ネパールカレーとインドカレーの違いとは?

インドカレーとネパールカレーの違い

本格的なカレーが食べたい!と思って街を見渡すとよく見かける、ネパールカレー屋さん。カレーと言えばインドだと思っていたけど、ネパールのカレーも美味しいの? どっちが辛いの?など疑問に思ったことがあるかもしれません。

ここでは、ネパールカレーとインドカレーの違いを解説します。ぜひカレー好きの皆さんでシェアしてください!

株式会社アットグローバルのネパール在住スタッフ

この記事の監修者
株式会社アットグローバル
 ネパール在住スタッフ

2014年~ ネパール在住。国立トリブバン大学ビソバサ言語学科でネパール語を学び、以降ネパール語の通訳・翻訳に携わる。他にも日系企業や学術機関からの依頼により、現地コーディネートやネパールに関わる依頼を幅広く担当。ネパリスタイルの髭のおかげで、ほぼ日本人だとばれることなく過ごしている。

目次

そもそもカレーとは

元々カレーはインド発祥の料理で、複数の香辛料(スパイス)を混合させて作った料理全般のことです。肉や野菜をスパイスと一緒に調理するものは、カレーと呼ばれます。

インドのカレーは紀元前から存在していたと言われていますが、16世紀にインド亜大陸にムガル帝国が建国されると、新たな発展を遂げました。ムガル帝国の宮廷料理は華やかで豪華なものであり、この時期にインドのカレーにヨーグルトやナッツ、クリームなどの要素が加わりました。よりクリーミーで濃厚な味わいのカレーになったのです。

インドのカレーは地域ごとに違う

インドのカレーは、多様な地域や文化の影響を受けています。北部のカレーはクリームやバターを多用し、濃厚でクリーミーな味わいが特徴です。一方、南部のカレーはココナッツミルクやタマリンドを使用し、辛さと酸味が特徴的です。また、地域によって具材選択も異なり、肉や魚介類、野菜など様々です。

 一般的なインドのナンとカレー

世界に広がると共に変化したカレー

19世紀にはイギリスがインドを植民地化したことをきっかけに、カレーはイギリスの食文化にも取り入れられました。イギリスではカレーが人気を博し、カレーのレシピは変化し、新たなバリエーションが生まれました。

現代では、カレーは世界中で愛される料理となり、多くの国や地域でその独自のスタイルが発展しています。インド、ネパール、バングラデシュ、パキスタン、タイ、マレーシア、日本など、さまざまな国の文化の影響を受け、カレーは各地で独自進化を遂げています。

ネパール在住 スタッフ

日本のカレーは世界的にみるとカレーのスタンダードではなく、「ジャパニーズカレー」という独自ジャンルとして知られています。ネパール人のイメージとしては「甘いカレー」だそうです。

ネパールカレーとインドカレーの違い

一口にインドカレーと言っても南部と北部での違いがありますし、ネパールカレーも地域ごとの違いがあります。もっと細かく分類することもできますが、ここでは一般的な違いを説明します。

スパイスの違い

カレーの材料となるスパイスに関しては、ネパールカレーとインドカレーはほとんど違いがありません。レストランや家庭ごとに好みの味付けがありますが、どちらも主にクミン、コリアンダー、ターメリック、カルダモン、クローブ、シナモン、ニンニク、ショウガなどが使用されます。

ネパールでもインドでも、「ガラムマサラ」「カレーマサラ」として配合済みのスパイスがお店で売られていることもあり、最近の家庭料理でもよく使われています。

あえて違いを言うとすれば、一般的にはネパールカレーよりインドカレーのほうが辛いと言われています。

味付けの違い

ネパールカレーのほとんどは、インドカレーよりもさっぱりとした味わいが一般的で、よりシンプルな味わいです。とろみはなく、スープ状です。地域によって、豚肉、チキン、ヤギ肉、水牛肉、川魚、野菜、チーズなどが用いられます。(ただ、日本人からするとやっぱり辛いですし、油はけっこう使われています)

インドカレーは濃厚でクリーミーな味わいが特徴で、トマトやヨーグルト、ココナッツミルクがよく使用されます。とろみがあり、ナンに合うように作られています。ネパールには海がないため、基本的に海の魚介系カレーはありませんが、南インドには魚や海老のカレーなどもあります。

サイドディッシュの違い

ネパールカレーは、通常、ライスやダルスープ、アチャールなどが一緒に提供されます。サラダはニンジンや大根のぶつ切りが多いです。

インドカレーは、ナンやライス、パパドムなどが一般的なサイドディッシュとして提供されます。サラダにはインド風ドレッシングがかかっています。

ネパールの主食はカレーライスじゃない?

日本ではあまり知られていませんが、ネパール人の主食は、いわゆるカレーライスではありません。カレーはおかずの一部という位置づけで、インド風のナンとカレーは、ネパール人にとっても時々レストランで食べるものです。

ネパールの主食はダルバート

ネパール人は基本的に一日2食、ダルバートを食べます。ダルバート(Dal Bhat)とは、ネパールの伝統的な料理で豆スープとご飯、おかず、野菜炒めなどのプレート料理です。”ダル”は豆スープを指し、”バート”はライスを指します。

ネパールの主食・ダルバート。カレーライスとは違うものです。

最低限、ダルと呼ばれる豆スープとご飯があればダルバートになります。ほとんどの家庭やレストランではこれに加え、カレースープやタルカリ(カレー味の炒め物)、サーグ(野菜炒め)、アチャール(ネパールの漬物のようなもの)、ヨーグルトなども添えられます。

つまりほとんどのダルバートにカレーかカレー味の炒め物がつくとはいえ、必須ではないのです。特に家庭では、毎食何品もおかずを作るのは大変ということもあり、カレースープは省かれることもけっこうあります。ネパール人の主食はあくまでも、カレーライスではなく、ダルバートなのです。

ネパールカレーはどれくらい辛い?

ネパールのカレーやダルバートには、唐辛子が使われていることがほとんどです。日本人は「辛いけど美味しいよ!」という表現で褒めることもありますが、ネパール人は辛い=美味しいという感覚なので、辛さが足りないと、生の唐辛子をかじりながらダルバートを食べる人もいるほどです。

でも日本にあるカレー屋さんやダルバートのお店では、日本人向けに辛さを調整してあることがほとんどです。どれくらい辛いのか?は人によって違いますが、ネパール人がよく食べにくるレストランなら、けっこう辛いかもしれませんので注意しましょう。

ネパール在住 スタッフ

ちなみにネパリの友人に、「ネパール人は何でこんなに辛いのを食べられるの?生まれた時からそうなの?」と聞いてみたら、「小さい頃から食べさせるから、だんだん美味しく感じるようになるんじゃないかな?最初は辛いと言って泣くけど・・・」と話していました(笑)。

日本のインドカレーのお店にインド人はほとんどいない

全国各地にインドカレーのお店はたくさんありますが、じつは働いているのはほとんどがネパール人です。日本に出稼ぎに来たりビジネスのためにくるインド人よりも、ネパール人のほうが圧倒的に多いからです。そしてネパール人スタッフにとって、なじみのあるインド風カレーを作るのはさほど難しいことではありません。

インド料理屋さんで働くネパール人は、賄い料理としてダルバートを作ることもあるようです。そのためレストランのメニューにはなくても、ダルバートを提供してくれることもあります。

本場のカレーを食べたいなら

カレーを食べたい場合はインド料理屋さんに、ダルバートを食べたい場合はネパール料理屋さんに行くのがお勧めです。日本にあるインド料理・ネパール料理レストランのほとんどは、日本人向けに味付けが調整されています。そのため極端に辛すぎることなく、安心して食べることができます。

でも本場の辛さを体験したいなら、レストランで注文する際スタッフに、「これはあなたが食べても辛いと感じますか?ネパール人が美味しいと思う辛さにしてもらえますか?」と尋ねてみましょう。本格的な辛さを美味しいと感じたら、本物のカレー好きですね!

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