグルトの酸味と珈琲の香ばしさが意外にもよく合うので、大好評なんです。レシピを見てみると、入れるのはヨーグルトだけでなく、練乳も加えて甘くしているようです。ヨーグルトコーヒーの味は「コーヒー味のラッシー」のようで、 “大人の飲み物” といった感じでしょう。

*詳細は、明治ブルガリアヨーグルト倶楽部の記事に出ていますので、気になる方は是非チェックしてみてください。

まとめ

ベトナムは、乳製品の消費拡大によって、国民の栄養改善を図っています。ベトナムの乳製品マーケットは拡大の可能性が高いので、さらに多くの外資企業が参入していくことは間違いないでしょう。今後は、低価格の商品だけでなく、オーガニックや高級な商品の需要も見込まれています。ベトナムでの乳製品マーケット市場の拡大は、国民の健康問題に直結しています。今後の発展に期待しましょう。

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