トルコ在住インフルエンサーが語る!野良動物たちとの共存の取り組み(インタビュー前編)

トルコ動物愛護(前編)

動物と人間とのかかわりは、時代と共に変わってきます。 例えば日本では、熊が人里に現れる頻度が増加していることが毎日のように報道されています。被害も増えていて、2023年度熊に襲われた人は219人で、そのうち6人が亡くなりました(※1)。

一方で、ペットの数は増加しています。一般社団法人ペットフード協会の調査によると、2023年時点で日本の犬猫の飼育頭数は約1,591万頭(犬:684万頭、猫:907万頭)と推計されています(※2)。日本の15歳未満の子供の数は1,435万人(2023年4月1日時点)(※3)ですので、ペットの数の方が多いことになります。

動物とのかかわり方の変化は日本だけではありません。ペット大国フランスでは、2024年からペットショップでの犬や猫の販売が禁止されました(※4)。またイルカショーが動物虐待に当たるとして、2026年から禁止される法律も可決されました(※5)。

    ※1 参照元:環境省 https://www.env.go.jp/nature/choju/effort/effort12/injury-qe.pdf

    ※2 参照元:一般社団法人ペットフード協会の調査 https://petfood.or.jp/data/chart2023/index.html

    ※3 参照元:総務省 https://www.stat.go.jp/data/jinsui/topics/topi1371.html

    ※4 参照元:フランスのペットショップに関する法律 https://www.legifrance.gouv.fr/codes/id/LEGISCTA000006152208

    ※5 参照元:フランスのイルカショーに関する法律 https://www.legifrance.gouv.fr/jorf/id/JORFTEXT000044346734

日本でも環境省による「人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクト」が立ち上がってしばらくたちますが、どの程度動物のことを気に掛けるべきか?は、人それぞれの考え方があり、議論が続く問題です。

世界各国も議論を重ねながら動物愛護に取り組んでいますが、この点でユニークな国があります。それはトルコです。トルコでは、なんと国の法律で野良犬や野良猫の権利が守られています。同じ国に住む仲間として認めて、優しくして共存していこうという雰囲気が国全体にあります。

この度ちょっとグローバル編集部は、この非常に興味深い国トルコに住むインフルエンサーAiraさんに取材をさせていただきました。前編・後編とインタビューをまとめていますので、動物との関わり方のヒントとしてぜひご覧ください。

インタビューに答えてくださったのは・・・

トルコ在住 Airaさん
トルコの地中海に面する街に住むインテリアアドバイザー 兼 インフルエンサー。 可愛い犬猫の動画を中心に、動物にやさしいトルコの様子をアップするTikTokはフォロワー6.5万人超、再生数400万超の動画も多数あり。ブログ、インスタ、Youtubeアカウントもあり、トルコ観光や移住に役立つ情報も発信している。好きなものは「4つ足の生き物」、座右の銘は「まぁいっか。」

目次

トルコ人にとっての野良動物たちとは?

トルコでは、動物愛護の形が違う?

――Airaさんはトルコに5年住んでおられるようですが、トルコでは日本と全く違う動物愛護の形があるそうですね。どのようなものでしょうか?

Airaさん:トルコでは、街にたくさんの野良犬や野良猫、鳩、陸亀、ハリネズミなどがいます。人々は野良動物たちを地域で面倒をみて、それぞれ名前も決めています。多くの人みんなが餌を持ち歩き、お腹が減っていそうな動物たちがいたら、餌をあげます。実際親は子供たちに餌をあげるように教えています。全体として弱い動物たちを大切にしたい、という雰囲気がありますね。

トルコの野良犬、野良猫の写真
※トルコでのびのび過ごす野良犬たち

――写真を見せていただきましたが、野良犬とは思えないほど毛並みが良いですし、楽しそうな雰囲気ですね。

トルコでは、野良犬・猫に自由に餌をあげてよい?

――日本に住む私たちからすると、野良動物に自由に餌をあげられるなんて想像がつかないですね。日本では、野良犬や野良猫に餌をやることは法律で禁じられてはいないものの、奨励されてはいませんし、状況によっては条例違反となることもあります。

    参照元:環境省「クマや猿など野生動物への餌付け防止について(強く推奨されているだけ)」

    https://www.env.go.jp/nature/choju/docs/docs3/index.html

Airaさん:日本人は野良動物が増えると糞が汚い、など過度に衛生面を気にするところがありますよね。トルコでは野良動物に餌をあげることは日常ですし、動物たちの糞は、掃除すればよい、という考え方です。

家でペットを飼っていない人たちもスーパーのペットフードを定期的に購入します。スーパーには旅行者用に野良犬野良ネコ用の1回分の餌が売られていますよ。奈良の鹿せんべいのように。

トルコで野良犬・猫のために売られている餌
※トルコの野良動物用ペットフード

政府も「飼い主のいない動物達のために一杯のご飯、一杯の水」という標語を至る所に設置し、政府自身がいろんなところに猫用の家を作ってあげたり、餌を配っていたりします。

トルコで野良犬・猫に関する標語
飼い主のいない動物達のために一杯のご飯、一杯の水という標語が入った容器

トルコでは、外だけでなくいたるところに動物たちがいます。スーパーの中、カフェの中などどこにでもいます。私がカフェで珈琲を飲んでいたら、テーブルの上に猫が上がってきて、こちらを向いてニャーと泣いてきます。思わず笑みがこぼれてしまいます。

店内で寝てるトルコの野良犬

――動物たちを大切にすることで、街の雰囲気も明るくなり、人の幸せにもつながっている気がしますね。

トルコは国レベルで動物愛護に力を入れている?

トルコ政府も野良犬と野良猫を支援している?

――こうやって野良動物を大事にしている様子は、日本では考えられない光景ですね。でも餌を自由にやると、無限に増えそうな気がするんですが、どうやって管理しているのでしょうか?そしてもし野良動物が人を噛んだりした時はどうするのでしょうか?

Airaさん:トルコには自治体ごとに動物保護局のような政府の機関があり、特に野良犬と野良猫の去勢を随時行っています。また1年に1度狂犬病の注射も行われています。それぞれの動物の耳にはタグがあり、そこにマイクロチップが埋め込まれていて、その犬や猫がこれまでどんな予防接種を受けてきたか、どんな治療歴があるか、どの地域に住んでいるかが分かるようになっています。

また、例えば車にひかれて怪我をしている動物を見つけたら、人々は野良動物専用の救急車を使って政府の施設や動物病院に連れていきます。また有料ではありますが、犬猫専用のタクシーもあります。

野良犬猫専用救急車
野良動物専用の救急車後部
※トルコの野良動物専用の救急車

このサービス、実は野良犬と野良猫のためのものなので、一般の人が家で飼っているペットが病気になったからといって利用できるわけではないんです。あくまで野良の動物を保護するための制度という位置づけです。

あと、野良の動物が人間に危害を加えるレベルで噛むことはあまりないです。少なくとも私は見たことがありません。ただ、もし実際に動物が人間を傷つけることが起きたなら、もちろんその動物は捕獲されて処分されると聞いたことがあります。トルコでは6大危険犬種というのが指定されていて、その犬種はくつわをしないといけないという法律もあります。

この場合は、当然人間の安全が優先されています。徳川綱吉公の「生類憐みの令」のような法律はありません。(笑)

野良犬・猫を過剰に保護しているわけではない?

――なるほど。動物が野放しにされているわけではなく、政府自らそうした制度を設けているのですね。では、トルコでは野良の動物を完璧に管理ができていると考えればいいでしょうか?

Airaさん:そういうわけでもありません。(笑)日本人はすぐに完璧に管理しないと失敗しているかのような意識がありますが、トルコではできることをコツコツ行なえればいいじゃない、という意識です。すべての犬猫が去勢されているわけではないので、随時子犬や子猫が生まれます。その場合、親子で保護され、子供たちが育ってから母親は去勢され、住んでいた地域に戻されます。

狂犬病の注射も1年に一度行なわれていますが、すべての犬に注射が実施されているわけではありません。漏れているワンコもいると思います。なので、私たちが野良犬と遊んだりなでたりするのも自己責任ということになります。

食事に関しても、すべての野良動物に十分行き渡っているわけではないです。また、すべての動物が人間になついているわけでもありません。あくまで自然に生きていている、共存しているという印象です。決して過剰に保護しているわけではないですね。

動物と人間の距離感が絶妙?

――動物たちとの距離感がとても興味深いです。ではトルコの人たちの動物への関わり方をまとめるとどんな感じでしょうか?

Airaさん:トルコでは法的にも動物は物ではなく、権利を持った生き物として扱われています。この地球に生を受けた仲間と見なしていますね。もちろん平和のうちに共存するためには何かしらのルールが必要ですが、トルコでは政府が主導しつつも、一般の人々も喜んで動物たちをサポートしています。

私が、家の近くに住んでいる野良犬●●ちゃんにエサをあげていると、近所のおばさんに「Airaちゃん、偉いね!ありがとう!天使だね!」と言われます。トルコは、人間と動物がお互いを支え合い、癒し合っている国です。ぜひ一度トルコに遊びに来てほしいですね。

あいらさんと野良犬
※近所の野良犬に餌をあげるAiraさん

トルコの動物愛護(前編)まとめ

――ここまでお話を聞いていて、トルコにおける日本人の発想にない野良動物との接し方、管理方法に驚きました。私たち日本人のほとんどは子供の時から、野良の動物に餌をやるべきではない、と言われて育ってきました。そしてそれにはそれなりの理由があったのでしょう。ただどちらかというと、「日常生活に厄介事が増えるのは煩わしい」という深層心理があるのかもしれません。

一方で、トルコでは野良の動物を世話するために税金が投入され、市民も自分で餌をやったり、動物を保護したりと生き物に積極的にかかわっています。動物とどのようにかかわるかに関する考え方が異なり、動物を大事にすることで人々の幸福感が増しているようにも見えます。

私たち日本人も今後野良動物・野生動物と距離を取るのか、あるいは近づくのか、議論が進んでいくことでしょう。いずれにしても私たち人間の側が、まず人と動物にとっての幸せとは何かを考え、立ち位置を決める必要があると感じました。

後半では、トルコの人たちがなぜ、このような動物愛護の形を採用するようになったのか、歴史的な背景についてお聞きする予定です。お楽しみに!

野良犬・猫も幸せに生きてほしい!トルコ人が野良動物を愛する理由とは?(後編)に続く

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