世界最強と言われる日本のパスポートがあれば、短期旅行なら世界100ヵ国以上にノービザで入国できますが、じつはネパールは例外です。事前手続きなしでもひとまず渡航することはできますが、遅くともネパールの空港到着時には、ビザを取得しなければ入国できません。
観光やトレッキングのためにネパールを訪れる日本人もビザが必要となりますので、注意してください。この記事では、ビザの申請方法や料金について解説します。
この記事の監修者
株式会社アットグローバル ネパール在住スタッフ
2014年~ ネパール在住。国立トリブバン大学ビソバサ言語学科でネパール語を学び、以降ネパール語の通訳・翻訳に携わる。他にも日系企業や学術機関からの依頼により、現地コーディネートやネパールに関わる依頼を幅広く担当。ネパリスタイルの髭のおかげで、ほぼ日本人だとばれることなく過ごしている。
ネパール入国・滞在時に必要なビザとは
ネパール旅行や移住の際に必要となるビザについて解説します。
ネパールのビザは全部で9種類
日本にあるネパール大使館の公式サイトによると、ネパール政府は日本人に対して9種類のビザを発行することができます。
ビザの種類 | 利用条件、取得できる期間 |
外交官ビザ(Diplomatic visa) | 外交官用のビザ。30日以内 |
公用ビザ(Official visa) | 公人へ発行されるビザ。30日以内 |
観光ビザ(Tourist visa) | 観光客のビザ。年間150日以内 |
学生ビザ(Study visa) | 学生用ビザ。一度に取得できるのは最長1年間 |
ノンツーリストビザ(Non tourist visas) | 就労ビザ、配偶者ビザなど。 |
ビジネスビザ(Business visa) | 規定額以上の出資者に与えられるビザ。 |
トランジットビザ(Transit visa) | 入国審査官により与えられることがある。 |
居住ビザ(Residential visa) | 投資家ビザ、リタイアビザなど。 |
非居住ビザ(Non-Residential Nepalese visa) | 海外居住のネパール人などのためのビザ |
長期滞在したい人にはさまざまな選択肢がありますが、このうちトリブバン国際空港到着時に取得できるのは観光ビザだけです。ネパールの入出国管理局の公式サイトには下記の説明があります。
簡単に言うと、ネパールでは到着(アライバル)ビザ=観光(ツーリスト)ビザということですね。旅行、留学、就労、起業など色々目的があるにしても、まずは誰しも観光ビザを取得してネパールに入国する必要があります。その後滞在目的に応じて、移民局(イミグレーション)にて、ビザ切り替えの申請をすることになります。
観光ビザの料金、取得可能期間
ネパールの観光ビザ料金は、渡航前に日本で申請するなら日本円で計算され、ネパール到着時に空港で申請するなら米ドルで計算されます。
ドル円レートは常に変動しますが、2024年3月時点での料金は一律で決まっていて、下記の通りです。
渡航前に駐日ネパール大使館で申請する場合
観光ビザ期間 | 料金 |
15日 | 4,000円 |
30日 | 6,000円 |
90日 | 15,000円 |
到着時トリブバン国際空港で申請する場合
観光ビザ期間 | 料金 |
15日 | 30米ドル |
30日 | 50米ドル |
90日 | 125米ドル |
15日・30日・90日のいずれかを選んで申請することになります。日割り計算はされませんので、例えば7日間ネパール旅行する際にも15日分のビザが必要です。入国後に観光ビザを延長することは可能ですが、延長料金は割高なので注意が必要です。
観光ビザ延長の方法(※2024年5月追記情報あり)
ネパール入国後に観光ビザを延長したい場合は、カトマンズかポカラの出入国管理局(イミグレーション)で延長申請しましょう。
カトマンズの出入国管理局(イミグレーション)
ポカラの出入国管理局(イミグレーション)
ビザ延長の際も、まずはオンライン申請が必要です。以前はカトマンズのイミグレーション内に専用機が設置されていましたが、2024年5月現在、オンライン申請機は撤去されていると現地駐在スタッフから情報提供がありました。
以前は事前申請せずともイミグレーションに着いてから、設置されている専用の機械でオンライン申請・プリントされた紙を受け取って、そのまま窓口に行くことができましたが、今はできませんので注意してください。オンライン申請は事前に済ませ、完了画面をスクショするなどして提示する必要があります。
イミグレーションに到着してから自分のスマホでオンライン申請することもできますが、無料Wifiはスピードが遅いので、相当時間がかかるかもしれません。事前にオンライン申請するか、モバイルデータ通信ができるスマホを持参するようにしてください。
観光ビザ延長料金
観光ビザ延長料金は、15日までは45米ドル、その後プラス1日ごとに3米ドルです。1~15日までは同一料金となりますので、一週間くらい延長したい場合も15日延長しておくのが無難です。急にフライト日程がずれた場合も、多めに観光ビザを取得しておけば、延滞料金を払う必要がありません。
ネパール入国時に取得するよりも、延長する際はビザ代が割高となりますので、費用計算の際は注意してください。
・空港で90日分取得すると、125米ドル
・空港で30日分取得(50米ドル)+入国後30日延長(90米ドル)すると、合計140米ドル
結果的に空港で90日分の観光ビザを取得しておいたほうが安く済みます。
55日以上90日未満、ネパール滞在予定があるなら、事前に90日分のビザを取得しておくのが良いでしょう。
注意:観光ビザは年間150日までしか取得できない(でも裏技あり)
注意点としては、ネパールの観光ビザは、1年間で150日までしか取得できないことです。同じ年にまたネパール旅行する予定があるなら、先々の予定をふまえて計画しましょう。一度観光ビザが発行されると、その期間実際にネパール滞在したかどうかに関わりなく、年間枠は消費されます。
つまり実際には60日しか滞在しないのに、料金が割安になるからと90日のビザを取得したとします。この時点で90日分ビザ発行済みとなりますので、同年内の後日ネパール旅行できる期間は、150日ー90日=60日のみとなります。
年が変わればまた150日滞在でき、同一年内に150日という枠を使いきらなければ、年をまたいで連続滞在も可能です。たとえば8月4日に入国すれば、翌年5月29日まで、連続300日滞在できることになります(うるう年でない場合)。
ネパール観光ビザの取得方法4パターン
ビザ代は突然改定されるかもしれませんが、2024年3月時点でのドルレートを考慮すると、日本円で払うのがお得です。ネパールの空港到着の際にも、ビザ取得済みだとスムーズに空港を出られます。
時間に余裕があれば、あらかじめ駐日ネパール大使館に申請し、観光ビザを取得しておくのがお勧めです。しかし特に事前に何もしなくても、すべての手続きをネパール到着時、トリブバン国際空港で行なうこともできます。
インドから陸路で入国する方法もありますが手続きが難しいのでおすすめしません。今回は首都カトマンズのトリブバン国際空港から空路で入国する場合の、観光ビザ取得方法4パターンをご紹介します。
①日本にあるネパール大使館を直接尋ねて申請する
必要なものを揃え、大使館を訪問します。
- オンライン申請の最後に出てくる提出受付証を印刷した紙
- 申請料(15日 = 4,000 円、 30日=6,000 円、 90日=15,000 円)
大使館住所:
〒153-0064
東京都目黒区下目黒6丁目20−28
フクカワハウスB
観光ビザ受付時間は、平日の9:00~13:00のみとなっています。特別混雑していなければ、即時発行してもらえますが、稀に次の日に持ち越されることもありますので、午前早めに訪れるのが無難です。
ビザが発行されパスポートを返してもらったら、ビザの日程が間違っていないか確認しておきましょう。
②駐日ネパール大使館へパスポートを郵送して申請する
同封すべきものリスト
- パスポート(残存期間が日本出国時に 6 ヶ月以上あるもの)
- オンライン申請の最後に出てくる提出受付証を印刷した紙
- 申請料(15日= 4,000 円、 30日=6,000 円、 90日=15,000 円)
- 返信用レターパック(住所宛名記載済のもの)
宛先:
〒153-0064
東京都目黒区下目黒6丁目20−28 フクカワハウスB
駐日ネパール大使館
Tel: 03-3713-6241,6242
Fax Mial: 03-3719-0737
Email: eontokyo@mofa.gov.np
返信用レターパックの追跡番号は自分の手元に置いておきましょう。パスポートを送るので、追跡できる状態にしておくことをお勧めします。
注意:オンライン申請に不備があったり、料金が不足していたりした場合、大使館が連絡してくれたり修正してくれたりはしません。ただ送り返されてくるだけです。このあたりは日本の役所のような親切さはなく、ネパールのような淡々とした対応をされますので注意しましょう。
大阪と福岡にある領事館でもビザを発行してくれますが、現在は郵送対応のみのようです。各領事館に確認のうえ申請してもよいですが、基本的には東京目黒の大使館に申請するのが良いでしょう。
在大阪ネパール名誉総領事館
〒543-0001 大阪市天王寺区
上本町6-9-21 FUSION+ビル8階
Tel 06-6776-0120
Fax 06-6779-3325
営業時間:10:00 ~ 12:00(土日祝は除く)
在福岡ネパール名誉領事館
〒812-0013 福岡市博多区博多駅東1-1-33はかた近代ビル4階―A
Tel 092-710-7309
Fax 092-710-7310
営業時間:10:00 ~ 13:00(土日祝は除く)
参考:駐日ネパール大使館 公式サイト ビザについて
通常ビザ到着後5日で返送されますので、発送してから1週間くらいでビザ発行されます。申請した通りの日付でビザが発行されているか、念のため確認しておきましょう。
③日本でオンライン申請し、ネパール到着時に申請する
- パスポート(残存期間が日本出国時に 6 ヶ月以上あるもの)
- オンライン申請の最後に出てくる提出受付証を印刷した紙
- 申請料(15日=30米ドル 、 30日=50米ドル 、 90日=125米ドル)
オンライン申請後の受付証は、プリントアウトしてもよいですが、2024年現在は必ずしもプリントする必要はありません。スクショしたりPDFファイルで保存しておき、ネパール到着時にスマホから見せるだけでも大丈夫です。要するに申請番号が分かれば良いようです。
以前は受付証にバーコードが表示されていてそれをプリントアウトする必要がありましたが、現在はシステムが変わり、バーコード表示はなくなりました。
米ドル相当の日本円でも支払うことができます(その日のレートで計算されます)。お釣りはドルで返ってきたり、ルピーで返ってきたりします。クレジットカードでも支払うことができますが、システムがダウンしていて使えないと言われることもあるので、現金を準備しておくのが無難です。
ビザが発行されたら、申請通りの日数になっているか念のため確認しておきましょう。
④オンライン申請もビザ申請も全部ネパールに到着してから
上記③の方法とほぼ同じですが、事前にオンライン申請をせず、トリブバン国際空港に到着してから、専用端末でオンライン申請し、直後にビザ代支払い・ビザ申請へと進むという方法もあります。
空港のオンライン申請専用端末には限りがあり、同じ飛行機に乗っていた人たちが大勢利用することもあるので、まずは端末の前でけっこう行列ができます。事前にオンライン申請しておけば、到着後時短になりますが、特に急ぐわけでもなく列に並んでも良いという場合は、全てをネパール到着後にしてもいいかもしれません。
事前のオンライン申請はちょっと方法が分からないという人も、全てを現地で行うこの方法で乗り切ることができます。専用端末近くには、入力を教えてくれるスタッフもいますので、尋ねながら入力することができるので、ある意味楽かもしれません(空港スタッフはもちろん日本語は分かりませんので、会話は英語かネパール語でする必要がありますが)。
2023年8月以降、ネパールはビザステッカー・手書きビザの代わりに電子渡航認(Electronic Travel Authrization: eTA)の利用が始まりました。パスポートに貼られたビザシールにはQRコードがあり、それを読みこむことでもビザの確認ができますので、一度読み込んでチェックしておきましょう。
旅行前・旅行中は最新情報をチェックしよう
ネパールはビザ関連のシステムがよく変更されます。数ヶ月のうちに申請方法や必要な書類が変わったり、料金が変わったりすることもよくあります。
ネット上には多くの人の体験談も掲載されていますが、数年前・数ヶ月前とは事情が変わっているかもしれません。ネパール旅行の前には公式サイトで、最新情報を確認するようにしましょう。
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