世界的に広がる乳製品代替食品について(後編)
はじめに
このシリーズの前編では、世界には牛乳や乳製品を取らない人たちが一定数いることが分かりました。その理由として、味が好みではないこと以外に様々な理由があることが取り上げられました。
後編では、牛乳や乳製品に替わる食品としてどのようなものがあるかご紹介します。
どんな乳製品代替食品があるのか?
各国の乳製品代替食品の消費動向を調査した結果から、いくつかピックアップしてみました。ちなみに、アンケートは乳製品を取る人、取らない人の両方に聞いたものです。
豆乳
豆乳は他の乳製品代替食品よりも多くの国で高い傾向があり、インドネシアが最大の80%、次いでタイが77%、中国が70%でした。これらの国は、他の品目も高い傾向にあり、豆乳を始め、全体として乳製品代替食品を積極的に摂取していることが窺えます。
日本でも、乳製品代替食品の中で最も高いのが豆乳です。ただし、トップの豆乳でさえ49%で、他の品目は30%を切っており、乳製品代替食品の喫食が進んでいない状況が見受けられます。
さらに、米国や豪州では、豆乳を喫食したことのある人が30%を下回り、日本同様、全品目において喫食が進んでいるとは言い難い状況です。
アーモンドミルク
次いで多い品目が、アーモンドミルクやココナッツミルクです。
アーモンドミルクは、米国、ドイツ、豪州では全品目の中でトップとなり、アーモンドの主要生産国である米国が49%で最大です。次いでドイツが48%、中国とタイが44%、豪州43%と続いています。一方、日本やインドネシアでは30%を切っており、馴染みの薄い品目であることがわかります。
ライスミルク
ライスミルクは、多くの国で他の品目よりも喫食の割合が低い傾向にあります。タイが49%と最も高い一方、他の国はみな10~20%代で、日本に至っては8%と最も低い結果でした。中国26%、ドイツ24%と、この2国は他の国に比較して相対的には高いものの、中国、ドイツそれぞれの国内では喫食率が高いわけではなく、ポピュラーな代替食品とまではなっていないようです。
日本を始め、米を生産する国がほとんどですから、市場が拡大すれば今後の需要に期待できる可能性もあるでしょう。
ココナッツミルク
ココナッツミルクは、豆乳、アーモンドミルクに次いで多くの国で喫食の割合が高い傾向にあります。ココナッツの主要生産国であるブラジルやインドネシアが高く、ブラジルが最大の62%、次いでインドネシアが45%でした。
意外にも、ドイツとタイがいずれも44%、豪州が36%、中国34%と、各々の国内でも代替品として検討しているようです。また、日本は28%と国中最も低い割合でしたが、国内代替品としては、豆乳を除いてはアーモンドミルクと並びココナッツミルクが2番手の代替品あることに注目すべきでしょう。
そのほかの乳製品代替食品
そのほかの乳製品代替食品としては、植物由来のヨーグルトが、インドネシアが最大の33%、次いで中国が30%でした。他の国も20~30%で喫食していますので、植物由来の代替食品としてポピュラーな品目と言えるでしょう。
次に、豆乳チーズなどの植物由来のチーズは、ブラジルが最大の35%、次いでインドネシアが28%、タイ20%でした。一方、日本13%と豪州12%が低くなっています。
また、植物由来のアイスクリームは、インドネシアが最大の27%、次いでタイが24%ですが、中国と米国が同率で21%、豪州も19%と、割合は拮抗しています。一方、ドイツ13%と日本12%が低く、日本は最下位です。
なぜ乳製品代替食品を食べるのか?
では、なぜ乳製品代替食品を食べるのでしょうか。この質問に対する回答としては、「健康・ダイエットに良さそうだから」「おいしいから」といった答えの割合が全体的に高い傾向にあります。
日本の場合、「安全そうだから」の割合が8カ国の中で最も高くなった(10%)一方、「持続可能性に配慮したものだと思うから」は最も低い結果(5%未満)でした。
「持続可能性に配慮したものだと思うから」に関しては、ブラジル(24%)、ドイツ(16%)の割合が高く、最下位の日本に次いで低いインドネシア、タイ、米国は10%以下です。
また、「家畜にとっていいことだと思うから」は、ドイツの割合(10%)が最も高かったものの、他の国はみな低く(5%未満)、関心が薄いことが見て取れます。
まとめ
牛乳や乳製品を喫食しない動きが世界的に広まりつつある中、その代替食品のさらなる開発が求められているのが現状でしょう。乳製品代替食品の市場拡大に伴い牛乳や乳製品を喫食しないことの意義が認知されれば、さらに多くの国で乳製品代替食品が日常的に喫食されていくことは間違いありません。