ウィズコロナ時代を生き抜くための取り組み-ホテル・観光業の支援プロジェクト編

ウィズコロナ時代を生き抜くための取り組み

新型コロナウイルスの感染拡大と、それに伴う外出自粛・移動規制により、わたしたちの生活は一変しました。幸い緊急事態宣言が多くの都道府県で解除され、感染者もピークを打ったように思われますが、油断すると第2、第3の感染の波が襲ってくる可能性が高く、ワクチンが開発されるまで何らかの制限が続くと考える人は少なくありません。

「ウィズコロナ(コロナウイルスとの共存)」を覚悟しなければならない中、ホテルや観光業の疲弊を多くの人たちが心配しています。このコラムでは「ホテル・観光業の支援プロジェクト編」として、「コロナに負けない」「生き延びるために、いまできることを」との心意気で奮闘するさまざま民間企業や個人の取り組み事例を6つ紹介します。

ホテル・観光業の支援プロジェクト

CHILL’NN「未来に泊まれる宿泊券」支援プロジェクト

コロナの先行きが見えず、人々の移動が制限され、大きな打撃を受けたホテル。宿泊・コンサルティング業のL&Gグローバルビジネスは、自社経営のホテルや全国各地の個性的な旅館・ホテルに、将来泊まることができる「未来に泊まれる宿泊券」を販売しています。宿泊予約のD2Cプラットフォーム「CHILL’NN」から予約できます。予約が入らず、キャッシュの確保が困難になった旅館・ホテルへの支援プロジェクトです。

CHILL’NNでは、参加するホテル・旅館が、スタイリッシュな写真とストーリーのある文章で、魅力的に紹介されています。例えば、東京の下町・浅草橋のゲストハウス「Littele Japan」の紹介では、「ここは日本の入り口。地域と世界をつなぐゲストハウス」と書かれています。ゲストハウス内で、文化や食をテーマに交流する地元の方々と世界からの旅行者の様子が、生き生きと描かれています。見ているだけで、すでにオンライン上で、おうちで観光しているような気分になれます。

ホテル側としては、未来の顧客の確保や認知の拡大になりますし、旅行者にとっては、いまは旅をできなくても、気になるおしゃれな宿に、お得な料金で宿泊できるメリットがあります。

小規模経営の個性ある日本のホテル・旅館は、インバウンドの宝。世界の旅行者が「ここを繰り返し訪れたい」と思ってくれるように、と真心を込めた情熱と、最先端のマーケティングアイデアが結合した秀逸な企画です。

 

株式会社ダイブ・株式会社SAGOJO「あと宿#あとで宿泊」支援プロジェクト

旅が好きな人は、日本人であれ海外の日本好きであれ、「また泊まりたい、記憶に残る地方の宿」があることでしょう。コロナの影響で、地方の宿泊業の苦境を聞き、地方のホテルのことを心配している方も多いことと思います。このように「自分が好きな宿を救いたい」と思っている方々と、ホテルをつなぐサービスが生まれました。「あと宿#あとで宿泊」です。利用者は事前にチケットを購入します。コロナの状況をみて、購入者は好きなタイミングで泊まることができます。

前払いチケットによって、ホテル側は、当面のキャッシュの確保につながります。チケット販売の決済手数料は無料で、一部が宿泊料金に加えた応援金(寄付) として宿泊施設に支払われ、プラスアルファの支援となります。

企画したのは、地方の観光地への人材派遣に定評がある株式会社「ダイブ」と、プロフェッショナル人材と地方の自治体をつなげる求人サイトを運営する「SAGOJO」です。こうした企業や、自治体、業者の努力で盛り上がってきた地方の観光業がこの状況下でも困難を克服できるよう、じわじわと支持が集まってきています。

 

ふるさとチョイス「新型コロナウイルス被害事業者向け支援プロジェクト」

ふるさと納税を通して、コロナによる経営被害にあった事業者を支援する試みも始まりました。株式会社トラストバンク(本社:東京都目黒区)は、同社が運営する ふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」上で、「新型コロナウイルス被害事業者向け支援プロジェクト」をスタートさせました。観光業者も支援の対象に入っています。

寄付したい人は、ホテルの宿泊券や地域の飲食店の飲食券、アクティビティの体験チケットなどの返礼品を選んで、対象の自治体に寄付をします。そうすると寄付金の一部が事業者に届きます。コロナが落ち着いたころに、返礼品である宿泊券や飲食券を利用するため観光に訪れることが、さらなる支援につながります。

 

L&Gグローバルビジネス代表 龍崎翔子氏「HOTEL SHE/LTER・ホテルシェルター」支援プロジェクト

 

 

ホテルシェルター」は、冒頭にご紹介したCHILL’NNの発案者でホテル経営者の龍崎翔子さん(L&Gグローバルビジネス代表取締役)による企画です。ステイホームといわれても、さまざまな事情で家にいることがストレスになる方々も少なくありません。表立って事情を言うことができず、困っている方々も多いでしょう。そんな人たちに、1泊3000円台から、部屋を提供しています。ホテルを、安心して、おうち代わりに、シェルターとして使ってください、という試みです。

ホテルシェルターでは、

①満員電車で感染するのが不安な人、コロナの影響による対応業務に終われ自宅に帰るのが難しい人

②人々の生活をさせるために不特定多数の人たちが集まるで働くエッセンシャルワーカーの方々で、ウィルスを自宅に持ち帰ってしまうのではないかと不安な人

医療従事者など感染リスクのある方で、自宅に帰るのが不安な人

高齢者や基礎疾患のある方と同居しており、万が一ウィルスをうつしてしまうのではないかと不安な人、また、遠方に独居している高齢者がおり、帰省できないが高齢者を一人にするのが心配な方

⑤家庭内暴力や虐待など、家庭内のトラブルを抱えている方、家庭不和で家族と過ごすことがストレスになっている人

⑥小学生以上のお子様で、休校になり、両親が共働きでお子様を一人で留守番させないといけないことに不安を感じている方

以上のような事情を抱える方々を想定しています。こうした方々のために安全なホテルを提供するというコンセプトです。

 

電力プラットフォーム・エネオク「いまこそ、日本に活力を #事業継続 応援します」支援プロジェクト

 

電気代などの固定費がかさみ、ホテル業をはじめ様々な業種のみなさんは、固定費削減に悩んでいます。株式会社エナーバンクが運営する電力オークションサービス「エネオク」は、Webによる無料相談で、電力切り替えによるコスト削減を提案しています。この特別プロジェクトいまこそ、日本に活力を #事業継続 応援しますに登録すると、さまざまな小売電気事業者の見積りを電話とWebで取得できます。約2週間で新たな会社に切りかえ、電気代を削減することができます。

 

株式会社チコ「BOSS PRO」支援プロジェクト

 

アジア全体でこのコロナ危機を乗り越えよう、という試みです。このサービス「BOSS PRO(ボスプロ)」を運営する株式会社チコは、もともとブライダル業者向けに、資金調達やスポンサー探しや事業譲渡、M&Aのサポートサービスを展開してきました。このほど、同様のサービスを、財務状況に課題をもつ日本のホテル旅館の経営者向けにスタートしました。日本のホテル旅館の経営者と、中華圏(中国、香港、マカオ、台湾、シンガポールなど)の経営者を、翻訳・通訳も含めてつなぎます。

アジアの経営者は、日本の卓越したおもてなし文化とその技術に、関心が高いといいます。日本のホテル・旅館の経営に参加することで、世界に評価されている日本の技術・サービスを吸収できることに最大のメリットを感じているということです。「もう打つ手がない」と思っているホテル経営者のみなさんに、別な選択肢があることを知らせる企画でもあります。

 

まとめ

「ウィズコロナ」時代のいま、「コロナ前」に立案・実施されてきたサービス提供の施策の多くを白紙に戻し、新たな施策を検討する必要に迫られています。インバウンドの未来にご自身の成長を重ねてきた、ホテル・観光業の方々のご苦労は想像に難くありません。

さまざまなアイデアを絞って観光業の活性化という課題に取り組む方々、そうした方たちを支援する善意の企業や個人の皆様に心からの尊敬とエールを送りたいです。ストラテでは、今後もこのような支援の取り組みをレポートしていきます。

翻訳市場調査などの「外国語サポート」が必要な方は、
ぜひ「アットグローバル」にご相談ください。
見積もりやご相談は完全に無料です。こちら からどうぞ!