「一生に一度は見てみたい、日本三大花火。でも、どれに行けばいいの?」
「わざわざ遠くまで行って、人混みに揉まれて、もし期待外れだったらどうしよう……」
もしあなたが今、そんな迷いを抱えているなら、この記事は参考になるはずです。「日本三大花火」と一括りにされますが、実はこの3つの大会、「性格」が驚くほど違います。
例えば、ある人にとっては「人生観が変わる最高の涙」をもたらす大会が、別の人にとっては「ただただ帰りが辛い苦行」になることもあります。だからこそ、ネット上の「ランキング」を鵜呑みにするのは危険なのです。
この記事では、秋田県「大曲」、新潟県「長岡」、茨城県「土浦」の三大花火を徹底解剖。「技術」「感動」「エンタメ」という3つの視点から、あなたの価値観にベストマッチする「一番」を診断します。
さらに、チケット争奪戦や宿が取れない問題など、綺麗事だけではない「生存戦略(ロジスティクス)」も包み隠さず公開します。
- 日本三大花火の「特徴」と違い
- タイプ別診断:あなたに合う大会はどれ?
- 基本攻略法:チケット・宿・移動
- 事前準備チェックリスト:予算・服装・持ち物
日本三大花火のどれが一番かは、あなた次第
結論から申し上げます。「日本三大花火、どれが一番?」という問いへの答えは、あなたが「花火に何を求めているか」によって変わります。まずは以下の診断で、自分のタイプを確認してください。
タイプA:とにかく「圧倒的な感動」で泣きたい人

新潟県「長岡まつり大花火大会」 が一番!
- 体験: 視界に収まりきらない超ワイドな花火と、復興への祈りが込められたストーリー。
- キーワード: 復興祈願、フェニックス、Jupiter、正三尺玉。
- 2025年開催: 8月2日(土)・3日(日)
タイプB:「本物の技術」と「聖地」の空気を吸いたい人

秋田県「全国花火競技大会(大曲の花火)」 が一番!
- 体験: 花火師たちが震える手で点火する、真剣勝負の緊張感。日本最高峰の芸術作品。
- キーワード: 内閣総理大臣賞、昼花火、創造花火、プロ中のプロ。
- 2025年開催: 8月30日(土)
タイプC:「ド派手な演出」を手軽に楽しみたい人

茨城県「土浦全国花火競技大会」 が一番!
- 体験: デジタル制御された光と音の高速連射。澄んだ秋の夜空で見るエンターテインメント。
- キーワード: スターマイン日本一、動画映え、都心から1時間。
- 2025年開催: 11月1日(土)
| 特徴 | 長岡(新潟) | 大曲(秋田) | 土浦(茨城) |
|---|---|---|---|
| 凄さの種類 | 量とスケール(物理的衝撃) | 質と完成度(芸術的深み) | テンポと演出(構成力) |
| 雰囲気 | 慰霊と平和の「神事」 | 権威ある「競技会」 | 華やかな「ショー」 |
| 混雑レベル | ★★★★☆ | ★★★★★ | ★★★★☆ |
| アクセス | 新幹線で東京から90分 | 新幹線で東京から3.5時間 | 特急で東京から45分 |
| チケット難度 | 高(抽選) | 超高(抽選) | 高(抽選) |
| 2026年開催日 | 8月2日(日)・3日(月) | 8月29日(土) | 11月7日(土)(予想) |
次章からは、それぞれの大会がなぜ「一番」と推されるのか、その深層に迫ります。
1. 秋田県「大曲の花火」:技術の最高峰
もしあなたが、職人の魂や、研ぎ澄まされた技術に美を感じるなら、迷わず大曲を選んでください。ここは日本の花火師にとっての「聖地」であり、オリンピック決勝の舞台です。
理由①:日本で唯一の「昼花火」
大曲を「一番」たらしめている最大の要因は、世界でも稀な「昼花火」の競技があることです。
まだ明るい夕暮れの空(17時頃)に打ち上げられるのは、光ではなく「色のついた煙(煙竜)」。赤、青、黄色の煙が空に絵画を描き、パラシュートでゆっくりと降りてくる様は、まるで現代アート。
暗闇という「キャンバス」がないため、ごまかしが一切効きません。この競技が見られるのは、日本では大曲だけです。
理由②:厳格な審査基準
大曲は、単に「綺麗だね」で終わる場所ではありません。内閣総理大臣賞を決める審査基準は極めて厳格です。
- 玉の座り: 最高点でピタッと止まって開いたか?
- 盆(ぼん): 真ん丸な円を描いているか?
- 消え口: 全ての星(火薬の粒)が同時にパッと消えたか?
70万人の観客が見守る中、たった一発の失敗も許されない緊張感。その張り詰めた空気が、打ち上げ成功の瞬間に大歓声へと変わるカタルシスは、他の花火大会では味わえない「ドラマ」です。
理由③:創造花火の発祥地
丸い花火だけでなく、自由な形状やテーマ性を持った「創造花火」を最初に始めたのも大曲です。
競技の合間に打ち上げられる「大会提供花火」は、その年の流行曲や壮大なテーマに合わせ、ワイドな河川敷をフルに使って数千発が一斉に上がります。その迫力は、競技の緊張から解放された観客を熱狂の渦に巻き込みます。
注意点:宿泊・移動の過酷さ
大曲は「行くまで」と「帰るまで」が最も過酷な大会です。
人口4万人弱の街に70万人が押し寄せるため、宿泊施設は絶望的に足りません。市内のホテルは関係者で埋まり、一般客は「テント村」や「車中泊」、あるいは秋田市や盛岡市への遠距離移動を強いられます。この「不便さ」を乗り越える覚悟がある人だけが、聖地の感動を手にできます。
2. 新潟県「長岡まつり大花火大会」:圧倒的な感動
もしあなたが、「最近泣いていないな」と感じているなら、長岡へ行ってください。ここは技術を競う場ではなく、「祈り」を捧げる場です。
理由①:復興祈願花火「フェニックス」
長岡花火を語る上で外せないのが、「復興祈願花火フェニックス」です。
2004年の中越地震からの復興を願い、平原綾香さんの名曲『Jupiter』に乗せて打ち上げられます。その開花幅は約2km以上。視界のすべて、右から左までが黄金の光で埋め尽くされます。
単に派手なだけではありません。何度倒れても蘇る不死鳥(フェニックス)を模した花火が空を舞う姿に、多くの観客が自然と涙を流します。これは「観覧」ではなく「体験」です。
理由②:空襲の記憶と「白菊」
長岡まつりの起源は、1945年8月1日の長岡空襲です。
大会の冒頭、華美な装飾を一切排した白一色の花火「白菊(しらぎく)」が打ち上げられます。静寂の中に咲くその白い花は、亡くなった人々への鎮魂の祈り。この歴史的背景を知ってから見る長岡花火は、他のどのエンターテインメントとも違う重みと感動を心に刻みます。
理由③:正三尺玉の衝撃
直径90cm、重さ300kgの巨大な玉が、上空600mで直径650mの大輪を咲かせます。
「ドーン」という音ではありません。地響きのような衝撃音と地面が揺れ、お腹の底に衝撃波が突き抜けます。サイレンの音と共に打ち上がるその儀式的な演出は、長岡の誇りそのものです。
注意点:チケット・席取りの難しさ
長岡は8月2日・3日の「固定日開催」です。2026年は日月の開催となります。日曜日はかなりの激戦が予想されます。チケットは全席有料化が進んでおり、無料席の争奪戦をするよりも、早めに有料席(フェニックス席など)を確保するのが賢明です。
3. 茨城県「土浦全国花火競技大会」:光と音のエンターテインメント
「感動もいいけど、やっぱり楽しくて派手なのが好き!」というあなたには、土浦が一番です。首都圏からのアクセスの良さも相まって、最もスタイリッシュな大会と言えるでしょう。
理由①:スターマイン日本一
土浦は、速射連発花火「スターマイン」の部で内閣総理大臣賞が出る唯一の大会です。
大曲が一発の美しさを競うなら、土浦は「演出の構成力」を競います。数百発から数千発の玉を、100分の1秒単位でコンピュータ制御し、音楽のリズムに完全にシンクロさせる技術は圧巻。
色鮮やかでテンポが良く、瞬きする暇もありません。動画映えも抜群で、SNS世代からの支持が厚いのも特徴です。
理由②:秋開催の快適さ
花火大会=汗だく、虫刺され、という常識を土浦は覆します。
開催は11月(2026年は11月7日予想)。空気が乾燥して澄んでいるため、夏よりも花火の発色がクリアで煙も残りません。浴衣ではなく、コートやダウンを着て、温かい飲み物を片手に鑑賞するスタイル。これが驚くほど快適なのです。
理由③:近さと音圧の迫力
土浦の会場(桜川畔)は、打ち上げ場所と客席の距離が比較的近いです。
頭上に降り注ぐような光のシャワーと、スターマインの連続爆発音は、まるでライブ会場の最前列にいるような迫力。身体全体で「音を浴びる」快感は、土浦ならではの魅力です。
注意点:帰宅ラッシュの混雑
東京から特急で1時間弱という利便性の良さは、諸刃の剣です。
「日帰りできる」と思って気軽に来た数万人が、終了と同時に土浦駅へ殺到します。過去には駅の入場規制で数時間待たされたり、将棋倒し寸前になったりしたことも。帰りの指定席券の確保は「行きの切符」以上に重要です。
三大花火共通の「3つの壁」と攻略法

ここまで読んで「行きたい場所」が決まったあなたに、プロとして残酷な現実をお伝えしなければなりません。三大花火への道には、「チケット」「宿」「移動」という3つの高い壁が立ちはだかっています。
壁1:チケット争奪戦(4月から勝負は始まる)
「当日ふらっと行って見れるでしょ?」という考えは捨ててください。
三大花火は全席有料化が基本です。無料エリアがあったとしても、前日からの場所取りや、花火が見えにくい場所であることがほとんどです。
- 攻略法:
- 4月〜5月: 各大会の公式サイトをチェックし始めましょう。
- 5月〜6月: チケット抽選販売の申し込み開始時期です。
- 価格感: 大曲のパイプ椅子席で約7,000円〜、長岡のフェニックス席で約4,000円〜、土浦の桟敷席は数万円単位(グループ用)など幅があります。
- 裏技: 公式販売に外れた場合、「コンビニ先行」や「市民枠の余り」が出る二次販売を見逃さないこと。
壁2:宿泊予約の消失(宿がない!)
これが最大の難関です。開催地のホテル(大仙市、長岡市、土浦市)は、1年前から予約開始と同時に満室になるか、そもそも旅行会社や大会関係者にブロックされています。市内ホテルは関係者専用となる場合もあり一般客は泊まれません。
- 攻略法:
- エリアをずらす:
- 大曲: 秋田市、盛岡市、横手市に宿を取り、新幹線や電車で移動する。
- 長岡: 新潟市や越後湯沢エリア(新幹線停車駅)に宿を取る。
- 土浦: 柏、松戸、あるいは上野・東京駅周辺に宿を取る(これが一番楽)。
- 公式ツアー: 自分で手配するのが無理なら、チケットと宿、バスがセットになった大手旅行会社のツアーに申し込むのが最も確実です。割高ですが、安心感を得られます。
- エリアをずらす:
壁3:帰宅難民リスク(駅に入れない!)
花火終了後の駅は、地獄のような混雑です。
- 攻略法:
- 途中退場: クライマックス(フィナーレ)を見ずに、終了15分〜20分前に会場を出て駅へ向かう。これが最も確実に帰れる方法ですが、最高の瞬間を見逃すリスクも。
- 籠城: 逆に、会場でゆっくり余韻に浸り、2〜3時間時間を潰してから駅へ向かう。
- 装備: 11月の土浦や8月末の夜の大曲は冷え込みます。待機列に並ぶための防寒着と、折りたたみ椅子、モバイルバッテリーは必須アイテムです。
よくある質問(FAQ)
- 予算はどれくらい見ておけばいいですか?(ツアー利用の場合)
-
大会によって大きく異なります。土浦が最も安く、大曲は高額になる傾向があります。 首都圏発のツアー料金目安は以下の通りです。
- 土浦(約2万円〜): 日帰りバスツアーが主流で、桟敷席付きでも比較的安価に収まります。
- 長岡(約3.3万円〜): 車中泊(夜行)の弾丸バスツアーなら安いですが、ホテル泊や新幹線プランを含めると価格は跳ね上がります。
大曲(約8万円〜): 移動距離が長く、現地の宿泊確保が困難なため、1泊2日で10万円を超えるプランも一般的です。予算とスケジュールに合わせて選ぶ必要があります。
- 一人で行っても浮きませんか?
-
全く問題ありません。むしろ「おひとり様限定ツアー」も人気です。 三大花火は「花火と対峙する」場であり、一人参加者も非常に多いです。旅行会社によっては「おひとり様参加限定ツアー」も企画されており、全員が一人参加という環境で気兼ねなく楽しめます。
また、有料観覧席はパイプ椅子席など1名単位で購入できる席種が用意されています(例:大曲の椅子席7,000円、長岡のフェニックス席4,000円など)。隣を気にせず撮影や鑑賞に没頭できるため、むしろソロ活に向いているイベントと言えます。
- 服装はどうすればいいですか?
-
開催時期が異なるため注意が必要です。特に土浦は「冬の装備」が必須です。 11月開催の土浦は、最低気温が6℃台まで下がることもあり、河川敷の寒風は強烈です。浴衣は厳禁で、ダウンジャケットやカイロ、マフラーなどの防寒対策が必要です。
8月末開催の大曲も、昼間は暑いですが夜は冷え込むため、長袖の羽織りものが一枚あると安心です。長岡は真夏ですが、ゲリラ豪雨対策として雨具(カッパ)は必須です。いずれの大会も、傘の使用は周囲の視界を遮るため禁止または推奨されません。
- トイレに紙がないって本当ですか?
-
本当です。「トイレットペーパー持参」は全大会共通の鉄則です。 特に土浦の仮設トイレ(約600基設置)は、タンク容量の制限で水が流れない仕様のものが多く、ペーパーも備え付けられていません。
また、数万人規模の行列ができるため、水に流せるティッシュ、手洗い用の水や消毒アルコール、夜間の個室を照らすスマホライトの3点は必需品です。実行委員会も、トイレ混雑緩和のために事前の水分摂取コントロールや、アルコールの飲みすぎへの注意を呼びかけています。
- もし中止や延期になったら、チケット代は返ってきますか?
-
規定はシビアです。「延期なら返金なし」のケースが多いため注意が必要です。 土浦の場合、延期開催となった場合のチケット払い戻しはありません(完全中止時のみ返金対象)。 長岡の場合も、延期日はそのままチケットが有効となり、個人の都合で行けなくなっても払い戻しは不可です。
完全中止の場合でも手数料(約30%)を差し引いての返金となります。 遠方参加の場合、延期日の宿泊確保は困難なため、「延期=チケット代は戻らない」というリスクも考慮しておく必要があります。
日本三大花火どれが一番まとめ
最後に改めて整理しましょう。
- 技術と聖地のオーラに触れたいなら…… 8月29日(土)「大曲の花火」
- 涙が出るほどの感動と平和への祈りなら…… 8月2日(日)・3日(月)「長岡まつり」
- 秋の夜長に粋なエンタメを楽しむなら…… 11月7日(土)(※予想)「土浦全国花火競技大会」
「日本三大花火 どれが一番?」
その答えは、あなたがその夜、誰と、どんな想いで空を見上げたいかによって決まります。
どの大会を選んだとしても、そこにはテレビやスマホの画面では絶対に伝わらない、魂を揺さぶる体験が待っています。まずは手帳を開き、「チケット発売時期(4月〜5月)」にメモをすることから始めましょう。



コメント