外国人は住宅ローンを組めるのか

在留外国人のためのお役立ち情報シリーズ

はじめに

最近、日本で働く外国人が増えてきました。日本で働きたい、生活したいと思って来日した外国人です。

一方、日本の実情は?というと、労働人口の不足という問題を抱えています。定年を過ぎても現役で働き続ける人は増えていますが、日本は今後急速に「少子高齢化」が進み、労働人口がますます減少するという可能性も無視できません。

外国人労働者は欠かせない存在となります。定住して仕事を続けるために、マイホームを購入したいと考える人もいるでしょう。

もし外国人が日本でマイホームを購入したいと思う時、日本の金融機関で住宅ローンを組むことは可能でしょうか?ここでは、外国人が住宅ローンを組めるのか、必要な条件は何かについて取り上げます。

外国人の需要は大きい   

まず日本の現状を見てみましょう。経済産業省が作成した将来人口の予測に関する表によると、日本の人口減少の現実が分かります。

出典:経済産業省

2008年をピークに人口が徐々に減少しており、2050年には人口が1億人にまで減少するとみられています。国内の生産活動の中核となる生産年齢人口比率も1995年をピークに減少しています。

高齢者といわれる65歳以上が多く、64歳以下の生産活動の中心にいる現役の人が少なくなり、働き手不足の状況が続くと思われます。そうなると外国人労働者が必要となります。特に重労働が伴う農業、水産業、建設現場、工場、そして介護現場などです。

現在、在留外国人は288万人以上います。そのうち、永住権を持つ外国人は約80万人です。

厚生労働省のまとめによると、新型コロナウイルスの影響があるとはいえ、現在、外国人労働者数は172万人以上いることがわかっています。

新型コロナの拡大が落ち着き、入国制限がさらに緩和されれば、来日する外国労働者も増え、日本に長く住んで働きたいと考える外国人が増えることでしょう。家族と一緒に安定した暮らしをしたいと思うのであれば「マイホームを購入したい」と考える外国人が増えるのも、自然な流れだといえます。

外国人は不動産取得できるのか     

日本の法律は外国人の不動産所有を認めています。ですから、外国人であっても日本人と同じように、土地・不動産のどちらも所有権が認められています。目的が居住用でも投資用でも購入できます。

特に2013年8月には海外投資家による日本の不動産への投資を促す政策が実施され、多くの外国人が日本の不動産を取得する動きがありました。円安を受け、海外投資家が日本の不動産は購入しやすく、安定性があり、魅力的と考えたようです。また、諸外国では外国人の不動産所得を認めていないところもありますが、条件さえ整えば取得しやすい日本の物件は人気があります。

投資家だけではありません。日本の住みやすさ、文化などに魅かれて日本に住み続けたいと思う人もいます。労働者だけでなく留学生でも家を持ちたいと考える人もいます。

東京では、外国人の不動産所有が増えています。例えば、中国人の富裕層が投資目的でビル一棟まるごと購入するケースも見られます。

購入したマンションを他の人に貸すことで、毎月の固定収入を得ているという外国人もいます。

住宅ローンを組むには「永住権」が必要

全額を現金で支払えればいいのですが、マイホーム購入費用は大金です。なかなか現金で準備できる人も少ないでしょう。では、日本で働く外国人が住宅ローンを組んでマイホームを購入するための必要条件は何でしょうか?

「永住権」または「日本国籍」を持つことが必要です。永住権があれば、一般的な日本人と同じ基準で審査されます。数千万円を数十年にわたって返済するのですから、年収、借り入れの有無、勤続年数や勤続形態などが審査され、きちんと返済できると認められれば住宅ローンを組むことが可能です。

逆に、永住権がないと、金融機関が限られ、ローンを組むのは難しくなります。もし、完済前に帰国してしまったら、ローン残金の回収が難しくなり、金融機関が抱えるリスクが大きいからです。また、保証会社からの保証を得るのも困難です。

さらに、永住権がない外国人は日本語に限界があり、難しい契約書を理解できない可能性が高いので、住宅ローンを断られるケースもあります。

ですから、住宅ローンを組んでマイホームを購入したいのなら、永住権を取るのが確実な方法と言えます。

永住権を取得する条件

では、どうすれば永住権を取得できるのでしょうか?永住権を取得するには3つの条件があります。

1つ目は素行が善良であることです。

法務省が作成したガイドラインには「日本の法律を遵守し、日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること」とあります。日本の法律を守り、犯罪やトラブルを避けて生活する善良な市民であることが求められます。

2つ目は独立した生計を営むことのできる資産または技能を有していることです。

同じく法務省のガイドラインによると「日常生活において公共の負担にならず、その有する資産または技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること」と定められています。その人の収入・技能によって継続的に安定した生活を送れることが必要です。ですから、所有資産や職業、年齢がチェックされ判断されます。

3つ目はその人の永住が日本国にとって利益となると認められることです。そのためには10年以上在留していること(そのうち5年以上は就労資格、居住資格によって在留していなければなりません)、納税や出入国の届け出など公的義務を履行していること、最長の在留期間を有していること、公衆衛生上の観点から有害となる恐れがないことといった条件をすべて満たす必要があります。

安定した収入があり、健全な生活を送っていて、定められた条件を満たしていれば永住権は取れます。でも審査が通るまでには約4か月かかるので、余裕をもって手続きすることをお勧めします。

永住権がなかったら?

永住権がないと住宅ローンを組めないということではありません。こんな方法があります。

・日本人もしくは永住権を持っている配偶者が保証人となる

金融機関によって申し込みの基準や要件が異なるので、担当者とよく相談しましょう。なお、永住権がないと適用金利が通常よりも高くなる傾向があります。そこもしっかり確認しておいた方がいいでしょう。

・母国の銀行が日本支店を出している場合、そこを利用する

例えば、中国の交通銀行や中国銀行は日本にも支店があり、融資を扱っています。ただし、母国の金利が適用されると、金利変動のリスクもあることを覚えておきましょう。

・永住権を持たない外国人向けの住宅ローンを扱っている金融機関を利用する

各金融機関ごとに条件が違いますので、問い合わせて確認しましょう。

・頭金を多目に用意する

日本人がローンを組む場合もそうですが、頭金が多いほうが審査に通りやすいと言われています。そうすれば収入が安定していることを証明できますし、返済期間も短くなります。

まとめ

外国人でも住宅ローンを組んでマイホームを購入することは可能です。もちろん、いくつか条件はありますが、それさえクリアできれば不可能ではありません。

日本人なので関係ないと思わずに、ちょっと頭の隅に置いていただければ嬉しいです。これから日本で生活する外国人はもっと増えてきます。もしかしたら、同僚になるかもしれません。もしかしたら、近所に引っ越してくるかもしれません。こうした情報を持っていることで、外国人の知り合いと親しくなるきっかけになるかもしれません。

翻訳市場調査などの「外国語サポート」が必要な方は、
ぜひ「アットグローバル」にご相談ください。
見積もりやご相談は完全に無料です。こちら からどうぞ!