アフターコロナを見据えて観光業界が取るべきスタンスとは?

インバウンド需要

はじめに

新型コロナワクチンの接種が国内でも始まり、世の中は少しずつアフターコロナに向けて動き出しています。そうした中、金融のプロである「日本投資政策銀行」は、アフターコロナのインバウンド再開を視野に入れています。今後、観光業界は何をすべきなのか提言したレポートが発表されました。

このレポートは主に北海道向けではありますが、基本的に全国の観光業者に当てはまる内容です。アンケート調査の結果を見ると、今後の観光業界の復興に役立つのではないかと思われます。(参照:日本投資政策銀行によるレポート

回復のヒントは過去のデータにあり?

アフターコロナを迎える観光地で回復の方策を見出すためには、過去のデータを見ることが重要です。過去に起きた災害などで、落ち込んだ観光業界がどのように立ち直ることができたのか、その回復の経緯からアフターコロナへのヒントが得られるでしょう。

これまで、日本のインバウンド客数が大幅に落ち込むことになった出来事が3回ありました。2003年の「SARS」2008年の「リーマン・ショック」、そして、2011年の「東日本大震災」です。

2002年11月に中国でSARSが確認され、2003年の春は北海道を訪れる外国人観光客が激減しました。しかし、同年7月にWHOが終息宣言を出した後は、旅行者数は急速に回復しています。

出典:日本投資政策銀行

2008年のリーマン・ショック後の回復は、翌年の冬には宿泊客が増加していることから、約1年ほどで回復したと考えられます。

出典:日本投資政策銀行

2011年の東日本大震災では、災害発生から約半年後に回復をみせています。2018年に起きた北海道胆振東部地震では、2か月後に元のレベルに戻り、その後は前年を上回る旅行者数を記録しています。

出典:日本投資政策銀行

このように、疫病、自然災害、景気の悪化などの要因で、インバウンド客数が一時的に大きく落ち込むことは避けられません。しかし過去のデータを見ると、元の状態にまで回復するのに、6か月から1年ほどの期間であることが分かります。

新型コロナウイルスの世界的大流行も、先の見えない不透明さが残り、今はまだいつ完全に収束するのか分かりません。ですが、過去のデータを見て推測するかぎり、観光業界の回復に最低1年はかかるでしょう。確実なことは分かりませんが、できるだけ早い回復を望みます。

地元住民の不安を払拭する

アフターコロナの観光復興には、まず、地元に住む人々の不安を払拭することが最重要課題となります。神奈川県観光協会が、1都3県を中心に全国規模で「新型コロナウイルス収束後の新しい観光に関するアンケート」を実施しました。

県外からの観光客に対する不安

県外からの観光客受け入れについては、「感染症対策を徹底してくれるなら来ても良い」と答えた人が64.7%「県外からの観光客はあまり来てほしくない」「絶対に来ないでほしい」と答えた人が20.9%です。県外からの旅行者に対しては、コロナ対策をきちんと取れば来て欲しいと思っている人の割合は高いことが分かります。ですが、旅行者の訪問を快く思わない人が約2割います。

出典:日本投資政策銀行

県外からの観光客を受け入れたい理由で最も多かったのは、「可能な範囲で経済を回す必要があるから」が24.4%、受け入れたくない理由のトップは「感染者が増加することが心配だから」が23.7%でした。地元経済の落ち込みへの不安と、感染拡大への不安がほぼ同程度であることがわかります。

出典:日本投資政策銀行

外国人観光客への不安

訪日外国人に関しては、「感染症対策を徹底してくれるなら来ても良い」と答えた人が49.6%に対し、「あまり来ないでほしい」が32.4%「絶対に来ないでほしい」が10.5%と、地元民の半数近くが外国人の訪問に否定的です。

出典:日本投資政策銀行

外国人観光客を受け入れたい理由で最も多かったのは「可能な範囲で経済を回す必要があるから」で19.1%、受け入れたくない理由のトップは「感染者が増加することが心配だから」で28.7%でした。経済の回復よりも、感染拡大への不安の方が大きいことが見て取れます。コロナが収束後、訪日観光客の受け入れを始める際は、地元住民の理解を求める必要があるでしょう。

出典:日本投資政策銀行

多言語による感染対策のPRを

欧米豪を狙う

当然ですが、収入層が上がるにつれ海外旅行の意欲も高くなります。アフターコロナのインバウンド需要も高収入層から回復していくでしょう。下記の表を見ると、コロナ終息後、各国の大勢の人たちが海外旅行に意欲的であることが分かります。

出典:日本投資政策銀行

世界全体的に見ると、海外旅行は「コロナのリスクが消滅してから」という人々が多いようですが、この傾向はアジアの人たちが突出しています。欧米圏の人たちは「航空路が再開したら」「クルーズ船が再開したら」とも考えており、アジアの人たちほど感染リスクを意識していないようです。アフターコロナの観光需要は、欧米豪の人たちを対象にするのが良いでしょう。今から、欧米豪を狙ったインバウンド対策を行っておきましょう。

出典:日本投資政策銀行

多言語によるPRは必須

コロナウイルスの流行が収束して観光業界が回復すると、また世界中の旅行者が日本各地を訪れるでしょう。日本では感染症対策をどのように行っているか、外国人向けの医療体制がどのように整っているのか、多言語でPRする必要性があるでしょう。

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まとめ

新型コロナウイルス感染拡大によって渡航禁止が長引いていますので、日本の観光業は大きな打撃を受けています。今後ワクチンの接種率が高まると同時に、徐々に規制が緩和されていくと思われます。観光業界は、徹底した感染対策と医療の受け入れ態勢の整備など、課題が残されています。

また、アフターコロナの観光・インバウンドを考えるうえで、観光地の地元の人たちの心情をも考慮すべきでしょう。多くの報道を見ると、地方では、国内からの旅行者(訪問者)に対しても感染を懸念する傾向を示しているようです。

日本はこれまでも幾多の災害・経済不況に見舞われても、そこから回復してきました。そして、世界で人気の観光国として、外国人訪日客を受け入れてきました。その過去の経験と知恵を生かし、アフターコロナの観光回復と地域の経済復興に注力していきましょう。

 

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