外国人社員の質問に「やさしい日本語」で答えようPART2

はじめに

外国人を雇用する企業が増えていて、外国人労働者の存在が大きくなりつつあります。とはいえ、外国人にとって当たり前の習慣が、日本では通用しないことがあります。逆に、日本では当然の習慣が、外国人には馴染みがないことも多々あります。

もし雇用した外国人が、職場で使う日本語を理解できなければトラブルに発展する恐れがあります。また逆に、雇用している日本人側のストレスともなり、思うように仕事がはかどらなくなります。

ここでは、職場における外国人が抱えがちな質問・要望に「やさしい日本語」でどう対応できるか、シリーズ第2弾です。厚生労働省の資料を元にご紹介します。

外国人に馴染みのない日本の習慣を伝える

日本人の常識や当たり前を当然わかっていると思いこまずに明確に説明する必要があります。外国人にとって馴染みのない文化なので説明するときには、やさしい日本語を使うと理解してもらえやすいでしょう。

用語の意味を理解して簡単な日本語で説明する

厚生労働省では労働者と雇用者向けに、いろんな言語に対応して作られた雇用管理に役立つ多言語用語集を用意しています。サイトには9か国語に加えて雇用者がそれぞれの労働者の言語を学ばなくても通じる「やさしい日本語」が載せられています。用意されている「やさしい日本語」を使うだけで理解してもらえるというのは非常に便利です。

労働時間について

法定労働時間と休憩時間

日本に出稼ぎで来ている多くの外国人は、日本にいる間にできるだけいっぱい仕事や残業をして稼いで母国に帰ろうと思っています。しかし、日本の法律では労働時間の上限が決められて働くことができる時間が決まっています。これを「法定労働時間」と言います。休憩時間や休日は労働者を守るために決められているのはご存じのことでしょう。

また、「留学」や「家族滞在」の在留資格で資格外活動許可を得てアルバイトをしている場合は、働く時間が原則週28時間以内(学則で定める長期休暇期間中は1日8時間以内、週40時間以内)と決められているので雇用者も注意して労働者のシフトを管理したり気づかせてあげる必要があります。

やさしい日本語でどう労働者に説明できるでしょうか?

以下の文例を参考にして説明してあげると分かりやすいでしょう。

全般的なこと・長い時間仕事をすることは、仕事をする人の心やからだのためによくないですから、法定で仕事をする時間が決まっています。これを「法定労働時間」といいます。会社は、この時間を守らなければなりません。
労働時間・仕事をする時間は1日8時間まで、1週間40時間まで。
休憩時間・休みの時間は6時間以上仕事の時は45分休む。8時間以上仕事するときには、1時間休む。
休日・休みの日は毎週1日以上休むか、4週間で4日以上休む。
出典:厚生労働省

ポイント:できるだけ文は短く切って、漢字を使わないようにすると分かりやすい文章になります。漢字を使う時は上にふりがなをつけましょう。

始業時間と就業時間

外国人と日本人では文化の違いによって、仕事や時間に対する見方や感覚が異なります。

日本人は学校などで「5分前行動」と教えられていて、遅刻に厳しい文化であると考えられます。それに対して、外国人は始業時間が9時だったら9時に到着すればいいと理解する人もいます。なので、始業時間が9時とだけ言うのではなく、分かりやすいように9時に仕事を始められるように到着する必要があるということを説明する必要があります。

また日本人に対しても退社時間についても最近見直されつつありますが、就業時間後すぐに退社してもよいのか、仕事が残っていれば働いてもらいたいのかも、契約時にはっきり伝えておく必要があります。自分の考えや会社または日本社会のあたりまえを当然だと考えずに明確に説明するとよいでしょう。

やさしい日本語でどう労働者に説明できるでしょうか?

就業時間について・仕事が始まる時間と終わる時間を必ず守ってください。
・仕事が始まる時間は9時です。9時までに準備をして、9時には仕事を始められるようにしないといけません。9時に会社に着くと仕事を始める時間が遅くなるのでいけません。
・早めに会社について服を着替えたり、道具の準備をします。
・仕事が終わる時間は17時です。17時までには仕事をしなければいけません。
勤務態度について・会社に遅れて着いたり、まだ仕事が終わっていないのに帰ると頑張っていないと思われます。
遅刻について・電車やバスが遅れたり、あなたの理由で遅れそうになったときはすぐに会社に連絡をします。
・遅れそうと知ったときに、会社に連絡して遅れることと遅れる理由を伝えます。
・そしてもし何時に会社に到着する予定かわかっていたら合わせて伝えると良いでしょう。
勤怠管理・タイムカードは自分でつけます。誰かにお願いしたり、仕事をした時間よりも長く書いてはいけません。会社に信用してもらえなくなります。
・何かの理由で休みたいときは、先に連絡する必要があります。
・その日の朝になって今日は休みたいと連絡しても会社が困ります。
出典:厚生労働省

休暇に関すること

休日・仕事をしなくてもよい日。
欠勤・仕事をしなければならない日に、自分の理由で会社を休むこと。
・給料はもらえません。何か理由があって休みたいときは〇日前までに言わなければなりません。
(会社に合わせて決めて本人に知らせるといいでしょう。)
・突然その日の朝に体調が悪くなったらできるだけ早く言うようにしてください。
休暇・国や会社が決めた理由から仕事をしなければならない日に、あなたが会社を休んでも良い日のことです。
・いろんな休暇があり、会社によって違います。
・給料をもらえる休暇ともらえない休暇があります。
・休暇をとりたいとき、休みたいときは会社に言う必要があります。
・欠勤と休暇の違いは、欠勤をすると会社で頑張ってないと思われまでも休暇をとっても会社を頑張っていないとは思われません。
出典:厚生労働省

会社によって休暇の種類は異なりますので、「友人の会社では○○休暇があるのに、自分の会社にはない!」といった無用なトラブルを防ぐためにも、会社によって制度が異なることや自社にはどのような制度があるのかをきちんと伝えるといいでしょう。

そのほかにも厚生労働省のサイトでは、祝日に関することや健康診断、労災について説明する方法が掛かれていますので参考になさってください。

まとめ

長期的には日本で働く外国人がますます増えてゆくという予想があります。それにともない、やさしい日本語で上手に分かりやすく説明する機会も増えていくことでしょう。

日本人の常識や当たり前を当然わかっていると考えずに明確に説明する必要があることが大事だとわかりました。

また、分かりやすく説明することで多くの問題を回避できます。そして、雇用者に大切にしてもらえていることが分かれば会社に尽くしてもらえ、雇用側も仕事に熟練した外国人労働者をキープでき、会社の発展に繋がることになるでしょう。

翻訳市場調査などの「外国語サポート」が必要な方は、
ぜひ「アットグローバル」にご相談ください。
見積もりやご相談は完全に無料です。こちら からどうぞ!