フィリピンの言語・公用語の割合。母国語は何語で話すのか一覧と分布図を作ってみた。

フィリピンは何語

フィリピンを訪れる際、あるいはフィリピンについて学ぶ上で、「フィリピンでは何語が話されるのか」を理解しておくのは重要です。なぜなら、フィリピンは世界においてまれな多言語国家だからです。

実際にフィリピンは多くの島々から成り立ち、その多様な地域ごとにさまざまな言語や方言が存在しています。

公用語としてのタガログ語(フィリピノ語)と英語が広く使われている一方で、地方によってはセブアノ語やイロカノ語など、特有の言葉や表現が生活の中で息づいています。

この記事では、フィリピンで使われる主要な言語とそれらがどのような地域で話されているのかを解説しています。独特なフィリピンの言語の世界が広がりますよ。

  • フィリピンが多言語国家である理由
  • タガログ語と英語がフィリピンの公用語であること
  • 地域によって異なる主要な言語や方言が存在すること
  • フィリピン人が英語を流暢に話せる背景
アットグローバル・フィリピン在住スタッフ

この記事の監修者
アットグローバル翻訳部門
 M. Shin

2010年~フィリピン在住。日本人を対象にフィリピン赴任者の生活サポート業務に従事。フィリピン移住希望者向けのblogサイト管理やアドバイザーとして活動しています。

目次

フィリピン人はどの言語を話すのか

フィリピン人言語

フィリピン人は何語をしゃべるの?

これだけ多くの島があるため、フィリピン国内では様々な言語が話されています。

主に、タガログ語(フィリピノ語)と英語が公用語として定められていますが、全体として170種類以上の言語が存在していると言われています。

実際には言葉が混ざっていたりするため、厳密に何か国語と断定するのが難しい状況です。一般的に、教育を受けたフィリピン人は英語とタガログ語を話すことができます。

ただし、地域によっては、ビサヤ語やイロカノ語など、その他の地方言語を母語として話す人も多くいます。

したがって、フィリピン人との会話では、相手の出身地に応じて異なる言語が使われる可能性があることを理解しておくと良いでしょう。

フィリピンの言語分布図

フィリピンの言語分布図を見ると、国内で話されている言語の多様性が一目でわかります。以下の言語分布図を参考にしてください。

フィリピン言語分布図
言語名(日本語)言語名(アルファベット表記)
アクラノン語Akeanon/Akianon
ビコール語Bikol
ビサヤ語Binisaya/Bisaya
ボホラノ語Boholano
カピゼノー語Capizeno
セブアノ語Cebuano
クユノン語Cuyunon
ハンビカノン語Hamtikanon
ヒリガイノン語Hiligaynon/Donggo
イフガオ語Ifugao
イロカノ語Ilocano
イヴァターヌン語Ivatan/Itbayat
カリンガ語Kalinga
カマヨ語Kamayo
カンカネイ語Kankaney
カパンパンガン語Kapampangan
マギンダナオ語Maguindanao
マラナオ語Maranao
マスバテニョ語Masbateno
パンガシナン語Pangasinan
ロンボアノン語Rombloanon
スリガオノン語Surigaonon
タガログ語Tagalog
タウスグ語Tausug
ワライ語Waray
ヤカン語Yakan
チャバカノ語Chavacano
フィリピン言語一覧

この図を見ていくと、例えば、ルソン島ではタガログ語が、ビサヤ地方ではセブアノ語が広く話されています。また、ミンダナオ島ではイロカノ語やビコール語などが話されることがあります。

これらの言語は、それぞれの地域の文化や歴史に深く根ざしており、フィリピンの多様性を物語っています。地域によっては、小さな島々で独自の言語が話されている場合もあり、この国の言語の豊かさを示しています。

フィリピン 言語 割合

フィリピンでは、タガログ語(フィリピノ語)と英語が公用語として広く使われており、国民の大半がこれらの言語を理解しています。

タガログ語を話す人の割合は、全人口の約28%程度とされていますが、実際には公用語としての普及により、多くの人が基本的な会話能力を持っています。

英語の話者も非常に多く、国民の約52%が一定レベル以上の英語を話すことができます。

一方で、セブアノ語やイロカノ語などの地方言語を母語とする人々も大勢おり、それぞれの言語を話す割合は、地域によって大きく異なります。

順位言語名世帯数割合(%)
合計26,388,654100.0
1タガログ(Tagalog)10,522,50739.9
2ビサヤ(Bisaya)4,214,12216.0
3ヒリガイノン(Hiligaynon)1,933,5127.3
4イロカノ(llocano)1,863,4097.1
5セブアノ(Cebuano)1,716,0806.5
6ビコール(Bikol)1,033,4573.9
7ワライ(Waray)698,7452.6
8カパンパンガン(Kapampangan)639,6872.4
9マギンダナオ(Maguindanao)365,0321.4
10パンガシナン(Pangasinan)334,7591.3
その他2,950,00911.2
レポートなし117,3350.4
フィリピン統計局参照 【2020年最新版】

主言語・公用語は何?

フィリピン主言語

上の表からも分かるように、フィリピンの主言語は、タガログ語(公式にはフィリピノ語と称されます)、そして人口の約半分が話せるという英語の2つです。

フィリピノ語は、フィリピンの国民が共有する言語として、様々な民族や文化が混ざり合うこの国で重要な役割を果たしています。

英語は、教育、政府、ビジネスの分野で広く使われており、フィリピン人の多くが流暢に話すことができます。

これらの言語は、国民にとってのコミュニケーションの橋渡し役として、また国際的な場でフィリピンを代表する言語として機能しています。

したがって、フィリピンを訪れる旅行者やビジネスマンは、英語を使ってほとんどの場所でコミュニケーションを取ることができるでしょう。

母国語は何語?

フィリピン人の母国語は何?という質問をしたとき、それはそれぞれのフィリピーノが育った環境により異なります。その地域で主流の言葉になることが多いとはいえ、親が異なる言語を話す場合、その子供たちは親の話す言語が母国語になります。

公式には、フィリピノ語が国の母国語とされていますが、実際にはさまざまな言語が各地域、各家庭で話されています。そのため、ある人にとっての母国語が、別の人にとっては第二言語となることも珍しくありません。

もちろん島が多いので、島の中ではある程度統一された言語が母国語になり得ます。例えば、セブ島ではセブアノ語が、ルソン島の一部ではイロカノ語が母国語とされる場合があります。

フィリピンの言語の特殊性

第二言語は何?

フィリピンにおける「第二言語」は、地域や個人によって異なりますが、一般的に英語がこの役割を担っていると言えます。

フィリピンでは、フィリピノ語(タガログ語)と英語が公用語として定められており、多くのフィリピン人が英語を第二言語として学びます。

教育制度においても、英語は基礎教育から重要な科目として扱われ、フィリピン人は幼い頃から英語に触れる機会が多くあります。

しかし地域によってはセブアノ語やイロカノ語など、他の地方言が母語または第二言語として使われることもあります。

フィリピン在住スタッフ
最近ではタグリッシュを使う人が増えており、チャットや電子メールなどでは便利なため、良く使用されています。

タグリッシュ (英語: Taglish) とは、フィリピンで使用されている言語の一つである、タガログ語 (Tagalog) と英語 (English) が混ざった混成語で、庶民や芸能人、学生などで幅広く使われています。(理由:タガログ語で話すと文章が長くなるため)

フィリピンでは、英語も公用語として位置づけられているため、初等教育から英語教育が行われタガログ語が使われる事が少なくなり、タガログ語に英語を混ぜる事が多くなったようです。

フィリピンの方と距離を縮めたいのであれば習得されると良いですね!

フィリピン人が英語を話せる理由とそのレベルは?

フィリピン英語教育

フィリピン人の英語レベルは高いと言われています。これは、フィリピンの教育制度で英語が基本的な教育科目として取り入れられているためです。

小学校から高校、そして大学に至るまで、多くの授業が英語で行われます。また、ビジネスや政府の公用文書も英語で書かれることが多く、日常生活の中でも英語が広く使われています。

フィリピンでは、英語を母国語とする国ほどではないまでも、非常に流暢に話す人が多いのが特徴です。特に、都市部では英語の使用が非常に一般的で、教育を受けた人々の間では高いコミュニケーション能力を持つ人が多いです。

特にセブ島は英語を話すレベルが高いとされていて、世界中から留学生が訪れています。

フィリピンに言語がたくさんある理由

フィリピン言語がたくさん

フィリピンに言語がたくさんある理由は、国の地理的な特徴と多様な民族が存在する歴史にあります。フィリピンは7,000以上の島からなるアーキペラゴ(群島)で、異なる島々には独自の文化や言語が発展してきました。

これに加えて、各地には多様な民族が居住しており、それぞれが独自の言語を持ち続けています。その結果、現在では約170もの言語がフィリピン国内で話されていると言われています。

さらに、フィリピンの歴史を通じてさまざまな外国の影響を受けたことも、言語の多様性を生み出しています。たとえば、スペイン統治時代の影響でスペイン語由来の単語が多くのフィリピンの言語に取り入れられたり、商業や教育で英語が使われるようになったりしています。

またその後、1898年の米西戦争の後、アメリカ領となります。日本軍の侵攻と支配から独立する1946年まではアメリカの支配下にあったため、英語を話す文化が根付きました。

フィリピン語の基本的な挨拶と日常会話

ありがとうの言い方

「ありがとう」にあたるフィリピン語(タガログ語)の基本的なフレーズは、Salamat(サラマット) です。
もう少し丁寧に「本当にありがとうございます」「とても感謝しています」と言いたい場合は、Maraming salamat(マラミン サラマット) と言います。

  • Salamat
    ありがとう。
  • Maraming salamat
    本当に(たくさん)ありがとう。

さらに丁寧さを強調したい場合は、Maraming salamat po(マラミン サラマット ポ) のように、最後に「po」をつけることで敬意を示す表現になります。

こんにちはの言い方

フィリピン語(タガログ語)で「こんにちは」を表すフレーズは、時間帯によって異なります。

  • 午前中であれば「Magandang umaga(マガンダン ウマガ)」
  • お昼前後には「Magandang tanghali(マガンダン タンハリ)」
  • 午後に使うなら「Magandang hapon(マガンダン ハポン)」

が適切です。夕方から夜にかけては「Magandang gabi(マガンダン ガビ)」という挨拶になります。

また、時間帯に関係なく使いやすい言葉として「Kumusta?(クムスタ)」もよく用いられます。これは英語の「How are you?(元気ですか?)」に近い意味で、相手の様子を気遣うニュアンスを含むため、カジュアルかつ幅広い場面で使いやすいのが特徴です。旅行先やフィリピンの方との日常的なコミュニケーションでも、これらの挨拶を覚えておくと便利でしょう。

日常会話で使うフレーズ集

フィリピン語(タガログ語)でよく使われる日常フレーズには、相手の様子を尋ねる言葉や、買い物や食事の場面で役立つ言い回しなどが含まれます。覚えておくと、旅行先やフィリピンの方々とのコミュニケーションで大いに役立つでしょう。以下では、シーン別にいくつかの便利なフレーズを紹介します。

基本的なやりとり

  • Kumusta ka?(クムスタ カ?)
    元気ですか?
  • Ayos lang.(アヨス ラン)
    大丈夫です/問題ありません。
  • Salamat.(サラマット)
    ありがとう。
  • Walang anuman.(ワラン アヌマン)
    どういたしまして。
  • Pasensya na.(パセンシャ ナ)
    ごめんなさい/申し訳ありません。

買い物や食事の場面で

  • Magkano po ito?(マグカノ ポ イト?)
    これはいくらですか?
  • Gusto ko ito.(グスト コ イト)
    これが欲しいです。
  • Masarap!(マサラップ!)
    おいしい!
  • Pwedeng tingnan?(プエデン ティンナン?)
    見てもいいですか?
  • Pwede bang tumawad?(プエデ バン トゥマワド?)
    値下げしてもらえますか?

道案内や移動の場面で

  • Saan po ang CR?(サアン ポ アン シーアール?)
    トイレはどこですか?
  • Paano pumunta sa ~?(パアノ プムンタ サ ~?)
    ~へはどうやって行きますか?
  • Sandali lang.(サンダリ ラン)
    ちょっと待ってください。
  • Sige.(シゲ)
    いいよ/わかりました。
  • Teka lang.(テカ ラン)
    少し待って/ちょっと待って。

これらのフレーズは状況に合わせて自由に組み合わせることで、さまざまな場面で活用できます。初めて訪れる場所でも、こうした日常表現を使いこなすことでコミュニケーションの幅がぐっと広がるはずです。ぜひ使ってみてください。

フィリピン語翻訳の便利なツール

無料翻訳アプリの紹介

フィリピン語(タガログ語)の翻訳が必要な場面では、無料で使えるスマートフォン向けの翻訳アプリが非常に便利です。特に代表的なのが「Google翻訳」や「Microsoft Translator」です。

また最近では、「グーグルレンズ」が使いやすいと評判です。「グーグルレンズ 翻訳」記事を参照ください。

これらのアプリは、リアルタイムでフィリピン語から日本語、日本語からフィリピン語への翻訳を提供してくれます。さらに、音声入力やカメラ入力にも対応しており、看板やメニューを撮影するだけで翻訳結果を表示できる点が大きなメリットです。

フィリピンの言語事情と今後の展望

フィリピン 言語政策

言語政策と教育

フィリピンでは、フィリピン語(タガログ語を基盤とするフィリピノ)と英語を公用語と位置づける二言語政策が採用されています。

政府や行政機関の公式文書、教育機関での教授言語などでは英語が広く使われる一方、国民のアイデンティティを象徴する言語としてフィリピン語の普及や振興も積極的に進められています。

さらに、セブアノやイロカノなど地域ごとに話者数が多い言語も数多く存在し、国内では多言語社会特有の複雑さを抱えながら、多様な文化と言語の共存を模索しているのが現状です。

教育現場では、近年導入されたK-12教育制度において、初等教育の段階で地域の母語を活用した指導が推奨されるなど、母語を軸とした多言語教育の重要性が認識されています。

小学校の低学年までは、子どもたちが最も親しみのある言語で基礎的な学習を行い、その後、英語やフィリピン語を本格的に習得していくという方法です。

こうした政策は、学習効果を高めると同時に各地域の文化や言語を保護する狙いがあり、今後もフィリピンの言語事情に大きな影響を与えていくと考えられます。

大学での言語学習の重要性

フィリピンでは、多様な文化背景と複数の言語が共存しているため、大学教育における言語学習の重要性はますます高まっています。

英語やフィリピン語(タガログ語)を習得することは、国際的なコミュニケーション力の強化や国内の共通言語としての理解を深めるうえで必要不可欠です。

一方で、セブアノやイロカノなど、各地域で話される言語に触れる機会を大学レベルでも提供することで、多言語社会の特性を学問的に理解し、地域の文化や伝統へのリスペクトを育むことができます。

さらに、グローバル化が進む中で、外国語教育にも力を入れる大学が増えています。アジアや欧米の主要言語を学ぶことで、留学や国際交流プログラムの参加がしやすくなり、卒業後の就職市場でも有利に働くことが期待されます。

こうした多言語環境での教育は、学生が多角的な視点を身につけ、国際社会で柔軟に対応できる人材へと成長するための大きな鍵となるでしょう。

今後も大学レベルでの言語教育の充実が図られることで、フィリピンの言語事情がさらに発展し、多文化共生を推進する原動力となることが期待されています。

多言語国家としてのフィリピンの強み

フィリピンは、フィリピン語(タガログ語)や英語をはじめ、セブアノやイロカノなどさまざまな地域言語が共存する多言語国家です。これは、国内外でのコミュニケーション力や対応力を育むうえで大きな強みといえます。

幼い頃から複数の言語に触れる環境で育つことにより、国民は自然と言語感覚を身につけ、英語をはじめとする国際言語での表現力も鍛えられます。

また、多様な文化的背景を持つ人々が共存しているため、他民族とのコミュニケーションスキルが高まり、異文化理解を促進しやすい環境が整っています。

グローバル化が進む現代では、このような多言語・多文化社会に適応できる人材が求められており、フィリピンの若者たちが就職や国際ビジネスの場で活躍できる大きな要因にもなっています。

多様な言語を活かしながら、新しい価値観を取り入れやすいフィリピンの柔軟性は、今後も国内外で注目され続けるでしょう。

フィリピン語 翻訳を頼みたいなら

フィリピン語翻訳を頼む際には、フィリピンで話されている主要な言語の特性を理解することが重要です。

フィリピンでは、タガログ語(フィリピノ語)と英語が公用語として広く使われていますが、地域によってはセブアノ語やイロカノ語など、さまざまな言語や方言が存在します。

翻訳を依頼する前に、対象となる言語や方言を明確にすることが大切です。また、翻訳の目的や文脈に応じて、専門性を持った翻訳者を選ぶこともポイントです。

例えば、法律文書や医療関連の翻訳では、その分野に精通した翻訳者が必要になります。

この点において、アットグローバルでは、タガログ語の翻訳をはじめとする各種言語の熟練翻訳者を多数保有しておりますので、安心してご依頼いただけます。ぜひ一度、ご相談ください。

フィリピンの言語と公用語は何語かまとめ

  • フィリピンは7107もの島々から成る国
  • 主な公用語はタガログ語(フィリピノ語)と英語
  • 80種類以上の言語が存在する
  • 教育を受けたフィリピン人は英語とタガログ語を話せる
  • 地域によりビサヤ語やイロカノ語など地方言語を母語とする人も多い
  • タガログ語と英語が最も広く使われる
  • セブアノ語(ビサヤ語)、イロカノ語、ヒリガイノン語、ビコール語、ワライ語が主な言語
  • 同じ国内でもコミュニケーションが取りにくい場面がある
  • 言語の多様性はフィリピンの大きな特徴
  • タガログ語話者の割合は全人口の約28%
  • 英語話者は約52%
  • 地域によって主要な言語の割合が大きく異なる
  • フィリピン人は幼い頃から英語に触れる機会が多い
  • 教育、政府、ビジネス分野で英語が広く使われる
  • フィリピンは親日国と見なされることが多い
  • かつてアメリカの統治下にあった歴史が英語普及に一役買っている
  • 英語レベルは高く、多くのフィリピン人が流暢に話す
  • 翻訳を頼む際は、対象言語の明確化と専門性を持った翻訳者の選定が重要
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