在留外国人のためのお役立ち情報シリーズその3~災害編~

在留外国人のためのお役立ち情報シリーズ

はじめに

日本に住む在留外国人は2020年12月現在で288万人以上※。日本語が堪能な方も多いでしょうが、その多くは日本語の能力の面で限られていることが多く、日々生活する中で日本語でのコミュニケーションに困ることも多いようです。

そうした在留外国人のために、多言語で展開した情報が提供されています。在留外国人のためのお役立ち情報シリーズでは、そうした方々に役立つ情報を適宜お届けします。その3回目は、災害大国ともいわれる日本に住む外国人を災害時にどのように助けられるか、また災害に関連した外国人に役立つ情報をご紹介します。

出入国在留管理庁HPより

外国人を災害から守るために

災害が発生した時、どのように行動し、どこに避難しますか?

これは、日本人でも常日頃再確認することを促されています。しかし、ひと言に災害と言っても、地震、津波、洪水などの水害、土砂災害など実にさまざまあり、行動や避難もケースバイケースになります。

ましてや、避難する意味を学校や職場などで教えられていない外国人は、地域で発生する可能性のある災害や避難場所についての理解が乏しいといえます。加えて地震や津波などの大きな災害を人生で初めて経験する場合もあります。さらに災害や避難関連の専門用語は普段の日常生活ではあまり使われないため理解できないなど、日本人以上にたくさんの課題に直面するでしょう。

そこで今回、総務省がまとめた資料に、外国人を災害から守るために必要な点が解説されているので、ご紹介いたします。

災害発生時に外国人が感じる不安とは?

総務省のまとめた資料によると、外国人は災害時、以下のような悩みや課題に直面することが多いようです。

  • 災害そのもののリスクや被害が分からない。
  • 日本語でのコミュニケーションに限界があるので、避難情報が届かない。
  • 災害や避難に関する基礎的な知識が少なく、情報が入っても適切な避難行動がとれない。
  • 避難所や避難所までのルートや、そこで受けられるサービスが分からない。
  • 日本語の理解に限界があり周りの空気を読むことが難しく、避難所でどのように行動すればいいか分からない。
  • 避難生活について、文化や習慣、宗教上の配慮がされない、もしくは後回しにされること。
  • 避難所では普段使わない日本語が使われる。(不通・救援・給水・余震・「ご自由にお取りください」など)
  • 避難生活で日本人の理解不足・誤解によって排除・差別的な扱いを受ける。

災害発生時に外国人をどうサポートするか?

災害発生時の外国人サポートにおいて、多言語化は特に重要と言えます。ウェブサイトやSNSに日本語で発信する、「やさしい日本語」での情報発信するだけでは、在留外国人には届かずサポートにならない場合もあります。

多言語で情報を発信した場合、次の3つの効果が得られます。

  • 翻訳効果ー情報の内容を多言語で知らせることにより、確実に理解できるようになる
  • 承認効果ー自分の言語がある・社会から存在を承認されているという安心感が得られる
  • アナウンス効果ー外国人の存在を日本人向けに発信し、社会全体が知ることができる

多言語支援の目的は「安心を届けること」です。翻訳は手段に過ぎないことを理解しておく必要があるでしょう。

外国人が私たちを助けてくれるケースも多々ある

地方だけではなく、都市部でも平日・日中に地域にいるのは高齢者や障害者と中学生以下の子供だけである場合は少なくありません。そのような地域で平日・日中に災害が起こった場合、高齢者や障害者の避難をサポートできる比較的若い地域住民として外国人労働者の役割が大きいでしょう。

2015年の茨城県の水害の際には、夜勤明けの外国人が多くの高齢者を助けたケースがあります。また、消防団や自治会で活躍する外国人も少なくありません。

さらに、災害時の支援拠点になるコンビニや飲食店などのお店では多くの外国人が働いており、帰宅が難しい場合や食料・水分・情報の提供を求める場合にそうした人たちに頼るケースも出てくるでしょう。

災害発生時にそうした人たちにも支援の担い手になってもらうためには、災害発生前の時点で充分な情報を知らせ、訓練の機会を提供しておく必要があると言えます。

長野県茅野市の事例

長野県茅野市で外国人支援を行うグループの「ねこじゃらし茅野」が、外国人にも防災や避難について分かるガイドブックを作成しました。日本語、英語、中国語、ポルトガル語、タガログ語の5ヵ国語で書かれています。

特に「炊き出し」や「安否確認」など、ニュースや防災で使われる難しい言葉は外国人には分かりにくいです。そのような言葉を23個リストアップして言葉の意味を解説しています。

さらに、外国人にとっては分かりにくい・また知らない人も多い5段階の警戒レベルを解説したり、災害時の情報収集に大いに役立つ気象庁などのホームページを載せています。(情報元:信濃毎日新聞Web)

まとめ

今回は、災害が発生した時に外国人が感じる不安や彼らをサポートする方法についてご紹介しました。

彼らの不安は、ほとんどの場合言語の壁や文化の違いから生じています。彼らをサポートし、少しでも不安を払拭するために、まずしなければならないファーストステップは、多言語での情報発信です。

コロナ禍で観光客をはじめとする就労・留学目的の外国人の来日はこれまでに比べれば大幅に少なくなっています。しかし日本政府の政策もあって今後もしばらく外国人労働者や在留外国人の数は増加し続けることでしょう。

日本社会は、これからさらに多くの外国人を受け入れていく方向へと動き出しています。世界でも特に災害が多い日本に暮らす外国人の防災対策に取り組むことにより、日本はもっと住みやすい国になることと思います。

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