落ち込んだ「観光」を復興させよう!政府が進めるサポート策

インバウンド需要

新型コロナウィルスの流行は観光業界に大きな打撃を与えました。しかし、政府もただ衰退するのを座して待つのではなく、観光庁の予算を増額し、新たな対策を打ち出すことで「復興」の取り組みを進めています。

そこで、ここではポストコロナにおける観光業について考えていきます。

​​観光庁は予算を増額

観光庁は令和4年度の予算概算要求を発表。予算の総額は約177億円で、これは前年比では約1.2倍の規模です。また、内訳を見るとすべての項目で増額されており、観光庁がポストコロナにおける観光産業の本格的な復興を見据えて力を入れていることが分かります。

出典:「観光庁」
  • 観光産業の再生と「新たな旅のスタイル」の普及・定着:約22億円、前年比1.3倍
  • 国内外の旅行者を惹きつける滞在コンテンツの造成:約22億円、前年比1.42倍
  • 受入環境整備やインバウンドの段階的復活:約126億円、前年比1.15倍

観光庁が行う支援は?

地域の観光資源ブランディング

出典:観光庁

各地域には必ず独自の観光資源が存在します。この観光資源を十分に活用し、オリジナリティのある看板商品を創出・ブランディングすることで地域の活性化を狙います。具体的には、自然、食、歴史、文化・芸術、地場産業(生業)などといった地域独自の観光資源について、販路の開拓や拡大の提案、ブランディング支援などを行います。

宿泊・施設の整備

出典:観光庁

観光地を復興させるためには、地域内で個別に取り組むのではなく、地域全体を一つと考えて面的な「高付加価値化」への取り組みが必要となります。具体的には観光地の中核をなす宿泊施設の改修やリプレイス、廃屋を撤去することによる敷地の有効活用、土産物店・飲食店などの改修、公共施設におけるカフェなどの導入等のサポートを行います。

ワーケーションの普及

出典:観光庁

ワーケーションは「ワーク+バケーション」の造語。どこでも仕事ができるリモートワークの特性を生かし、観光地やリゾート地で仕事を行うという新しいワークスタイルです。

これまで社会人の旅行と言えば大型連休や有給休暇などを利用して行われることが多く、あまり気軽に行えるものではありませんでした。しかし、このワーケーションが社会に普及すればより気軽に旅行をしてもらえるようになることから、観光庁はこの「ワーケーション」の普及を目指して様々な取り組みを行っています。

一つは「企業と地域のマッチングの強化」です。ワーケーションに関心の高い企業と地域をマッチングし、実際にトライアルを行ってワーケーションの効果を検証。そのうえで企業側におけるワーケーション制度導入と地域側の受け入れ態勢整備をサポートします。さらに、企業や従業員を対象とした実態調査を並行して実施することで問題点や課題点を洗い出し、ワーケーションを利用しやすい環境の構築を行います。

また、ワーケーションはまだ知名度が高くないことから、プロモーションの強化も重点的に進めていきます。メディアを活用した情報発信はもとより、専用ウェブサイトの整備・拡充、企業向けの講習会、経営者や人事担当者向けの体験会などを実施します。

「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の推進

「DX(デジタルトランスフォーメーション)」は、エリック・ストルターマン氏が提唱した「進化し続けるテクノロジーが生活をより豊かにしていく」という概念。近年、デジタル市場は右肩上がりの成長を見せており、様々な分野でDXが重要視されています。

そこで、観光業界においてもこれを推進し、デジタル技術と観光業の融合を図ることで、新しいコンテンツの創出や観光サービスそのもの変革などを目指した取り組みを行っています。

例えば、AR(拡張現実)・VR(仮想現実)や5Gなどのデジタル技術の活用が挙げられます。既存の観光資源に新しい体験を付与したり、バスや鉄道などの移動手段に価値を付与することで満足度を高めます。

また、予約・経路検索のデータや人流・購買のリアルタイムデータなどを活用することで消費行動を誘起し、旅行消費額を拡大することで観光地経営の改善を目指す取り組みも。さらに、位置情報ゲームアプリや動画配信サービスなどを利用することで旅行客を誘致し、同時にリピーター率を高める取り組みなども行っています。

​​旅行客受け入れ環境の整備

旅行滞在時における快適性や安全性は、観光地の魅力に直接的に影響します。観光資源がどれだけ素晴らしかったとしても、受け入れ環境に問題があると旅行満足度は大きく低下してしまいます。そこで、観光庁は旅行者がストレスフリーに旅行を満喫できる環境の整備に向けて以下のような取り組みを支援します。

観光施設等における安全・安心の向上に向けた取組を支援

  • 非常用電源装置の設置や防災トイレの設置による災害時避難機能の強化
  • 翻訳機器の整備などによる災害時・急病時の多言語対応強化
  • サーモグラフィーの導入による感染症対策の強化

宿泊施設での滞在時の快適性の向上に向けた取組を支援

  • DXによる非接触チェックインシステムや換気設備の導入による感染症対策の強化
  • 無料Wi-Fiサービスの拡充
  • トイレの洋式化、および案内表示の多言語化
  • スロープの設置や多目的トイレの設置などによるバリアフリー化の促進

移動に係る利便性及び快適性の向上に向けた取組を支援

  • 多言語表記の整備
  • 旅客施設や車両内などにおける無料Wi-Fiの整備
  • 旅客施設のバリアフリー化
  • 全国共通のICカードやQRコード決済の導入

まとめ

落ち込んだ観光業界を復興すべく政府、自治体、企業が力を合わせて取り組みを続けています。ワクチンの普及率も約8割にまで達し、国内におけるコロナの状況が大きく改善されつつあることも考えると、状況は少しずつ良いほうへ向かっているように思えます。今はまだ元のような賑わいを見せることは難しいかもしれませんが、今を凌げばきっと「復興」できることでしょう。

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