日本の「世界遺産」を再確認しよう
はじめに
世界には1154の世界遺産があります。(2021年8月)
では、日本に世界遺産はいくつあるでしょうか。現在、25の世界遺産がユネスコの世界遺産に登録されています。
そのうち文化遺産が20件、自然遺産が5つです。
2021年には、2つの世界文化遺産と世界自然遺産が新たに加わりました。
皆さんは、いくつ思い出せますか?日本に住んでいても知らないものがあるのではないでしょうか。
改めて、日本の世界遺産について確認してみましょう。
日本の世界遺産一覧
日本の世界遺産にはこんなものがあります。
日本の世界遺産一覧 (緑色の文字は自然遺産)
法隆寺地域の仏教建造物(奈良県) | 姫路城 (兵庫県) | 屋久島 (鹿児島県) | 白神山地(青森県・秋田県) | 古都京都の文化財 (京都府・滋賀県) |
白川郷・五箇山の合掌造り集落 (岐阜県・富山県) | 原爆ドーム (広島県) | 厳島神社 (広島県) | 古都奈良の文化財 (奈良県) | 日光の社寺 (栃木県) |
琉球王国のグスク及び関連遺産群 (沖縄県) | 紀伊山地の霊場と参詣道 (三重県・奈良県・和歌山県) | 知床 (北海道) | 石見銀山遺跡とその文化的景観 (島根県) | 小笠原諸島(東京都) |
平泉‐仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群‐ (岩手県) | 富士山‐信仰の対象と芸術の源泉‐ (山梨県・静岡県) | 富岡製糸場と絹産業遺産群 (群馬県) | 明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業 (福岡県・佐賀県・長崎県・熊本県・鹿児島県・山口県・岩手県・静岡県) | ル・コルビュジエの建築作品‐近代建築運動への顕著な貢献‐ (東京都) ※フランス・ドイツ・スイス・ベルギー・アルゼンチン・インド |
「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群 (福岡県) | 長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産 (長崎県・熊本県) | 百舌鳥・古市古墳群‐古代日本の墳墓群‐ (大阪府) | 奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島 (鹿児島県・沖縄県) | 北海道・北東北の縄文遺跡群 (北海道・青森県・岩手県・秋田県) |
知っているものがありましたか?
原爆ドームや厳島神社、富士山や屋久島などは有名です。実際に旅行で訪れた方もおられるでしょう。
場所は知っていても、世界遺産だということを知っているものは少ないかもしれません。
2021年に加えられた世界遺産
2021年に加えられた世界自然遺産が、奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島です。
知床、白神山地、屋久島、小笠原諸島に並んで、日本で5番目の自然遺産です。
奄美大島・徳之島・沖縄北部・西表島
自然遺産とは、重要な地形や生物の多様性、景観美を持つ土地を保護するという目的で認定された自然現象や地域のことです。
では、奄美大島・徳之島・沖縄北部・西表島はなぜ自然遺産に認定されたのでしょうか?
このエリアは、世界の生物多様性ホットスポットの1つで、日本でも生物多様性が突出して高い地域です。面積が日本の国土の0.5%に満たないにもかかわらず、ここには、日本の動植物種の多くが存在しています。その中には、絶滅危惧種やこの地域の固有種も含まれます。
絶滅危惧種とは、絶滅の恐れがある野生動物のことです。原因として、開発による生息地の減少、密漁などの乱獲、環境汚染があげられます。また、人間が持ち込んだ外来種による影響もあります。
例えば、イリオモテヤマネコ、ヤンバルクイナ、アマミノクロウサギなどはこの地域にしかいない、国際的絶滅危惧種の代表です。
野生動物だけではなく、たくさんの貴重な植物、昆虫、爬虫類などが存在しており、独特で豊かな生物多様性が見られる生息域は世界的にもかけがえのない地域なのです。
こうした生物の保全の重要性が認められたので、奄美大島・徳之島・沖縄北部・西表島は自然遺産として認定されました。
出典:環境庁
北海道・北東北の縄文遺跡群
2021年に世界文化遺産に認定されたのは、北海道・北東北の縄文遺跡群です。
文化遺産とは、歴史・芸術・研究の上で重要な建造物や遺跡を保護するために認定される文化財のことです。
北海道・北東北の縄文遺跡群は、北海道6遺跡、青森県8遺跡、岩手県1遺跡、秋田県2遺跡の合計17遺跡で構成されています。関連する遺跡(関連資産)が北海道と青森県に1ヵ所ずつあります。農耕社会に入る以前の時代の生活、精神性を探ることのできる遺跡です。
縄文時代と聞いても、人々が狩りをして暮らしていたとか、縄文土器くらいしか思いつかないのですが、遺跡を見学するとその時代の人々の暮らしが少しイメージできるかもしれません。
縄文人は約15,000年前に定住生活を開始したと言われています。それ以前は、獲物を求めて狩りをしながら生活していたので、すぐに移動できるテントのような家に住んでいたと考えられています。
縄文時代になると、安定して食料を確保できる場所を見つけ、土器を作り、住宅(竪穴式住居)やみんなで集まる広場、亡くなった人を埋葬するお墓も作りました。また、世代間、集落間のつながりを大切にしながら、定住して生活するスタイルを始めました。今でいう、「村」の始まりです。
縄文時代の人々は、自然のめぐみを大切にしながら自給自足の生活をしていました。自然の恵みを取りすぎず、ゴミを出さず、その生活スタイルはとても「エコな暮らし」だと言えるでしょう。気候や環境の変化にも上手に順応しながら、自然の恵みに寄り添って、助け合いながら暮らしていました。知恵を働かせ、技術を磨き、生活に必要な道具を作って、家族や仲間と一緒に時間を過ごしてきたのです。
この遺跡には、縄文時代を彷彿とさせる地形や、自然環境などが保全されています。当時の人々が何を食べていたのか、どんな環境で生活していたかなどを知る手がかりを見つけることができます。
遺跡周辺の施設には、遺跡の詳細や発掘調査の状況、土器や土偶など出土品の展示もあります。縄文時代の生活に思いをはせながら、四季折々の自然も楽しむことができます。
世界中でSDGsが注目されている現代にも役立つヒントがあるかもしれません。家族で、何が学べるか考えながら縄文遺跡を巡るなんて楽しそうですね。
北海道・北東北の縄文遺跡群マップ
出典:縄文遺跡群世界遺産登録推進事務局サイト
まとめ
日本には世界に誇れる自然遺産と文化遺産がたくさんあります。地名や場所は知っていても、世界遺産だとは知らなかった所もあったかもしれません。
旅行というと「温泉でのんびりしたい」、「おいしいものを食べたい」となりがちですが、「日本の世界遺産を制覇する」というのもおもしろそうです。
機会が訪れたら、日本の世界遺産巡りをするのも楽しいでしょう。世界遺産を特集したツアーやサービスを扱っている旅行会社もたくさんあります。比較的近い所から行ってみるのもいいですね。
それぞれの世界遺産には、認定された理由があります。まずは情報を集めてみてはいかがでしょうか。なぜ世界遺産に選ばれたかを知ると、もっと興味がわいてくるはずです。
自然や文化を楽しみたい外国からの観光客は、日本の世界遺産にも興味があるでしょう。その時に備えて、多言語対応の準備も進めておきましょう。