中国の介護マーケットについて

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はじめに

中国の65歳以上の高齢者は1億7,600万人と、日本の人口を上回っています。今後もっと増加していくものと思われますので、介護問題は深刻です。

ここでは、JETRO(日本貿易振興機構)の情報をもとに、中国の介護事情についてお伝えします。

介護に携わる人の不足

中国での要介護者の人数は、4000万人と推定されています。それに対し、ヘルパーの人数はわずか30万人しかいません。この割合では、介護の人手不足は深刻です。日本のヘルパーは、統計によって差がありますが、168万人いるとされています。

中国では、全体的に福祉が充実していません。また、ヘルパーに対するイメージも日本と異なります。日本では、ヘルパーは「専門職」であり、ヘルパーになるための講座も充実しています。若い人たちも、目指したいと思う職業の1つとなっています。

ですが、中国の現状は違います。ヘルパーは、主に貧困層の人たちがする仕事という位置付けなのです。単に、高齢者の身の回りの世話をするだけです。介護に関する専門教育を受けていませんし、特別な資格などありません。ですから、中国でのヘルパーに対するイメージは、若い人が目指したい職業とはかけ離れています。

若い人のなり手が少ない

政府も教育機関を作ってはいるのだが…

深刻な介護問題を解決するために、中国政府は人材育成に取り組み始めています。若い人たちが「介護士」になり、介護のエキスパートとして働けるように、3年制の職業技術大学に「高齢者サービス・管理コース」などを設け、2020年末には279校にまで増やしました。

しかし、多くの若い人は介護職に興味がなく、募集しても学生が集まらないという問題を抱えています。その背景には、根深い社会問題があります。

介護職を見下げる傾向

現状、介護職は重労働、低収入、社会的立場も低いのです。中国では “ホワイトカラー” を目指す若い人(親も)が多い中、介護という職業を「専門職」として捉えることがまだできないのでしょう。

ヘルパーのイメージと社会的立場が上がれば、状況も変わってくるでしょう。ですが、中国の多くの人の見方は、介護職は “ブルーカラー” と捉えている人が多いのです。「意識」が変わっていくことを期待したいものです。

政府の政策も功を奏さず

中国の中央・地方政府も、介護人材育成に力を注いでいます。例えば、広州市政府は、一定期間勤続するとボーナスを支給することにしています。また、北京市政府は、入職奨励金や在職補助金を支給しています。しかし、中国全土でこの施策が充実しているわけではありません。これでは、介護職を目指す人は増えないでしょう。

ヘルパーのスキルアップのためのセミナーも、開催されています。ですが、教育を受けた従業員はより良い待遇を求めて転職してしまうことが多く、介護施設側はこのセミナーを開催すること自体に消極的になっています。

中国での介護人材の確保は、なかなか難しい課題であることが分かります。

日本の映画が介護職に光を当てる

中国の介護業界で話題となった日本の映画です。主人公は、新人の介護福祉士です。思い通りにはいかないお年寄りのケアを通して、人間的に成長していくストーリーです。

ケアニン公式サイト http://www.care-movie.com/

中国での反応は?

この映画の主人公の若い介護士は、認知症の女性を担当し、その女性の最期まで寄り添っていきます。「認知症で人生終わりになんて、僕がさせない」という態度は、中国人の心を捉えました。

この映画を見て感動し、実際に介護職を希望する人たちも出たようです。「人のために働きたい」という精神を持つ若い人たちは大勢います。中国は経済的に発展し、豊かな生活を手に入れました。ステイタスの追求がすべてではなく、精神的に豊かな生活を送る必要性を感じている人は大勢います。

「介護士」は中国ではまだ敬遠されている職業ですが、若い人(と、親)の意識と考え方は変わってゆくでしょう。

まとめ

中国では介護人材の確保が必要なのに、なかなか進まない現状を知ることができました。介護職は重労働、低収入、社会的地位が低いため、イメージが悪いのです。働く条件の改善、「専門職」としてのイメージアップを図れば、状況は変わっていくかもしれません。今後に期待しましょう。

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