ナマステの本当の意味は「ありがとう」?どこの国、何語で使われるか解説

ナマステ 意味

ナマステという言葉はよく聞きますが、実際の意味について深く考えることは少ないかもしれません。

「ナマステ」は、インドやネパールで広く使われる挨拶の言葉ですが、その本当の意味や由来は興味深いものです。ナマステは、単なる「こんにちは」や「ありがとう」ではなく、相手への敬意が込められた深い意味を持つ言葉です。

この記事では、ナマステの意味や語源、インドとネパールでの使われ方の違い、さらにはヨガで使われている方法や正しい発音まで詳しく解説します。ナマステの正しい理解を深め、適切に使えるようになりましょう。

  • ナマステの意味や語源を理解できる
  • インドとネパールでの使われ方の違いが分かる
  • ヨガでのナマステの使われ方について知ることができる
  • 正しい発音や返し方を学ぶことができる
株式会社アットグローバルのネパール在住スタッフ

この記事の監修者
株式会社アットグローバル
 ネパール在住スタッフ

2014年~ ネパール在住。国立トリブバン大学ビソバサ言語学科でネパール語を学び、以降ネパール語の通訳・翻訳に携わる。他にも日系企業や学術機関からの依頼により、現地コーディネートやネパールに関わる依頼を幅広く担当。ネパリスタイルの髭のおかげで、ほぼ日本人だとばれることなく過ごしている。

目次

ナマステの意味と由来

ナマステの意味と由来

ナマステの意味とは?

現在「ナマステ」は、主にインドやネパールで「おはよう、こんにちは、こんばんは、さようなら」などの挨拶の言葉として、様々な場面で使われています。ただし、友人同士やカジュアルな場面ではナマステ以外の言葉、例えば、「Hi」や「Hello」が使われることもあります。

一緒に住んでいる家族に、ナマステを使うことはまずありません。(例えば、朝起きたら家族におはよう!という感覚で、ナマステ!ということはありません。)

ヒンズー教徒や仏教徒の間では、「ナマステ」は相手や神聖な存在に対する経緯や謙虚さを表現する言葉としてとらえられています。ですから日本語でいう「こんにちは」のように使われるものの、相手の存在や敬意を払う行為といった意味を含んだ言葉になります。

さらに、ナマステの由来や語源を調べてみるととても興味深い点に気づきます。

ナマステの由来と語源は?

ナマステはサンスクリット語が由来

ナマステは、サンスクリット語に由来する言葉です。サンスクリット語は、古代インドで使われていた言語で、ヒンドゥー教の聖典や仏教の経典など、多くの古典文献がこの言語で書かれています。

サンスクリット語は、現代のインドでは実際の日常会話で使われることはほとんどありませんが、宗教儀式や学術の場で重要な位置を占めています。特にヒンドゥー教の儀式や祈りでは頻繁に用いられ、学術的な研究や文献の研究でも使われています。日本でいうところの文語のようなものになりますね。

ナマステの語源

ナマステはサンスクリット語に由来し、「ナマス(namas)」と「テ(te)」の2つの言葉が組み合わさっています。

  • ナマス(namas) … 敬意を表する、礼拝する
  • テ(te) … あなたに

これらを合わせると、「あなたに敬意を表します」「あなたに礼拝します」といった意味になります。単なる挨拶以上に、相手を尊重し、敬う気持ちが込められていることが分かります。

インドとネパールでのナマステの使われ方の違い

インドでのナマステの使い方

基本的に言って、ナマステは、インドとネパールの両国で日常的に使われる挨拶ですが、それぞれの文化によって使い方やニュアンスに違いがあります。ここでは、インドとネパールでのナマステの使われ方の違いについて詳しく解説します。

インドでのナマステの使い方

インドでは、ナマステは日常生活の中で頻繁に使われる言葉です。

  • 一般的な挨拶 … 「こんにちは」「さようなら」など、どんな時間帯でも使える便利な言葉です。
  • 敬意を表す言葉として … 目上の人、先生、宗教的指導者に対して使うことが多く、フォーマルな場面でも適しています。手を合わせて挨拶することで、より敬意を表すことができます。
  • 宗教的な意味を持つ場合もある … ヒンドゥー教の影響が強いため、神々や聖人に対してもナマステを使うことがあります。

インドでは、ナマステは基本的に敬意を込めた挨拶として広く受け入れられています。

ネパールでのナマステの使い方

ネパールでも、ナマステは一般的な挨拶ですが、インドと比べてよりフォーマルな印象を持つことがあります。

  • 日常の挨拶として使う … インドと同様に、「こんにちは」「さようなら」として使われますが、やや丁寧な印象があります。
  • 目上の人に対する挨拶の重要性 … ネパールでは、年長者や上司、先生に対してナマステを使うのが一般的であり、手を合わせつつ、深いお辞儀を伴うこともあります。
  • 「ナマスカール」がよりフォーマルな表現として使われる … 公式の場やかしこまった場面では、「ナマスカール」というより丁寧な表現を使うことが多いです。

ボディランゲージの違い

ナマステをする際の動作にも、インドとネパールで若干の違いがあります。

  • インド … 両手を胸の前で合わせて軽くお辞儀をするのが一般的。親しい間柄では言葉だけで済ませることもあります。
  • ネパール … 基本的にはインドと同じですが、目上の人に対してはより深くお辞儀をすることが礼儀とされています。

このようにナマステは、インドとネパールのどちらでも広く使われる挨拶ですが、インドではよりカジュアルに使われることが多く、ネパールでは丁寧な挨拶としての印象が強いです。

また、ネパールでは「ナマスカール」というよりフォーマルな表現もあり、場面によって使い分けられます。両国の文化を理解した上で、適切にナマステを使うことが大切です。

ネパール在住 スタッフ

お互いにナマステと言ってお辞儀するのは一般的な挨拶の範囲ですが、目下のほうがナマステをし、目上のほうはナマステせず頭を触るような仕草になると、それは目上の人が目下の人を祝福するという、ヒンドゥー教宗教的儀式の意味合いになります。

タイ語でもナマステを使う?

ネットを見ていると、「タイ語でもナマステを使いますよね」と勘違いしている投稿がありますが、タイにおいては「ナマステ」という言葉は一般的に使われていません。一方で、タイ語で「こんにちは」に相当する言葉として「サワッディー」があり、これが日常的な挨拶として使われています。

タイの挨拶「サワッディー」では、両手を胸の前で合わせる「ワイ」という伝統的なジェスチャーが行われます。このジェスチャーがインドで「ナマステ」を発するときの両手を合わせる動作に似ているため、「ナマステ」がタイでも使われていると誤解されることがあるのは理解できます。

「ナマステ」の背景にはサンスクリット語由来の敬意や精神性が込められていますが、タイの「サワッディー」や「ワイ」も文化的な敬意を示す挨拶の一環です。ただし、その使用や背景にある宗教的・文化的要素は異なります。

ナマステと言われた時の返し方は?

インドやネパールに旅行に行く際には、頻繁に「ナマステ」と声をかけられるでしょう。また最近では外国人が日本に訪れることも増えているため、日本でも「ナマステ」と言われることがあるかもしれません。

そのように相手から「ナマステ」と言われたとき、どのように返せばよいのでしょうか?ここでは、適切な返し方について詳しく解説します。

基本的な返し方

最も一般的で簡単な返し方は、そのまま「ナマステ」と返すことです。これは、日本語の「こんにちは」に対して「こんにちは」と返すのと同じようなものです。ナマステには「あなたに敬意を表します」という意味があるため、相手の挨拶をそのまま返すことで、礼儀正しい印象を与えられます。

さらに丁寧に返す方法

よりフォーマルな場面や、目上の人に対しては、「ナマスカール」と返すことも可能です。「ナマスカール」は、ナマステよりも丁寧な表現であり、インドやネパールのビジネスシーンや儀式の場面で使われることが多いです。

ただし一部の地域では「ナマスカール」よりも「ナマステ」の方が日常的に馴染み深い場合もあるため、状況に応じて適切な言葉を選ぶことが大切です。

ナマステ以外の返答は必要?

インドやネパールでは、ナマステは非常に一般的な挨拶なので、特別な返答を考える必要はありません。しかし、より深い会話に進みたい場合は、「ナマステ!お元気ですか?」(ヒンディー語で「ナマステ!アープカイセーハイ?」)のように続けると、相手との交流がスムーズになります。

ナマステの文化的背景と発音・表記方法

ナマステの文化的背景

画像参照:Wiki

上の画像は、西暦6世紀~7世紀の美術品です。このようにインダス文明に関連したさまざまな遺跡の発掘調査で、ナマステの姿勢をとった男性と女性のテラコッタ像が発見されています。テラコッタ像というのは、粘土で焼成した陶器の一種で、この画像の手の合わせ方は、アンジャリ・ムドラと呼ばれる形です。

アンジャリ・ムドラとナマスカラ・ムドラ

ナマステの挨拶をするときに、手を合わせる動作が伴うことが一般的ですが、この動作には特別な名前があります。「アンジャリ・ムドラ」と「ナマスカラ・ムドラ」は、どちらも手を合わせるジェスチャーですが、それぞれ意味や使われ方に違いがあります。ここでは、それぞれの特徴を詳しく解説します。

項目アンジャリ・ムドラナマスカラ・ムドラ
意味祈り・精神統一敬意・挨拶
使われる場面ヨガ、瞑想、礼拝挨拶、儀式、フォーマルな場
手の形親指の候が胸を向いて他の指と垂直親指の甲が他の指の甲と水平
手の位置胸の前が基本胸の前・額の前など変化あり

アンジャリ・ムドラとは?

アンジャリ・ムドラ(Anjali Mudra)は、ヨガや瞑想の際に行われる手のポーズです。ヨガのポーズ名に「ムドラ」とつくものがあるように、ムドラとは手の位置や形を意味する言葉です。

  • 手の形 … 親指の候が胸を向いて他の指と垂直になる
  • 手の位置… 両手のひらを胸の前で合わせる(合掌のポーズ)
  • 意味 … 敬意・感謝・祈りを表す
  • 使われる場面 … ヨガ、瞑想、精神統一、祈り

アンジャリ・ムドラは、ヨガの実践において用いられます。特に、心を落ち着かせたり、感謝の気持ちを深めたりするために使われることが多いです。

ナマスカラ・ムドラとは?

ナマスカラ・ムドラ(Namaskara Mudra)は、ナマステをするときに行われる手の動作を指します。「ナマスカラ」という言葉には「敬礼」という意味があり、相手に対して敬意を示すためのジェスチャーとして使われます。

  • 手の形 … 親指の甲が他の指の甲と水平になる
  • 手の位置… 両手を胸の前または額の前で合わせる
  • 意味 … 敬意を表す挨拶
  • 使われる場面 … 日常の挨拶、宗教儀式、フォーマルな場面

ナマスカラ・ムドラは、インドやネパールの伝統的な挨拶として広く使われています。相手に敬意を示すため、よりフォーマルな場面でも適用されます。

宗教的な背景

ナマステは単なる挨拶として使われるだけでなく、宗教的な意味も含まれています。インドやネパールを中心に、ヒンドゥー教や仏教などの宗教文化の中で重要な役割を果たしているのです。ここでは、ナマステと宗教の関係について解説します。

ナマステとヒンドゥー教の関係

ナマステは、ヒンドゥー教の信仰と深く結びついています。ヒンドゥー教では、「すべての人の中に神聖な存在が宿る」と考えられています。そのため、ナマステの挨拶は単に相手に敬意を示すだけでなく、「あなたの中にある神聖なものに敬意を表します」という意味を持ちます。

また、ヒンドゥー教の礼拝では、神々に対してナマステの動作(ナマスカラ・ムドラ)を行うことが一般的です。寺院で祈る際にも、両手を合わせることで神々への感謝や祈りを捧げるのです。

仏教におけるナマステ

仏教にも、ナマステと似た概念があります。仏教では、ナマステのもとになったサンスクリット語の「ナマス(Namas)」が「礼拝」「帰依」を意味する言葉として使われてきました。

仏教の礼拝では、「合掌(がっしょう)」とよばれる動作が行われます。これは、ナマステと同じく両手を合わせる仕草で、仏に対する敬意や感謝の気持ちを表しています。インド仏教の影響を受けた地域(例えばチベットや日本)でも、この合掌の文化が根付いています。

ヨガでの使われ方

西洋のヨガ教室ではレッスンの最初や最後にインストラクターが「ナマステ」と言うことが一般的です。特にレッスンの締めくくりとして「ナマステ」と唱えることで、感謝や敬意、内面的な平和を感じながらクラスを終えるという習慣が根付いています。

興味深いことに、インドやネパールのヨガ教室では必ずしも「ナマステ」を授業の最後に使うとは限りません。

インドではヨガは精神的な修練の一部であり、形式に縛られず、指導者によって授業の締め方が異なることがあります。一方、西洋では「ナマステ」が精神的な締めくくりとして特別な意味を与えられている場合が多いです。

この背景には、ヨガが単なる運動としてではなく、精神性や瞑想と結びついて紹介されることが多い西洋の文化的文脈が関係しています。

この点に関しては、様々な考えがあるようでデンバー大学の宗教学助教授ディーパ・スンダラム博士によると

the divine in me sees and honors the divine in you” is a nice sentiment, namaste has become overused and misconstrued. It does translate to, “I honor you,” she previously told mindbodygreen, but in India, it’s simply an equivalent to “hello” or “welcome.

引用元:https://www.mindbodygreen.com/articles/namaste-meaning

と述べています。簡単に言うと、ナマステという言葉には、「あなたの中にある光に敬意を表します」という意味があると考えている人がいるが、それは誤解で、本来は挨拶の言葉以上の意味がない、ということですね。

ヨガというものが世界中に広がる中で、さまざまな考え方があり、そこに「ナマステ」という言葉も絡んできていることを興味深く感じました。

ヨガ文化のグローバルな普及により、「ナマステ」が精神的な締めの挨拶として使われることが一般的になった一方で、元々の文化的背景や使用目的から少し離れた形で解釈されるケースと言えます。

正しい発音の仕方

正しい発音の仕方

ナマステは日本でもよく知られた言葉ですが、正しい発音を意識している人は少ないかもしれません。適切な発音を理解することで、より本場の雰囲気に近い使い方ができます。ここでは、ナマステの正しい発音と注意点について解説します。

ナマステの発音の基本

ナマステの発音は 「ナマステー」 に近く、最後の「テ」をやや伸ばすのが正しい発音とされています。日本語では「ナマステ」と発音することが多いですが、インドやネパールの人々は「ナマステー」と発音することが一般的です。

発音のポイント

  1. 「ナ」 …日本語の「ナ」とほぼ同じ発音でOK。
  2. 「マ」 …口をしっかり閉じて「マ」と発音する。モに近い音
  3. 「ス」 …「ス」は強く発音しすぎず、やや軽めに。英語表記では「Su」ではなく、半音の「s」
  4. 「テ」 …日本語の「テ」よりも少し舌を前に出し、柔らかく発音する。
  5. 「ー(伸ばす音)」 …最後の「テ」を少しだけ伸ばすことで、本場の発音に近づく。

よくある発音ミス

  • 「ナマステ」と短く言い切る → 正しくは「ナマステー」と軽く伸ばす。
  • 「テ」を強く発音しすぎる → 優しく発音するのが自然。
  • 「ス」を濁らせる → 「ズ」に近い発音にならないように注意する。

正しい表記方法

ナマステは、日本語でもよく使われる言葉ですが、アルファベット表記や書き方にいくつかのバリエーションがあります。正しい表記を知っておくことで、より適切に使うことができます。ここでは、ナマステの表記方法と注意点について解説します。

ナマステのアルファベット表記

ナマステの標準的なアルファベット表記は 「Namaste」 です。この表記は、ヒンディー語やサンスクリット語から英語に翻訳された際の一般的な形です。正式な文書や看板などにもこの表記が使われます。

よく使われる表記のバリエーション

  • 「Namasté」 … フランス語などの言語では、アクセントをつけることがあります。
  • 「Namastee」 … カタカナ発音を意識して表記されることがありますが、正しくありません。
  • 「Namastay」 … 英語の発音を意識して使われることもありますが、一般的ではありません。

日本語での書き方

日本語では、カタカナで 「ナマステ」 と表記されることが一般的です。また、漢字で書くことはなく、ひらがな表記もあまり見られません。「ナマスカール(Namaskar)」という言葉もありますが、これはナマステの丁寧なバージョンなので、混同しないようにしましょう。

ナマステの意味まとめ

  • ナマステはインドやネパールで使われる挨拶の言葉
  • 「おはよう」「こんにちは」「さようなら」など幅広い場面で使われる
  • サンスクリット語の「ナマス(敬意)」「テ(あなたに)」が語源
  • 「あなたに敬意を表します」という意味を持つ
  • インドでは神々や聖人への敬意としても用いられる
  • ヨガの影響で「ナマステ」が精神的な意味を持つと誤解されることがある
  • 正しい発音は「ナマステー」と最後を少し伸ばす
  • アルファベット表記は「Namaste」が一般的
  • 「ナマステ」と言われたら「ナマステ」と返すのが基本
  • 目上の人には「ナマスカール」と返すのがより丁寧な対応
  • 日本ではカタカナ表記が一般的で漢字表記はない
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