災害などの非常時に外国人旅行者に情報を確実に伝えるため、事前に行える6つのこと

インバウンド需要, 災害

2020年は未曾有のパンデミックにより、全国的な緊急事態宣言がなされるなど大きな混乱が生じています。このような中、日本に訪れていた外国人旅行者は、情報を十分に収集できず、大きな不便を強いられました。

そこで今回は、災害などの非常時に外国人旅行者に情報を確実に伝えるために、どのような準備をしておく必要があるかについて詳しく解説していきます。

被災時に外国人旅行者が知りたい情報とその手段

知りたいと思う情報

災害などの非常時に外国人旅行者が何を知りたいのかを把握し、優先順位を決めておくけば、いざというときに有益な情報を効率的に伝達することができます。では、実際にはどのような情報を外国人旅行者が求めているのでしょうか。以下のグラフをご参照ください。

「非常時における外国人旅行者の安全・安心の確保に向けた検討会の中間報告」別添より引用

ご覧のように、外国人旅行者が欲しい情報は「推奨される避難行動」「災害・被害の状況(災害全体)」「避難所情報」「家族への連絡手段」「母国語で情報が得られる手段」などです。ほとんどが、私たち日本人が欲する情報と変わりません。ただ、「母国語で情報が得られる手段」は日本に住む私たちが見逃しがちな部分。いざというとき、情報を発信する際にはこの点についての配慮が必要となります。

情報源

続いて、外国人旅行者が何を情報源にしているのかについてお話していきます。まずは、以下のグラフをご覧ください。

「非常時における外国人旅行者の安全・安心の確保に向けた検討会の中間報告」別添より引用

実際に自然災害を経験した方が参考にした情報源は「テレビ」「ウェブサイト(ニュースサイト等)」「家族・知人・友人」の順に多いことが分かります。「仮に今後自然災害を経験した際に参考にしたいと思っている情報源」の項目でも、多少の違いはあるもののこの3つがダントツです。

興味深いのが、黄色の線で囲まれた部分です。想定では大使館や宿泊・商業施設等のウェブサイト・スタッフから情報を得ようとと考えているものの、実際に災害を経験した人はあまり利用できていません。想定と現実の乖離が大きいということがわかります。

さらに、特筆すべきなのは「宿泊・商業施設・公共交通機関のスタッフ」から実際に情報を得ることができなかったということです。大使館についても想定と現実に乖離がありますが、普通の人にとって大使館は縁遠い存在なので、仕方のない面もあります。

しかし、宿泊・商業施設・公共交通機関のスタッフというのは、本来、外国人旅行者にとって最も身近な存在なはずです。その、身近な存在であるはずのスタッフから情報を得られていないのは大きな問題と言えるでしょう。では、どうしたらいいでしょうか?

非常時に情報を確実に伝えるために行える6つのこと

1. Wi-Fi環境を整備しておく

災害用統一SSID「00000JAPAN(ファイブゼロ・ジャパン)」をご存知でしょうか。この「00000JAPAN」は災害時に開放されるWi-Fi(公衆用無線LAN)で、どのキャリアの携帯でも無料で使用することができます。東日本大震災が起きた際に、多くの方が情報収集や安否確認などの面で不便を強いられた教訓を元に生まれました。

しかし、せっかく「00000JAPAN」が開放されていても、それを利用できるWi-Fiスポットがなければ意味がありません。ですから、いざというときのためにWi-Fi環境を整備しておくことが大切です。外国人に限らず、多くの人々を助けることに繋がります。

2. 非常時の情報源をまとめた印刷物を準備し、できれば事前に渡しておく

災害が発生する前、あるいは災害が発生した際に情報を迅速に得られるかどうかは、生存率に大きく関わってきます。

例えば、海辺で大地震に遭遇した際、津波の情報を迅速に知ることができれば、逃げ遅れてしまうリスクが下がるはずです。ですから、災害が起きた時に外国人旅行者が困らないよう、事前に非常時の情報源をまとめたリーフレットなどを渡しておくことが重要となります。事前に渡せなかったとしても、必要となったときにすぐに配れる準備をしておかなければなりません。

しかし、正確な情報源を自分たちでピックアップするのも難しいと思います。そういう場合にぜひとも利用していただきたいのが「Safety Information Card」です。「Safety Information Card」は、観光庁が作成したリーフレットで、災害発生時などに役立つウェブサイト・アプリ等の情報を外国人旅行者向けにまとめています。自治体・企業・個人にかかわらず、ダウンロードして自由に利用可能ですが、ダウンロードに際しては申請が必要となります。詳しい申請方法は観光庁のページhttp://www.mlit.go.jp/kankocho/page08_000094.html )をご参照ください。

3. 公式Webサイトで多言語のアナウンスを行う

災害が発生した時、多くの方はインターネットで情報を得ようとします。ですから、Webサイトで多言語のアナウンスを行うことで、外国人の方にも情報を知ってもらいやすくなります。ただし、できれば機械翻訳ではなく、人が翻訳した上でアナウンスしたいところです。ディープラーニング技術のおかげで機械翻訳のクオリティも上がってきてはいますが、それでも、やはりまだ人の翻訳レベルにまでは達していません。正確な情報を伝達しなければいけない非常時に、誤訳による誤解を生じさせやる可能性がある機械翻訳を使うのはできるだけ避けるべきです。

4. SNS(Facebook、Twitter、Weiboなど)で多言語でアナウンスする

ウェブサイトに加えて、SNSを利用したアナウンスは非常に効果的です。Facebook、Twitterなどの、利用者が多いSNSを活用しましょう。即時性・拡散性ではTwitterを利用するのが効率的だとはいえ、利用者数の規模ではFacebookのほうが圧倒的に大きいのが実情です。それで可能ならば、どちらのSNSにもアカウントを作り、多言語アナウンスをするとより効果的です。

ただし、中国向けのアナウンスには注意が必要です。中国はインターネット規制が厳重で、FacebookもTwitterも使えません。そのため、ほとんどの中国人はWeiboなどの中国独自のSNSを利用しています。ですから、中国向けのアナウンスをする際には、Weiboを使うなどの配慮が必要です。

5. 被災時の情報伝達手段を多言語で準備しておく

都道府県・市町村などの広域情報は、2.でご紹介した「Safety Information Card」などを利用することで手に入れることができます。しかし、これだけでは今いる地域の具体的な避難場所や、宿泊している施設の避難経路などまでは網羅できません。では、その地域・施設固有の情報を伝達するためにはどうすればいいのでしょうか。

おすすめは、災害時用の多言語対応ピクトグラムや災害時多言語表示シートなどを用意しておく方法です。これを用意しておくことで、実際に災害が発生したときに外国人の方々と情報を共有しやすくなります。一般社団法人 自治体国際化協会(CLAIR/クレア)で「災害時多言語表示シート」「災害時用ピクトグラム」「多言語避難者登録カード・食材の絵文字(FOODPICT)」が無料配布されていますので、是非ご活用ください。

6. 被災時のコミュニケーション手段を準備しておく

一番は外国語に堪能なスタッフを用意することですが、外国語が堪能な人材を集めるのは容易ではありません。だからといって諦める必要はありません。ぜひ、通訳アプリ・ツールを利用してみてください。完璧ではないものの、簡単な会話なら十分に意思疎通が可能なレベルに達しています。避難誘導を行うぐらいであれば、十分に活用できます。

おすすめは国立の研究機関である「情報通信研究機構」が開発・提供している通訳アプリ「VoiceTra(ボイストラ)」です。優れた音声認識・音声合成技術を持っており、話した言葉を正確にキャッチして翻訳してくれます。スマートフォン用のアプリケーションなので、気軽に利用できるのがポイントです。

VoiceTraのWebサイトより引用

続いて、ご紹介するのは明石家さんまさんがCMに出演していることでもおなじみ、「ポケトーク」です。音声・テキストでの翻訳が55言語、テキストのみでの翻訳が20言語、計75言語に対応した通訳ツールで、ゆうちょ銀行、JR、ANA、KFC、バンダイナムコなど、3,000社以上で採用された実績を持っています。価格も3万円前後と比較的リーズナブルですし、月額2,000円でのレンタルも行っているので、ぜひ導入を検討してみてください。


POCKETALKのウェブサイトより引用

まとめ

日本では毎年のように自然災害がおきています。しかし、自然災害に慣れているはずの私たち日本人でも、毎年多くの犠牲者が出ているのが現状です。そうであれば、情報弱者になりがちな外国人旅行者のほうが、私たちよりも非常時の危険度が高いことは明白です。ですから、私たち一人ひとりがホスト国の自覚を持ち、今後より一層外国人旅行者が安心・安全に旅行できる社会づくりを進めていかなければなりません。そのためにも、今回ご紹介した情報をぜひ参考にしてください。

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