電話がかかってきたので画面を見ると「+1」から始まる電話番号、その下には「カナダ」という文字が…。
突然カナダから電話がかかってきたらびっくりしますよね。
一体誰なの?詐欺?でもどうしてカナダ?
など、1通の着信であなたの頭の中は疑問で一杯になると思います。
結論から言うと、もしあなたがカナダに知り合いがいないのであれば、その電話は詐欺の可能性が高いので無視しておきましょう。
この記事では、カナダから電話がかかってくる理由や、かかってきた場合の対処法について解説していきます。
カナダからの電話は架空請求詐欺の可能性大
X(旧Twitter)やYahoo知恵袋で「カナダから電話」と検索すると、カナダから電話がかかってきた人はかなり多いことがわかります。
傾向をまとめると以下のとおりです。
- 数時間前にかかってきた人もいる(2024年4月時点)
- 2023年5月あたりから増えている
- カナダの中でもケベック州からの電話が多い
- NTTファイナンスを名乗っている
- 音声通話で料金未納の案内がきた
去年から現在進行系で、カナダから電話がかかってきているようですね。電話だけでなくショートメッセージ(SMS)で連絡がきたという人もいました。
最近のスマホでは自動的に国番号やエリアコードを調べてくれるので、登録していない番号でもどこの国からの着信か表示されます。
「+1」はカナダだけでなくアメリカの国番号でもあるのですが、それに続く3桁のエリアコードを検索して、カナダからの着信だと判断しているんですね。
かかってきた電話の例
多くの場合、カナダからの電話は自動音声で以下のような内容を伝えてきます。
NTTファイナンスです。料金の未納があるので電話が利用停止となります。(または法的措置を取ることになりました。)
くわしい説明は◯番を押してください。
最初は自動音声でたくさんの人に電話をかけ、番号を押して反応した人にだけ犯人が電話をするという、効率の良い方法ですね。
でも、そもそもNTTファイナンスとは何の会社なのでしょうか。
カナダからの詐欺電話がすべてNTTファイナンスだとは断言できません。あくまで一例として参考にしてください。
NTTファイナンスとは
NTTファイナンス株式会社は、NTTグループの金融会社です。
金融に関係するさまざまなサービスを提供していますが、とくに注目すべきは通信サービス料金の請求業務を行っていること。
つまり、スマホをドコモやahamo、家のネット回線をフレッツ光で契約していれば、NTTファイナンスから料金の請求が来ることになります。
もしNTTグループに関係しないスマホやネット回線を使っていれば、NTTファイナンスを名乗っても「うちには関係ない、これは詐欺だ!」と気づきやすいかもしれません。
逆にドコモやフレッツ光を使っていると、「え?払ってなかったっけ…」と焦ってしまい、騙される可能性が高くなります。
でもそれは架空料金請求詐欺なので、決して支払ってはいけません。
架空料金請求詐欺とは、未払いの料金があるなどと架空の事実を口実として、金銭などをだまし取る行為のことです。
NTTファイナンスが注意喚起している
そもそも、日本の会社であるNTTファイナンスがカナダから電話をかけてくることはありえません。
NTTファイナンス公式サイトでも架空料金請求詐欺に注意するように促されています。
- 国際電話でお客様に連絡しない
- 自動音声ガイダンスで回線の利用停止を通知することはない
- 電子マネーで支払いをお願いすることはない
- SMSによる料金の支払い確認もしていない
NTTファイナンスとしては、詐欺目的で名前を使われて迷惑ですね。
カナダから詐欺の電話がかかってくる理由
犯人がカナダに住んでいるのではなく、単にカナダの電話番号が日本と比べて作りやすいからです。
細かく言うと、簡単に作れるのはIP電話というネット回線を使った電話のことで、カナダに住んでいなくてもスマホだけで電話番号を取得できます。
アプリを通して電話番号を作れる
たとえばDingtoneというメッセージアプリは、カナダを含むさまざまな国の電話番号を作ることができます。
料金も安く、アプリ上ですべての手続きが数分で完結します。
他にもカナダの電話番号を取得できるアプリは複数ありますし、少し知識があれば、電話番号を取得するアプリを自作することだって可能です。
詐欺グループがどのアプリを使っているかは不明ですが、カナダの電話番号を匿名で取得するハードルは、日本の番号に比べると低いです。
Dingtoneでカナダの電話番号を発行してもらうには、パスポートやIDカードなどの身分証をアップロードする必要があります。
固定電話と携帯番号のルールが同じ
日本だと携帯は090や080などの番号で始まり、家の固定電話は市外局番から始まるので、番号を見ただけで携帯・固定の区別がつきますよね。
でもカナダでは、携帯でも固定電話でもエリアコードから始まります。たとえばカナダのケベック州モントリオールだと次のとおりです。
+1(514)○○○-○○○○
これは固定電話でも携帯でも、さらにはIP電話でも同じです。なので、着信側からするとどんな電話でかけてきたのか、カナダからかけてきているかどうかもわかりません。
海外の電話番号が詐欺行為の主流となっている
電話を使った架空料金請求詐欺は今に始まったことではなく、昔は固定電話からかかってくることがほとんどでした。
その後、IP電話を使った詐欺電話が増え始めました。IP電話を契約するのに本人確認が必要になってからは、スマホアプリで簡単に作れる海外の電話番号を使った詐欺行為が主流になっています。
今後、こうした電話番号の取得にも何らかの規制がかかった場合、詐欺グループはまた別の方法を使い始めると考えられます。
騙されないで!電話がかかってきた場合の対策4つ
警察庁のデータによると、架空料金請求詐欺は東京都だけで2023年度、計20億4,188万円(447件)でした。
これだけの被害がでているということは、この詐欺がこれからも続く可能性が高いことを意味しています。
ここからは、もしカナダから電話がかかってきたときの対策について4つ解説しますね。
対策1.電話にでない
電話に出てしまうと、その電話番号は使用中のものと目をつけられてしまい、さらに悪用される可能性が高くなります。
ちょうどスマホを使っているときに電話がかかってきても無視。もちろん、不在着信があっても折り返してはいけません。
対策2.番号を検索する
着信履歴から、あやしい電話番号をコピーしてGoogleで検索してみましょう。
iPhoneでもAndroidスマホでも、電話の履歴画面で番号を長押しすると、電話番号をコピーする項目がでてきます。
コピーしたらGoogleの検索ボックスに貼り付けて検索してみてください。
もし病院やお店、会社からの電話であればそれらの公式サイトや電話帳サイトがでてくるはずです。
NTTファイナンスと名乗っているなら、NTTファイナンスのサイトが出てこないとおかしいですよね。
迷惑電話アプリはおすすめしない
あくまで個人的な意見ですが、着信があったときに電話番号があやしいかどうかを判別する系の迷惑電話アプリはあまりおすすめしません。
なぜなら、それらのアプリは通話や電話帳など、スマホの中でも特に大切な情報が集まっている部分へのアクセス許可が必要だからです。
ちょっとひと手間ではあるものの、番号をコピーして検索すれば安全かつ完全無料で調べられるので、私は迷惑電話アプリをおすすめしません。
対策3.話に絶対乗らない
万が一電話を取ってしまった場合は、話を鵜呑みにせずに無視しておきましょう。
知人が近くにいるのであれば、スピーカーモードにして一緒に聞いてもらうことでも冷静な判断ができます。
実は詐欺に騙されやすい人の特徴に一つに「自分は絶対に騙されないと思っている人」があります。そういう人は自分を過信し、誰にも相談せずに決めてしまうからだそうです。
詐欺被害のニュースを見て「どうしてそんな手口にひっかかるの?」と思ったことがあるかもしれません。それだけ詐欺師の方法が巧みなので、第三者の意見を聞いてみるのは被害を防ぐ大切な方法です。
対策4.海外からの着信を止める(固定電話のみ)
国際電話不取扱(ふとりあつかい)受付センターへ連絡することで、固定電話へ海外からの電話がかかってこないようにできます。しかも無料です。
これはカナダだけでなくすべての国際電話を一律かかってこないようにするサービスなので、海外の人と電話でやりとりする可能性がある場合は難しいかもしれません。
ただ、高齢の親族が詐欺被害に遭わないか心配なのであれば、こうしたサービスを利用するのも良いでしょう。
まとめ
カナダから電話がかかってきた場合、ほとんどの場合架空料金請求詐欺の電話です。
毎年多くの人が被害に遭っているので、以下のポイントに注意しておきましょう。
- NTTファイナンスは海外通話で料金の請求をしない
- 着信があっても無視する
- 固定電話なら海外からの電話を止められる
警察庁では、詐欺に関する相談窓口も設けられているので、カナダはもちろん、他の国からの電話で不安を感じたら専門家に相談してみてください。警察相談専用窓口 #9110
消費者ホットライン 188
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