今まさに飛行機に乗るタイミングで「モバイルバッテリーを預けてしまった」と気づいて慌てていますか?
モバイルバッテリーはリチウムイオン電池を使用しており、安全上の理由から機内持ち込みが原則とされています。
この記事では、預けてしまった場合の具体的な対処法や、国内線・国際線での違い、航空会社ごとのルール、そしてトラブルを未然に防ぐための準備方法まで、わかりやすく解説していきます。
今すぐ確認して、旅先での不安を減らし、安全でスムーズな空の旅を楽しむための参考にしてください。
- 飛行機にモバイルバッテリーを預けてはいけない理由
- モバイルバッテリーを飛行機に持ち込む際の注意点
- 預け荷物としてモバイルバッテリーを扱う場合のリスク
- 航空会社の規定に従ったモバイルバッテリーの適切な持ち込み方法
モバイルバッテリーを預けてしまった時の対処法

モバイルバッテリーは飛行機の預け荷物に入れることが禁止されているため、万が一入れてしまった場合は迅速な対応が必要です。 適切な行動を取れば、取り出せる可能性が高まります。ここでは、「いつ気づいたか」に応じた対処法を解説します。
国内線:カウンター到着前/後/搭乗後のそれぞれ
国内線の規則でも、モバイルバッテリーは機内持ち込みが必須です。預けてしまった場合は、以下の状況ごとに対応しましょう。
カウンター到着前に気づいたとき
この段階なら問題なく取り出せます。スーツケースを開け、バッテリーを手荷物バッグに移すだけで対応できます。
カウンターで荷物を預けた後に気づいたとき
このタイミングで気づいたなら、すぐに航空会社のスタッフに声をかけましょう。スーツケースがまだ運搬中なのか、すでに飛行機に搭載されているのかで対応が変わってきますが、まずは状況を伝えることが大切です。
搭乗後に気づいたとき
機内に入ってから気づいた場合でも、すぐに客室乗務員に伝えましょう。もしかすると到着後に手荷物検査の対応を受ける可能性があります。 短時間の国内線なら大事にはならないことも多いですが、自己申告しておく方が安心です。
このように、国内線でも気づいたタイミングに応じた行動が鍵になります。特に地方空港では柔軟に対応してくれることも多いですが、ルールは厳守されるため、出発前のチェックは必須です。
国際線:トランジット・渡航先での追加リスク
国際線では各国の規則が異なるため、注意が必要です。特に乗り継ぎ(トランジット)の際に、ルールの違いでトラブルになる可能性があります。
国際線では「複数の国のルール」を事前に確認するのが鉄則
出発国・経由国・到着国のすべてで違うルールが適用されることがあるため、事前の確認が必須です。
よくあるトラブル例
- トランジット国の保安検査で容量オーバーと判断され、バッテリーを廃棄
- 航空会社による持ち込み拒否
- 到着地の検査で警告を受ける
こうしたリスクは、航空会社や空港職員の判断に委ねられる部分が多く、どのような対応が取られるかはケースバイケースです。
この後も安全に旅を続けるための準備
- 全航空会社の手荷物規則を公式サイトで確認する
- バッテリー容量(Wh)が表示されている説明書を持参する
- 100Wh以上のバッテリーは事前申告し、160Whを超えるものは持ち込まない
- 「This is a 100Wh battery. It is safe for carry-on.」などの英文フレーズを用意する
国際線では「知らなかった」では済まされないため、事前の確認が最も重要です。
【注意】呼び出し・廃棄されるケース
多くの航空会社や空港では、X線検査でリチウムバッテリーが検出された場合、係員から呼び出されることがあります。その場で荷物を開けて、モバイルバッテリーを手荷物に移すよう求められることが一般的です。
場合によっては航空会社の判断でバッテリーを廃棄されることもあります。特に国や空港によっては、安全優先のために乗客に断りなく廃棄されるケースもあることを覚えておきましょう。
モバイルバッテリーを飛行機に預けてはいけない理由

飛行機に乗る際、モバイルバッテリーはスーツケースの預け荷物に入れてはいけません。国土交通省の「航空機への危険物の持込みについて」のページでも、航空法第86条が言及され、モバイルバッテリーが危険物の例として紹介されています。
参照:国土交通省
このパートでは、モバイルバッテリーが危険物とされる理由について詳しく解説します。
預け入れ禁止の理由
モバイルバッテリーの預け入れが禁止されている主な理由は3つあります。
- 火災・爆発のリスク:リチウムイオン電池は、強い衝撃や高温で異常を起こしやすく、最悪の場合発火します。貨物室で火が出た場合、機内で対処できず大事故の原因になります。
- 貨物室は異常に気づきにくい:機内なら客室乗務員がすぐに発見し対応できますが、貨物室ではチェックできません。発火しても消火が遅れるリスクがあります。
- 国際的な航空安全基準で禁止:国際航空運送協会(IATA)などの安全ガイドラインでは、「預け入れ禁止・機内持ち込み限定」が明確に定められています。
過去の事故件数
過去において実際に預け入れていたモバイルバッテリーが発火して、大惨事になったことがあります。例えば、FAA(連邦航空局)の「リチウムバッテリー航空機内事故のリスト(2023年12月まで)」の文書によると、このリストは2006年3月から2023年12月28日までの期間に400件以上の事故が記録されています。
参照:FAA(連邦航空局)
大事故につながる可能性があるので、一人一人が責任をもってモバイルバッテリーの管理を行いたいですね。
容量・個数制限の早見表
では、実際のところモバイルバッテリーはいくつ持ち込むことができるのでしょうか。
日本人がよく利用する主要航空会社をいくつか調べてみました。160Wh超のものは一律禁止、100~160Whのものは2個まで許可されるケースが多いようです。
一方で、100Whのものは、5個~制限なし、のように幅があります。国際線でいくつか乗り継ぐ場合は、一番厳しい個数制限の会社に合わせざるを得ません。
航空会社名 | 100Wh以下 | 100~160Wh | 160Wh超 | 備考 |
JAL(日本航空) | ○(制限なし) | ○(2個まで) | × | 短絡防止のため端子保護が必要 |
ANA(全日空) | ○(制限なし) | ○(2個まで) | × | 表示がないと持ち込み不可 |
DL(デルタ航空) | ○(最大20個) | ○(2個まで) | × | 公式サイトで事前確認が必要 |
KE(大韓航空) | ○(5個まで) | ○(2個まで) | × | 容量超過品は医療機器のみOK |
UA(ユナイテッド) | ○(制限なし) | ○(2個まで) | × | 搭乗前に持ち込み数を確認 |
※ルールは変更になる可能性があるため、航空会社の公式サイトでも最新情報を確認してください。
どんな点をチェックするべきか?
- 搭乗予定の航空会社で、100Wh以下のバッテリー持ち込みの可否
- 100Wh~160Whのバッテリーに関する申請の必要性
- 持ち込み個数の上限(通常は2~5個)
- 容量や仕様の表示がない製品への対応
- 最新の「禁止品」リストの確認
よくある「容量表示なし」バッテリーの計算式
モバイルバッテリーを飛行機に持ち込む際、「Wh(ワット時)」の表示がない製品に困った経験はありませんか?実は、それでも容量を簡単に計算する方法があります。
計算式は、Wh=mAh(ミリアンペアアワー)×V(ボルト)÷1,000 になります。例えば、容量が20,000mAhで電圧が5Vだと、20,000mAh×5V÷1,000=100Wh となり、この数値であれば、飛行機への持ち込みはまったく問題ありません。
容量が表示されていないモバイルバッテリーでも、「mAh(ミリアンペアアワー)」と「V(ボルト)」という数値さえ分かれば、飛行機への持ち込みが可能かどうかを自分で判断できます。
もし「mAh」も「V」も分からないとどうなる?
モバイルバッテリーに「mAh」や「V」の記述があれば、上記のように自分で計算しバッテリーの「Wh」を計算することができます。
しかし、製品によってはWhの記載がなく、代わりに「mAh」か「V」のどちらかだけしか書かれていないことがあります。
もしもそのようなバッテリーを持っていた場合、機内持ち込みできない可能性が高いです。そのような製品は避けたほうが安心でしょう。
耐火ポーチがあると便利

モバイルバッテリーを飛行機に持ち込むなら、耐火ポーチに入れて持ち込むのがおすすめです。耐火ポーチは、耐火性があるので、万が一バッテリーが発熱しても被害を最小限にとどめることができます。
また、空港での検査時にスムーズに中身を確認できるメリットもあります。バッテリーやケーブルをバラバラに持ち歩くと、忘れ物やショートの原因にもなるため、専用ポーチにまとめておくと便利です。
どんなタイプを選べばいい?
選び方のポイントは、以下の5つです。
- 耐火素材でできていること
火に強いガラス繊維素材や難燃布が使われているポーチは、安全性が高くおすすめです。 - サイズがちょうど良いこと
持ち歩くバッテリーの数に合った大きさを選びましょう。大きすぎるとバッグの中でかさばり、小さすぎるとパンパンになって取り出しにくくなります。 - 中が見える or 仕切りがあること
メッシュ素材や透明ポケットがあると中身を一目で確認でき、空港の保安検査でも手間取りません。仕切りがあるとコード類とバッテリーを分けて収納できて便利です。 - 絶縁テープやタグ付きが理想的
ポーチ自体にバッテリー用の絶縁テープがセットになっていたり、目立つタグがついていると、持ち込み時のトラブルも防げます。 - 軽くて丈夫な素材
旅行では荷物が多くなりがちなので、軽量で壊れにくい素材を選ぶと快適です。
このように、ポーチ1つで安全性も利便性も大きく変わります。ただバッテリーを持っていくだけではなく、「どう持つか」まで意識しておくことが、トラブル防止につながります。旅行や出張のたびに活用できるので、早めに一つ用意しておくのがおすすめです。
よくある質問(FAQ)
- モバイルバッテリーは機内で使える?
-
はい、使用可能ですが、離着陸時は制限されることがあります。スマートフォンの充電には問題ありませんが、異常な発熱や異臭があればすぐに客室乗務員へ報告しましょう。航空会社によっては充電中の収納方法に制限を設けている場合もあるため、事前確認がおすすめです。
- X線検査でモバイルバッテリーはバレる?
-
確実に見つかります。X線検査ではバッテリーの内部構造まで識別可能で、リチウムイオン電池は重点的にチェックされています。誤って預け荷物に入れると、呼び出しや廃棄処分になる可能性があるため、必ず手荷物として持ち込むのが安全です。
- 預け荷物に入れたバッテリーは廃棄される?
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場合によります。チェックイン後に気づいた場合は係員に相談すれば取り出せる可能性があります。既に荷物が搬送中だったり、搭乗後に発覚すると廃棄対象となることも。国際線では到着地での確認が必要になるケースもあるため注意が必要です。
- 航空会社ごとにルールは違う?
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基本ルールは共通ですが、詳細な条件が異なる場合があります。すべての航空会社が預け荷物へのモバイルバッテリー収納を禁止しており、100Wh以下は持ち込み可、100Wh~160Whは申請要、160Wh超は持ち込み不可が共通ルールです。一部のLCCでは公式サイトに明記されていないことがあり、事前の問い合わせが必要な場合もあります。
- ノートPC・カメラの内蔵バッテリーはどう扱う?
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リチウムイオン電池を含む電子機器も手荷物として持ち込むのが原則。預け荷物に入れてしまうと、検査で呼び出される可能性があり、最悪の場合、荷物全体が搭載されないことも。事前に「電池が入っている機器はすべて手荷物へ」を徹底するとトラブル防止につながります。
モバイルバッテリーを飛行機に預けてしまった時の対処方法まとめ
- モバイルバッテリーは飛行機の預け荷物に入れてはいけない
- 預けてしまった場合は気づいたタイミングで対応が変わる
- 荷物を預けた後でも申し出れば取り出せる可能性がある
- 搭乗後に気づいた場合は乗務員に報告し対応を仰ぐ
- バッテリー容量はWh表示で判断される
- 100~160Whは2個まで、事前申請が必要な場合も
- 160Whを超えるバッテリーは原則持ち込み不可
- 容量表示がないバッテリーは持ち込みを断られる可能性がある
- mAhとVの記載があればWhを計算して確認できる
- 航空会社によって個数制限が異なるため事前確認が必要
- ノートPCやカメラの内蔵電池も手荷物扱いにすべき
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