ベトナムの食品事情(後編)
近年少しずつ存在感を増しつつあるベトナム。食品小売市場が急速な成長を見せており、多くの日本企業が熱視線を送る有望なマーケットです。しかし、まだまだベトナム市場について詳しく知らない人たちが多いようです。
そこで、今回はJETRO-ジェトロ-(日本貿易振興機構)がまとめたレポートを基に、ベトナム市場の特徴を解説していきます。知っておくと役に立つ知識なので、参考になさってください。ベトナムの食品事情は、前編と後編に分かれています。ぜひ前編もご覧ください。
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ベトナムの富裕層の特徴
ホーチミンとハノイに集中している富裕層
富裕層の割合
ベトナムの富裕層※は、主に大都市圏(ハノイやホーチミン)に集中しています。2020年時点での富裕層の割合は、全体の20%です。これらの富裕層の人たちが、日系企業の商品の主な購買者です。(※富裕層の定義:世帯月収が1,000USD以上)
具体的に平均月収を比べてみると、ベトナム全体の平均月収が「186USD」なのに対し、ハノイでは「277USD」、ホーチミンはもっと多く「292USD」となっています。
一方、下のグラフを見るとお分かりのように、個人年収は「ハノイ」のほうが高い傾向にあります。
富裕層の消費動向
富裕層を「A1(世帯月収1,000~1,499USD)」「A2(世帯月収1,500~1,999USD)」「A3(世帯月収2,000USD以上)」と3つのグループに分けて調査した結果、最も収入が多い「A3」の人たちの消費額が高いことが分かります。
では「A3」の人たちは、月にどのくらい日用品・食品・外食に費やしているのでしょうか。最も多い割合では、日用品・食品に月200-249USD、外食に月150-199USDということです。もちろん、それ以上の消費額も「A3」の人たちが高い傾向が見られます。
このように、富裕層の人たちは、日用品・食品の購入、外食に積極的であることが分かります。ベトナムは「親日国」でもありますから、ハノイやホーチミンの富裕層をターゲットに、日本の商品を宣伝&販売していくことが非常に効果的と思われます。
外食にかける費用と嗜好
『一般的にレストラン(高級、中級、大衆レストラン)において、一度にどのぐらい支払いますか?』という質問を行ったところ、高級レストランでの平均単価は「50~99USD」(35%)が1番多く、中級レストランでは「25~49USD」(32%)、大衆向けレストランでは「15~24USD」(27%)というデータが報告されています。
また、『あなたが好きな各国料理は何ですか』という質問を行ったところ、以下のような結果が出ています。
高級・中級・大衆向けレストラン、どのレストランにおいても「ベトナム料理」が1番人気があります。
ベトナムに限った話ではありませんが、「日本料理」は高級レストランと認識されていて、中級・大衆レストランとしては認識されていないようです。今後、日本料理を中級・大衆レストラン向けにPRすることが課題と言えるかもしれません。とはいえ、ベトナムは経済成長が著しく、今後10年で一人当たりのGDPが4倍になることが見込まれています。もしかすると、年月とともに、高級料理としての「日本料理」が受け入れられていく可能性もあります。
いずれにしても、今後「日本料理」をどのようにPRしていくかが鍵となるでしょう。「良いものを出していれば、いつか分かってもらえる」という精神だけでは通用しませんので、ベトナム人に届く宣伝方法にこだわることが重要です。積極的に「SNS」広告を行うなど、時代に合った宣伝を行いましょう。
ベトナムで伸びている食材はこれだ!
食品・飲料市場の概要
これまでも触れてきたように、ベトナムは急速に経済発展していて、このコロナ禍でも成長を続けています。それに伴い、さまざまな食品の消費量が増加しています。特に消費が増加している食品は、以下の通りです。(消費の多い順)
- 日用品
- 鶏肉・アヒル肉
- 青果物
- 清涼飲料水
- 加工食品
- 豚肉・豚肉製品
- 野菜加工品
- チョコレート・ココア
- スナック
食品輸出入の現状とこれから
ベトナムは農業国として有名なものの、生産物の種類自体は少なく、米・トウモロコシ・ゴム・コーヒー・豚肉などに集中しています。そのため、豚肉以外の肉やチーズなどの乳製品は、輸入に大きく依存しています。
経済成長により所得が向上し、食品の消費量は年々増加していますが、現状の食品加工生産能力ではまかないきれていません。今後はさらに、輸入食品の需要が増加するでしょう。こういったベトナムの現状を見ると、今、日本企業がベトナム進出をするチャンスが来ていると言えます。
まとめ
ベトナムの経済発展は著しく、富裕層が増えていることが分かりました。特に大都市圏(ハノイとホーチミン)に富裕層が多く、世帯年収や個人年収は国の平均と比べて高い水準にあります。
また、所得の向上に伴って、国内における食品の消費が急激に増加していることも分かりました。ベトナム国内だけでは生産能力が追い付いていないのが現状で、今後はさらに輸入が増えてゆくでしょう。
日本には、味噌、醤油、日本酒など、世界に誇れる「特産品」があります。ぜひとも、日本企業が発展の可能性を持つベトナムに進出することを期待したいものです。アフターコロナに向け、今回の特集記事を役立てていただければ幸いです。
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