訪日中国人旅行客の買い物傾向の変化
美味しい物の追求と、中古高級品が人気
平成29年度の農林水産省の報告によると（少し古くなりますが）、訪日外国人旅行客の消費額のうち、「買い物（お土産を含む）」が全体の約4割を占めていたそうです。結構高い割合であることが分かります。
買い物代の内訳を見てみましょう。ダントツに多いのは「化粧品・薬・健康グッズ」、次に「洋服・靴・カバン」、そして「食品・菓子・酒類」、その後に「電気製品」「時計・カメラ」となっています。
「食品・菓子」の購入率は約２割ですが、国別に見るとどうでしょうか。「お菓子」の購入額を見ると、アジア圏が約80%と圧倒的に高く、米国とその他の国々では15％です。
「その他の食品」の購入額を見ると、米国とその他の国が33％を占めており、お菓子購入よりも若干高いことが分かります。
いずれにしても、買い物代が一番多いのは「中国」なので、どのような商品を購入しているのか「小紅書」（中国版インスタグラム）で紹介されている、フォロー数の多いお菓子の一例を見てみましょう。
ここに挙げたのはほんの一例ですが、最近はお菓子に関しても「高級志向」で、美味しいスイーツにはお金に糸目をつけないようなのです。知り合いの中国人バイヤーの話によると、最近の売れ筋は「有名スイーツ店」のお菓子だとのことです（もちろんチープなお菓子も売れていますが）。
そして、「ラーメン」人気も好調です。ラーメンも志向が変化していて、「ご当地もの」や「有名店」のものが好まれているようです。
このように中国人は、すでにスーパーやディスカウントストアで売っている食品・お菓子のことは知っているので、さらに「美味しいもの」探しを始めたというところでしょうか。
東京秋葉原に「日本百貨店しょくひんかん」という、日本全国の美味しい物を集めたお店があります。ここにも多くの訪日外国人が訪れているのですが、お店の方に聞いてみたところ、中国人は「ラーメン」と「お菓子」(和菓子を含む）、西洋人は「わさび」と「緑茶パウダー」、インド人は「はちみつ」を購入しているそうです。各国の人たちの違いが面白いですね。
日本百貨店しょくひんかん
https://syokuhinkan.nippon-dept.jp/
東京ミッドタウンの中に「茅乃舎」（かやのや）という出汁専門店があります。このお店も訪日外国人に人気があります。出汁の試飲もできます。さまざまな出汁がパックで売られています。とても美味しい出汁が買えるので、日本人にもオススメのお店です。購入しているのは、やはりアジア系の人たちが多いように思います。
茅乃舎
http://www.kayanoya.com/shop/midtown-tokyo/
さて、食品とお菓子のことはこの辺りにしておきましょう。
いま、中国人に熱いのがメンズの「高級時計」の中古品店めぐりなのです。日本の中古の高級ブランド品がとても良いことを知ってしまったのでしょう（中国ではありえないからです）。
東京中野にある「中野ブロードウェイ」という商店街の中に「JACKROAD AND BETTY」、「かめ吉」という中古高級時計を扱っているお店があります。私がざっと見たところ、おそらく2～３割はアジア系のお客さんでした。何十万円、または百万円を軽く超える時計がずらりと並んでいて、外国人のお客さんが熱心に見入っていました。
中国人向けのキャッシュレスサービス「WeChat」と「Alipay」も完備されています。
JACKROAD AND BETTY
https://www.jackroad.co.jp/shop/
かめ吉
https://www.kame-kichi.com/
今後も増え続ける外国人旅行客のインバウンド対策、地方創生のための日本最大級の展示会「インバウンドマーケットEXPO2020」が、2020年に幕張メッセで開催されるそうです。今後はどのような商品が売れ筋となってゆくのでしょうか。
一般社団法人日本能率協会 インバウンドマーケットEXPO2020
https://www.jma.or.jp
まとめ
今回は、訪日中国人の買い物の傾向について見てみました。中国人は「SNS」を通してたくさんの旬の情報を知り、中国人による中国人のための「日本のトレンド商品」情報を発信しています。その流行の変化は早く、「炊飯器」や「爆買い」の時代はすでにひと昔前の話となりました。今後はどのような日本の商品が、彼らのトレンドになってゆくのでしょうか。何度も日本を訪れる中国人も多く、これからもより「美味しいもの」を求めて、地元の人しか知らないような隠れた名店などにも出向くかもしれません。
中国人に限らず、多くの訪日外国人旅行客の誘致のためにインバウンド対策を行ってゆきましょう。