アフターコロナを見据えた観光庁による研修プログラム

インバウンド需要

はじめに

新型コロナウイルス感染症の流行によりインバウンド需要が消滅してしまった今、アフターコロナに向けて地域全体を立て直し、新たな観光産業の在り方を模索すべき時期に来ています。

観光庁が後押しする研修プログラム「『みらいをつくる』観光共創イニシアティブ」は、観光産業の専門家を活用し、地域のインバウンドに関わる人材の能力強化を目的としています。

研修プログラムの一部は無料で公開されており、観光業だけに限らず、地域活性のために役立つ内容です。アフターコロナを見据え、地域経済や観光産業をどのように活性化させていけば良いのか、今後の発展に繋がるヒントを見つけることができるでしょう。

プログラムの背景

新型コロナウイルスの感染が世界規模で流行したことにより、突如人の移動が禁止されてしまい、それに伴って経済活動の自粛もせざるを得ない状況になりました。私たちはこの先数年間は、新型コロナウイルスと共存する「ウイズコロナ期」にあって、新たな生活様式を取り入れていかなければなりません。

背景

新型コロナウイルス感染症によって観光業界は大きな打撃を受けました。今後は、新しい観光のあり方を模索する「VUCA」注)の時代に来ているといえるでしょう。VUCAの時代の中を生き抜いていくためには、これまでにないメソッドと知恵が必要です。

アフターコロナを見据えた観光庁による研修プログラムは、新しい「人財育成モデル」です。

  • 最新ファシリテーションメソッドの導入
  • 自分たちの“あり方や想いの源泉”の探究
  • 地域や関係企業のありたい未来のビジョン化

このプログラムは、主体的にアクションを起こすことのできる地域の「リーダー」を育てることを目的としています。

注)VUCAとは、ビジネスや市場等におけるさまざまな不安定要素を示す4つの言葉。Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取ったもので、ブーカと呼ばれる。

研修の目的

昭和の高度成長期では、従順で勤勉、専門性が高い人材が求められていました。現在は、外部環境がより複雑になり、グローバル化やIT化などの「変革」が求められています。今後必要とされている人材は、主体性、創造性、情熱を持って行動する人です。

この変革の時代を生き抜くため、“柔軟な思考” を持ち “未来を創造する” ことのできる人材を育成するため、以下のプロセスで人財育成モデル事業を展開します。

  • 成長型マインドセットの育成:失敗を恐れず、他人の評価を気にせず、学びを楽しみ、自身の向上に関心を向けるプラス思考を身に付ける
  • 生成的変革プロセスの実施:組織メンバーのオープンなコミュニケーション、主体性の向上、思考力・行動力の向上を目指す
  • 成功の循環モデル:関係の質、思考の質、行動の質、結果の質、それぞれを高めることで良い循環を生み出す

オンデマンド講義

無料動画で配信

オンデマンド配信プログラムは、誰でも無料で視聴できるモバイルラーニングです。基礎編と応用編に分かれています。専門家による講義から、深い見解を学ぶことができます。

基礎編をご紹介します。

星野リゾート代表の星野佳路氏と、株式会社ポケットカルチャー代表取締役の冨塚優氏によるスペシャル対談「これからの観光、旅行、地域に求められる変革は何か?」から、アフターコロナの観光業界のあり方、これまでとの相違点や今後求められる変化、観光業が提供できるものの価値などを学ぶことができます。地方にある観光のチャンス、地方での取り組み方、地域に求められる変革などを考察するきっかけとなるはずです。

リンク:https://miracle-kk2020.com/ondemand/

出典:みらいをつくる観光共創イニシアチブ

 

もう1つご紹介します。株式会社日本総合研究所主席研究員の藻谷浩介氏と、WAmazing株式会社代表取締役社長/CEOの加藤史子氏による対談です。

「これからの観光、旅行、地域に求められる変革は何か?」という内容で、旅の競合はデジタルエンターテイメントなのか、旅行でしか体験できないリアルな価値とは何なのか、リアルな世界に人々を引き込むための施策や観光のトレンドが地域に与える影響など、アフターコロナの観光・旅行・地域に求められる深い見解を学ぶことができます。

リンク:https://miracle-kk2020.com/ondemand/

出典:みらいをつくる観光共創イニシアチブ

星野 佳路氏
星野リゾート代表。1991年、星野温泉(現・星野リゾート)社長(現・代表)に就任。現在の運営拠点は、ラグジュアリーリゾート「星のや」、温泉旅館「界」、リゾートホテル「リゾナーレ」、都市観光ホテル「OMO(おも)」、ルーズに過ごすホテル「BEB(ベブ)」の5ブランドなど国内外で45か所に及ぶ。

冨塚 優氏
株式会社ポケットカルチャー 代表取締役。1988年に株式会社リクルート(現 株式会社リクルートホールディングス)入社後、じゃらんの事業責任者をはじめ、同社執行役員、リクルートホールディングスグループ関連会社の代表取締役を務め、インターネットメディア事業及び経営に従事。2019年より現職。

藻谷 浩介氏
株式会社日本総合研究所主席研究員。山口県生まれ。平成合併前3,200市町村のすべて、海外72ヶ国をほぼ私費で訪問し、地域 特性を多面的に把握。2000年頃より、地域振興や人口成熟問題に関し精力的に研究・著作・講演を行う。2012年より現職。近著にデフレの正体、第七回新書大賞を受賞した里山資本主義(共に角川 One テーマ21)、金融緩和の罠(集英社新書)、しなやかな日本列島のつくりかた(新潮社、7名の方との対談集)。

加藤 史子氏
WAmazing株式会社 代表取締役社長/CEO。慶應SFC卒業後、リクルートにてインターネットでの新規事業立ち上げに携わった後、観光産業と地域活性のR&D部門じゃらんリサーチセンターに異動。主席研究員として調査研究・事業開発に携わる。2016年7月、訪日外国人旅行者による消費を地方にもいきわたらせ、地域の活性化に資するプラットフォームを立ち上げるべくWAmazing株式会社を創業。

応用編のYouTube講義

応用編には、以下のような内容のプログラムがあります。

株式会社POPSクリエイティブディレクター田中淳一氏による「観光情報発信にもクリエイティブ視点を」では、旅行者が知りたくなる情報を発信する方法、クリエイティブ視点を大切にする理由、これからの観光情報発信のヒントなど、大切な情報を学ぶことができます。

リンク:https://miracle-kk2020.com/ondemand/#post-451

出典:みらいをつくる観光共創イニシアチブ

また、最愛ブランド戦略構築家/fascinate株式会社代表取締役社長の但馬武氏による「最愛ブランド戦略のススメ」の講座では、ファンをつくりファンと歩む方法、ファンとの関係性を構築しファンにとって意味のある存在になるにはどうしたら良いのか、重要な知識が分かりやすく解説されています。

出典:みらいをつくる観光共創イニシアチブ

他にも、海外目線でのプロモーション、惚れるホテルの作り方、インバウンド×長期滞在×地域連携の在り方、広域連携による新たな地域ブランディングの創造など、アフターコロナのインバウンド対策に必要な知識と情報を学ぶことが可能です。

海外目線でのプロモーションの講座では、「直訳はメッセージになるか」「多言語化は翻訳ではない」というプログラムがあります。ただ単に日本語を外国語に直訳するだけでは不十分であること、多言語で情報発信する際に必要な情報が説明されています。インバウンド対策で不可欠な「多言語対応」に関する重要な情報を学ぶことができます。

出典:みらいをつくる観光共創イニシアチブ

地域でのプログラム

地域ごとにワークショップなどを開催し、様々なアイディアを出し合っています。「みらいをつくる観光共創イニシアティブ」というプログラムで、「あり方や思いを探求し、未来をビジョン化し、主体的にアクションを起こせる地域のリーダーを育成すること」を目的としています。ありたい未来をビジョン化する「キックオフ・セッション」から始め、最終的には「シェリング・サミット」として成果発表を行います。

全国15か所で開催されるプロジェクトによる学びのレポートでは、地域の未来を考え、そのあり方を模索し、真摯に向き合って学んでいる人たちから「ヒント」が得られるかもしれません。

  1. 秋田県北秋田郡 上小阿仁村
  2. 山形県東村山郡 中山町
  3. 山形県 山形市
  4. 福島県河沼郡 会津坂下町・湯川村
  5. 福島県 北塩原村・猪苗代町・磐梯町
  6. 福島県 いわき市
  7. 群馬県吾妻郡 中之条町
  8. 群馬県 富岡市
  9. 埼玉県秩父郡 長瀞町
  10. 岐阜県 高山市
  11. 三重県多気郡 明和町
  12. 京都府与謝郡 与謝野町
  13. 熊本県 八代市
  14. 宮崎県児湯郡 西米良村
  15. 鹿児島県 大隅半島4市5町

参照:みらいをつくる観光共創イニシアティブ参加15地域

まとめ

社会状況が目まぐるしく変化する中で、地域や観光を取り巻く環境も変化を余儀なくされています。未来のあるべき姿を考え、情報を共有し、変革していくための人材の確保が課題となっています。私たちは今後のアフターコロナを見据え、地域のブランディング、観光産業の活性化のための準備をしなければなりません。

観光庁による「みらいをつくる観光共創イニシアティブ」の取り組みは、誰でも参加可能なオンデマンド配信によるモバイルラーニングと現地プログラムです。今後の観光業と地域活性化について、考えるべき方向性を専門家が分かりやすく解説してくれています。ぜひ、試聴体験することをお勧めします。

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