輸出ビジネスを始めるおおまかな流れ(Part2)

はじめに

どのようにしたら輸出ビジネスを始めることができ、海外貿易を成功させることができるのか、についてお伝えする全3回シリーズの2回目。前回は、輸出ビジネスを始める際の手順について、東京商工会議所の資料をもとに、全体的な流れと日本での支援機関についてご紹介しました。今回も同資料をもとに、現地市場へのアプローチ方法とその流れ、国内取引との違いや注意点などについてお伝えします。
参照:東京商工会議所「海外ビジネスハンドブック

おおまかな流れ

代理店へのアプローチ

海外で自社製品を展開しようとする際の初期段階は、現地の需要も分からない状況ですから、すぐに海外に支店を設立するのはリスクも大きく現実的ではありません。
そのため、現地で自社に代わって自社製品を販売してくれるパートナーを利用するのが最適です。

海外での販売パートナーには代理店(Agent)と販売店(Distributor)があります。
代理店は販売仲介をメインに在庫を持たず販売した分の手数料を受け取るのに対し、販売店は商品の輸入から販売までのすべて請け負います。

これら現地パートナー(以下、代理店)に積極的に働きかけ、彼らが売りたいと思える動機付けをして動かすことが重要です。
一般的には、売上や利益が大きく回転率の高い商材などが優先されますが、彼らの関心を引くものや細かな支援のあることも重要です。
代理店との信頼関係を構築し安定的な取引継続のためにも、十分なコミュニケーションを図ることを心がけましょう。

常に最新情報をキャッチ

現地パートナーによる代理店経由の販売には、実際の市場を知り尽くした営業活動ができるなど多くのメリットがありますが、代理店任せにしたままでは最新情報が見えにくくなってしまいます。

販売報告の定期的な義務付けと、その内容を社内にフィードバックする仕組み作り、そして、現地との人的交流を増やす試みが必要でしょう。
現地での顧客の反応や競合の動きなどタイムリーな情報は売上向上に不可欠なものですから、自社で常に最新情報を入手するようにすべきです。

販路拡大方法

販路を拡大する3つの方法をご紹介します。

  1. 現地の市場分析により、自社の強みをさらに伸ばすにはどうすべきかを見極める
  2. 現地での足場ができたら、他商材の販売網拡大や新商品開発を試みる
  3. 現地商材を日本国内で販売し、代理店との関係強化を図る

見積書の作成

顧客との取引を行う際に必要な最も基本的な書類は見積書。
海外取引特有の留意すべき点を踏まえ、以下のポイントに注意して作成します。

第一に、取引できる条件かどうかを分析するための「リスク調査・分析」が必須だということ。
また、各コストにおける相見積りを取り、全ての条件を加味したうえで価格を決めなければなりません。
さらに、基本的な貿易の流れを熟知したうえで、コストやリスク負担などの取引条件を決定するようにしましょう。

出典:東京商工会議所資料

価格の設定

国内取引とは異なるコストが発生する海外取引では、決定した取引条件に必要なコストをあらかじめ計算し把握したうえで販売価格を決定するようにします。
この取引条件を決める要素は、受渡場所などの貿易条件と、決済条件・決済通貨です。
必要となるコストとは、商品そのものにかかるコストのほか、国際輸送費・国内運送費などの運賃、そして輸送保険料・税関や消費税、各種手数料など経費の合計です。

販売価格を決定する際に最も重要なことは、どのくらいの利益を確保するかという点。
同じ利益を得るにしても、国内と海外ではかかるコストが異なるからです。

まとめ

輸出ビジネスを始めるためのおおまかな流れを、2回にわたって考えてきました。もちろん、これだけで全てがうまくいくわけではありませんが、全体像を掴んで、海外展開をスムーズにすすめていただきたいものです。海外輸出を支援する公的機関がありますから、積極的に活用し、必要な指導を受けましょう。

Part3では、貿易のフロー、お金の流れ、リスク管理についてお伝えします。

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