アフターコロナの観光旅行について

インバウンド需要

はじめに

このコロナショックは、外出制限や自粛要請により、私たちの日常生活だけでなく、観光に対する「意識」をも大きく変えたといえるでしょう。コロナショックの前後で人々の意識がどう変化したのか、今後の観光旅行にどう影響していくのかなど、三菱UFJリサーチ&コンサルティングがまとめたアンケートをもとに分析していきます。

意欲や意識がコロナ後にどう変わったか

観光旅行の行き先の決め方の変化

アフターコロナでは、旅行の行き先を何を重視して決めるようになるでしょうか。アンケート結果を見ると、これまでにはなかった「コロナを意識した視点」が顕著になっています。アンケートでは、選択肢を6つ用意し、重要と感じるものに順位をつけてもらいました。

その結果、重視する要素として多かったのが、「見学、体験する観光資源や宿泊施設等が魅力的である」(29.8%)と、「旅行費用が安い」(28.6%)ということでした。コロナショックの前後関係なく、観光資源と旅行費用は重要視されています。次いで、「旅行先での感染症流行状況や訪問先での対策状況」が 15.7%となっており、感染症対策への関心度は決して低くはありません。それは、これまで観光の1番の目的である「食事が美味しい」(15.0%)を上回ったということからも分かります。今後は、感染症対策が新たな観光地選びの視点になってくることは明らかです。

ですが、感染症対策について、「旅行先の検討において重視しない」と回答する人も 13.7%います。これまで旅行に求める要素とされていた観光資源、旅行費用、食事に関しては今後も重視されるでしょう。しかし、コロナ感染への対策については、非常に気にする人とあまり気にしない人の二極化も考えられます。

感染防止対策を気にするグループは?

感染防止対策についての回答では、男性に比べると女性の方が、旅行先の感染症流行状況や感染症対策状況を重視しています。感染症対策を最も重視すると答えている人は、女性は19.4%いますが、男性は12.1%でした。

年代別では、若年層よりも高齢者層の方が感染防止対策を重視しています。感染症対策が最重要事項としているのは、60歳代で23.4%、50歳代で17.5%となっています。それに対し20歳代~40歳代は約10%でした。特に、30歳代男性が1番気にしない人が多く、高年齢の女性が最も感染防止対策に敏感という結果が出ています。

新しい観光のスタイルについて

新しいスタイルについて

まずは、アフターコロナの新しい観光形態のキーワードを10点挙げました。それぞれがどのような内容の施策や試みなのかについては、表を参考にしてください。

マイクロツーリズム 自宅から1時間から2時間ほどの圏内の地元、または近隣への宿泊観光や日帰り観光のこと。
GoToトラベルキャンペーン 日帰りまたは宿泊を伴う国内旅行の代金を支援する国の施策。旅行総額の2分の1相当額の内、70%は旅行代金の割引に、30%は旅行先で使える地域共通クーポンとして付与される。
ワーケーション 会社員などが休暇などで滞在している観光地や帰省先などで働くこと。ワーク(仕事)とバケーション(休暇)を組み合わせた造語で、仕事と休暇を両立させる働き方として提唱されている。
ブレジャー(Bleisure) 仕事(Business)と余暇(leisure)を組み合わせた造語で、出張に休暇をプラスして仕事のついでに旅行も楽しむという休暇の取り方のこと。
ダイナミックパッケージ 航空便などの交通手段に宿泊施設を組み合わせることができる旅行商品のこと。2002年頃から欧米のオンライン旅行会社でサービスを提供している。
オンラインツアー インターネットを使って気軽に参加することができる疑似体験(バーチャル)ツアーのこと。自宅にいながら国内外の世界遺産や観光地に行ったかのような気分に浸れる観光体験。
ホテルのデイユース 宿泊者用のホテルの部屋を昼間に利用できるプランのこと。「Day=昼間+Use=使う」の意味から「デイユース」と言われる。
グランピング グラマラス(Glamorous)とキャンピング(Camping)を掛け合わせた造語で、ホテル並みの設備やサービスを利用しながら自然の中で快適に過ごすキャンプのこと。
スキルシェアリング 技能や知識を個人の間で有料で提供し合う商取引のこと。語学や資格、イラスト、メイク、音楽、スポーツなど、幅広い分野で提供者と購入者がインターネット上のサービスを介して契約する。
MaaS (Mobility as a Service)移動のサービス化の略語で、あらゆる移動(モビリティ)をひとつのサービスととらえる新たな移動の概念のこと。「マース」と読む。

新しいスタイルの認知度

上記の10のワードについてどのくらい知っているか、認知度に関するアンケート調査では、「Go Toトラベルキャンペーン」がダントツの1位でした。これは政府の施策でしたので、認知度94.6%とほとんどの人が知っており、内容への理解率も76.8%に達していました。

次いで、「オンラインツアー」「グランピング」「ワーケーション」の認知率が60%前後で、過半数以上の人が知っています。「ホテルのデイユース」と「マイクロツーリズム」は認知率 40%前後と、ある程度浸透していることが分かります。その他、「ダイナミックパッケージ」は約20%、「MaaS」「スキルシェアリング」「ブレジャー」に至っては15~17%ほどの認知率で、ほとんど知られていないようです。

これらのワードに関する理解率は、認知率に比例します。逆に、認知度が低いものは理解度も低いということです。

新しいスタイルの参加や利用の状況

上記の10のワードのサービスを利用したことがあるかというアンケートでも、「Go Toトラベルキャンペーン」が1位です。リピーター率は9.4%、参加・利用率は30.1%、今後参加・利用したい人は27.2%、というデータが出ています。新スタイルの観光の中で、最も人気があるようです。

次に、比較的認知度の低かった「ダイナミックパッケージ」は、リピーター率 1.8%、参加・利用率 4.6%となっています。「マイクロツーリズム」は、リピーター率1.2%、参加・利用率 3.5%です。「グランピング」は、リピーター率0.5%、参加・利用率 3.0%であるものの、今後参加・利用してみたい希望者が18.7%(2位)います。今後、利用者が増えてゆくかもしれません。

まとめ

コロナショックによって、観光旅行に対する意識や意欲、価値観がどのように変化しているのか、アンケートを元にまとめてみました。コロナショックは、新しい観光スタイルを生み出しています。人々のニーズに沿って、観光業がまた復活してゆくことを期待したいと思います。。

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