「韓国旅行を計画しているけれど、最近『円安』って聞くし、ウォンと円、実際のところどっちが安いの?」
「ニュースで円安・ウォン安と聞くけど、何が違うの?」
2025年現在、日本円(JPY)と韓国ウォン(KRW)の為替レートは、どちらも対ドルで「安い」水準にあり、旅行者にとっても経済ニュースに関心がある人にとっても、非常に気になるトピックとなっています。
この記事では、「ウォンと円、どっちが安いのか?」という疑問に対し、現在の為替レートの状況、そうなっている要因、過去からの推移、そして旅行者目線での体感物価まで分かりやすく徹底解説します。
- 2025年の円とウォンの通貨価値
- 円安・ウォン安を引き起こす要因
- 過去20年の為替推移と円・ウォンの強弱
- 日本人・韓国人それぞれの旅行コスト感に生じる違い
2025年現在、ウォンより「円」が安い(価値が低い)

早速、現在の状況から結論をお伝えします。
2025年現在の為替相場を見ると、対米ドル(USD)では円もウォンも共に「安い(=価値が下がっている)」状況にあります。
しかし日本円と韓国ウォンを“直接”比較した場合、長期的な視点では以下の結論となります。
- 対ドルでの下落幅:円の方が大きい(=円安が目立つ)
- 円とウォンの相対価値:過去21年では円がむしろ強い年が多い
つまり、
- 「対ドルでは円がより弱い」
- 「円とウォンの相対価値では、円が過去長期にわたり常に弱かったわけではない」
というのが正確な理解です。
対ドルでの円とウォンの通貨価値の変動
以下の表は、2005年の通貨の価格を100とした場合、対ドルに対して円もウォンも100以上なら価値が低く、100以上なら価値が低く、100以下なら価値が高いことを表しています。対ドルでのウォンは全体的に安い時期が多く、円は円高の期間があったものの、最近5年ほどは円安に転じていることがわかります。(参照:IMF)

ウォンと円の間での通貨価値の変動
以下の表は、同じ2005年から2025年の間での韓国ウォンと日本円の通貨の価値の変動を表したものです。全体的に円はウォンに対して円高で推移していますが、ここ最近は2005年とほぼ同じ程度の通貨価値となっています。

円安の背景:日米金利差

では、なぜ今、これほどまでに「円が安い」状況なのでしょうか。そして、ウォン安とは何が違うのでしょうか。多くの人が知りたい「要因」を分かりやすく解説します。
円安の主な要因
現在の歴史的な円安の最大の要因は、日米の金利差です。(参照:日本銀行レポート)
- アメリカ(ドル)
2022年以降、インフレを抑えるために政策金利を大幅に引き上げ、高金利状態が続いています。
→金利が高い通貨=利息が付きやすく、世界中の投資マネーが集まりやすい(ドル高要因) - 日本(円)
長期にわたって超低金利・大規模緩和を続け、金利はほぼゼロに近い状態でした。
→利息がほとんどつかないため、投資家にとっては魅力が薄く、売られやすい(円安要因)
その結果、「利息がつかない円を売って、利息がたくさんつくドルを買う」という動きが世界的に強まり、円の価値が大きく下がりました。これが、現在の円安の基本的なメカニズムです。
ウォン安の背景:輸出依存と地政学リスク
韓国ウォンも対ドルで「安い」水準にありますが、その要因には次のようなものがあります。(参照:韓国の地政学リスクについて)
- 米国の金利引き上げ→ドルに資金が集まり、相対的にウォンが売られやすい
- 韓国経済は輸出依存度が高く、特に半導体などの市況悪化が懸念されるとウォンが売られやすい
- 地政学リスク(朝鮮半島情勢など)が意識される場面もある
よく「投資家が新興国から資金を引き上げる」といった表現がありますが、現在の韓国はOECD加盟の高所得国であり、実体経済としては先進国に近い立ち位置です。ただし、一部の金融市場では「先進国」と「新興国」の中間的な扱いをされることもあり、その意味で資金の出入りが大きくなりやすい通貨だと言えます。
円安とウォン安の違い
共通点
- ともに米国の急速な利上げ=ドル高の影響を強く受け、対ドルで通貨安になっている。
違い
- 日本:超低金利を長期で維持したため、日米金利差が他国以上に大きく、円の下落幅が特に大きくなった
- 韓国:ウォン安は米金利や輸出環境など複数要因の影響を受けるが、円ほど極端な下落ではない
いつから円はウォンより安くなった?

現在の「1ドル=150円」という水準がどれほど「安い」のかを理解するために、過去20年間(2005年~2025年)の為替レートの大きな流れを振り返ってみましょう。
2005年前後(基準となる安定期)
- 1ドル = 約110円
- 1ドル = 約1,000ウォン
- 1円 ≒ 9ウォン
この頃は、日韓とも為替は比較的安定しており、「1円=約10ウォン」が一つの感覚的な基準でした。
2008〜2009年(リーマンショック:円高・ウォン安)
- 1ドル = 約90円台(円高)
- 1ドル = 約1,300ウォン前後(ウォン安)
- 1円 ≒ 14ウォン
金融危機で「安全資産」とされた円が買われ、円高が急激に進行。反対にウォンは売られ、円高・ウォン安が同時に進んだ時期です。
→ 日本人から見ると、韓国旅行は「とんでもなく安い」時代でした。
2010〜2012年(歴史的な円高ピーク)
- 1ドル = 約80円前後
- 1ドル = 約1,100ウォン前後
- 1円 = 13〜14ウォン台になることも
この時期は、円の価値が最も高かった時期。ウォンに対しても円の優位が極端で、韓国旅行の「爆安時代」といえる水準でした。
2013〜2015年(アベノミクスで円安へ転換)
- 1ドル = 約120円
- 1ドル = 約1,100ウォン台
- 1円 ≒ 9〜10ウォン
日本の大規模金融緩和により、円高から一気に円安へ転換。それでも円とウォンを比べると、
- 依然として『1円≒10ウォン』前後で推移
- ただし、2010〜12年ほどの“円一強”状態は解消
された形です。「円がウォンより弱くなった」のではなく、過去の極端な円高がやや正常化したイメージに近いです。
2016〜2019年(比較的落ち着いた時期)
- 1ドル = 105〜115円
- 1ドル = 1,100ウォン台
- 1円 ≒ 9.5〜10ウォン
円もウォンも大きなトレンドはなく、円高・円安/ウォン高・ウォン安が行ったり来たり。日韓どちらの旅行でも、「為替で極端に得/損をする感じは少ない」時期でした。
2020年(コロナショック)
- 1ドル = 約107円
- 1ドル = 約1,180ウォン
- 1円 ≒ 11ウォン
ショック時には一時的に円高・ウォン安が進みますが、その後は世界的な金融緩和により徐々に落ち着きました。この時点では、まだ現在ほどの円安ではありません。
2022〜2025年(歴史的円安・ウォン安)
- 1ドル = 約150円
- 1ドル = 約1,400ウォン
- 1円 ≒ 9〜10ウォン
2022年以降、米国が急速に利上げした一方、日本が低金利を維持したことで、円は歴史的な安値圏に急落しました。ウォンも対ドルで安い水準ですが、
- ピーク時の円高からの落差
- 日米金利差の大きさ
を踏まえると、「円安」のインパクトの方が大きく見える状況です。
【表】過去20年の為替レート推移まとめ
(各時期の目安のレート)
| 年頃(主な局面) | 1米ドルあたり円 (JPY) | 1米ドルあたりウォン (KRW) | 傾向・出来事 |
| 2005年前後 | 約110円 | 約1,020ウォン | 安定期(基準水準) |
| 2009年(金融危機) | 約93円 | 約1,270ウォン | 円高・ウォン安(円急騰・ウォン急落) |
| 2012年(円高ピーク) | 約80円 | 約1,120ウォン | 歴史的円高 |
| 2015年(円安ピーク) | 約121円 | 約1,130ウォン | 円急落(アベノミクス) |
| 2020年(コロナ前後) | 約107円 | 約1,180ウォン | 一時的円高・ウォン安 |
| 2023年(円安進行) | 約140円 | 約1,300ウォン | 円安・ウォン安(米利上げ影響) |
| 2025年現在 | 約150円 | 約1,400ウォン | 円・ウォンともに安値圏(特に円安) |
旅行者目線:日本人と韓国人の違い

日本人旅行者:韓国旅行は「昔ほど安くない」と感じる
円安+韓国側の物価上昇により、日本人からみた韓国旅行の「お得感」は以前ほどではありません。たとえば、
- 以前(イメージ):100ウォン ≒ 9円
- 最近:100ウォン ≒ 10.5〜11円
といった変化があるとすると、
- 同じ 10,000ウォンのランチ
- 昔:およそ 900円
- 今:1,050〜1,100円
となり、円ベースではじわじわ値上がりしているわけです。
さらに、韓国自体のインフレ(物価上昇)も加わるため、
- ローカル食堂・地下鉄など → まだ日本より安く感じるものも多い
- カフェ・チェーン店・ブランド品 → 日本と同等か、やや高いことも増えている
といった「混ざった感覚」になります。
韓国人旅行者:日本は「とても安く感じる」状態に
一方、韓国から見ると、ウォンに対して円が弱くなった(円安・ウォン高気味)ため、同じウォンを日本円に両替したとき、以前より多くの円が手に入るケースが増えています。結果として、韓国人にとって「日本旅行はかなり割安」に見えるという状況が生まれ、訪日観光客の増加にもつながっています。
韓国旅行でお得に両替する方法

円安の中でも、やり方次第で負担を減らすことはできます。
両替の基本方針
- 日本国内では最小限だけ両替
- 銀行や日本の空港の両替は、レートが不利なことが多い
- 本当に必要な分(1万円分など)のみ
- 韓国到着後、空港で少額(交通費分)だけ両替
- 仁川空港などで、まずは市内までの交通費+αを確保
- 本格的な両替はソウル市内の両替所で
- 明洞などの公認両替所は競争が激しく、比較的レートが良い
- 数軒見比べて、より良いところでまとめて両替する
カード払いはウォン建てが基本
韓国はキャッシュレスが非常に進んでおり、カード利用が便利です。カード払いの際は、必ず「ウォン建て(現地通貨建て)」で支払うのがコツです。
- 「円で払いますか?ウォンで払いますか?」
→ ウォンを選ぶ - 円建てを選ぶと、DCC(Dynamic Currency Conversion)という割高レートが適用されやすい
1円と1ウォン、単位価値の違い
2025年現在の目安では、
- 1円 ≒ 9〜10ウォン
- 1ウォン ≒ 約0.1円
となるため、通貨1単位の価値は、今でも「円>ウォン」です。
ここで注意したいのは、
- 単位あたりの価値(1円=何ウォンか)
- 為替相場としての強さ・弱さ(過去と比べて高いか安いか)
は別の話、という点です。
例:
- 2012年:1ドル=80円 → 今150円
→ 対ドルでみると円は大幅に安くなった(弱くなった) - それでも 1円=9〜10ウォンなので、
→ 単位としては今も円の方が重い
FAQ:よくある質問
- 結局、今のレート(円安)だと、韓国と日本、総合的な物価はどっちが本当に安い?
-
一概に「どちらが安い」と断言するのは難しいですが、2025年現在の円安状況下では、品目によって異なります。
かつては「韓国は物価が安い」というイメージがありましたが、近年の韓国国内の物価上昇と円安が重なり、日本人旅行者にとっては全体的に日本と同等か、モノによっては割高に感じる場面が増えています。
- 韓国が安い傾向:地下鉄やバスなどの公共交通費、ローカルな食堂(クッパ、ビビンバなど)。
- 日本が安いか同等:カフェ(特にスターバックスなど)、タクシー代、工業製品、ブランド品。
総合すると、円安の影響で「日本の物価の安さ」が相対的に目立っており、以前のような「韓国の圧倒的な割安感」は薄れている状況です。
- この円安(ウォン安)はいつまで続く?今後の為替レートの見通しは?
-
為替レートの将来を正確に予測することは専門家でも困難ですが、現在の「円安」の主な要因は日米の金利差です。
日本が低金利政策を続ける一方、米国が高い金利を維持している間は、円安傾向が続きやすいと考えられています。今後、日本銀行が金利を引き上げる(金融緩和を修正する)か、米国が利下げに転じると、円安の流れが変わる可能性があります。
一方、ウォン安も主に米国の金利動向に影響されますが、韓国独自の経済事情(半導体市況や輸出入)にも左右されます。
どちらの通貨も、米国の金融政策の転換点が大きな変動要因となるため、当面は不安定な状況が続く可能性があります。
- 最近のレートだと、韓国旅行(例:2泊3日や3泊4日)の予算はいくらくらい見積もればいい?
-
航空券とホテル代を除いた、現地での滞在費(食費、交通費、お土産代など)として、1日あたり10,000円~15,000円程度を見積もっておくと安心です。
円安の影響で、以前(1日7,000円~10,000円程度)より少し多めに準備する必要があります。
- 2泊3日: 30,000円 ~ 45,000円
- 3泊4日: 40,000円 ~ 60,000円
これは、カフェ巡りや一般的な食事、交通費、基本のお土産代を含む目安です。もしブランド品や高額な美容医療、高級レストランなどを予定している場合は、この金額に加えて別途予算を確保してください。クレジットカードも併用しつつ、現金は余裕を持って準備するのがおすすめです。
- そもそも、なぜ韓国ウォンは「1,000ウォン」のように桁数(ゼロ)が多いの?
-
これは、過去の急速なインフレーション(物価上昇)と、通貨改革の歴史が関係しています。
戦後、韓国は経済成長の過程やアジア通貨危機(1997年)などで、何度か激しいインフレを経験しました。物価が急速に上がると、お金の価値が下がり、より大きな額面の紙幣が必要になります。
1962年には、通貨の価値を10分の1に切り下げる「デノミネーション(デノミ)」が行われましたが、その後の経済発展に伴うインフレで再び桁が増えていきました。
結果として、日本では500円玉で買えるものが、韓国では5,000ウォン札が必要になるような、数字の桁数の違いが定着しました。
- 韓国に現金(日本円やウォン)はいくらまで持ち込める?税関申告のルールは?
-
韓国に入国する際、米ドル換算で1万ドル(約150万円 ※1ドル150円換算)相当を超える現金や有価証券(小切手など)を持ち込む場合は、税関での申告が必要です。
この「1万ドル相当」には、日本円、韓国ウォン、米ドルなど、持っているすべての通貨を合算した金額が含まれます。
1万ドル以下であれば申告は不要です。一般的な旅行(2泊3日や3泊4日)で持ち込む現金がこの金額を超えることは稀なため、ほとんどの旅行者は申告の必要はありません。ただし、多額の現金を留学費用や長期滞在用に持ち込む場合は、必ず税関申告書に記入してください。
- 韓国ではチップを払う文化はありますか?
-
いいえ、韓国には基本的にチップの文化はありません。
欧米諸国とは異なり、レストラン、カフェ、タクシー、ホテルのベッドメイキングなどでチップを渡す必要は全くありません。料金にはサービス料が含まれているという考え方が一般的です。
もしチップを渡そうとしても、戸惑われたり、受け取りを辞退されたりすることがほとんどです。
例外的に、高級ホテルのポーターに重い荷物を運んでもらった場合や、非常に特別なリクエストに応じてもらった場合などに心付けとして渡すケースもありますが、義務ではありません。旅行中はチップの心配は不要です。
ウォンと円、どっちが安いかまとめ
- 2025年現在、対ドルでは円とウォンの双方が安いが、下落幅は円の方が大きい
- 円とウォンの相対価値は長期的には円高で推移しており、単位価値は依然として円が上
- 現在の歴史的円安の主因は日米金利差の拡大による資金流出
- ウォン安は米利上げに加え、輸出環境や地政学リスクなど複数要因が影響
- 1円=約9~10ウォンの関係は維持されており、円の1単位の価値がウォンを下回ったわけではない
- 日本人から見た韓国旅行は円安と物価上昇により以前ほど割安感がない
- 韓国人から見た日本旅行はウォン高気味の影響で割安に感じられ訪日客増加につながっている
- 韓国旅行での両替は国内最小限・現地でまとめるのが有利で、カードはウォン建て決済が基本



コメント