ムスリムの食事ハラルフードとは?1,148億円規模のハラル市場を解説

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東南アジアや他のイスラム圏からの訪日旅行者が増加しています。ムスリムの人々は飲食の面で厳格な規定があります。飲食店では、どのような対策が必要でしょうか?ここではムスリム向け対策について解説します。

ムスリムとは?

ムスリムとは、イスラム教の信奉者のことです。イスラム教の唯一無二の神アラーと、最も偉大な預言者とされているムハンマド(マホメット)に信仰を持っています。聖典であるコーラン(クルアーン)の定める教義に従っています。イスラム教徒は、毎日5回メッカのある方角を向きサラート(礼拝)を行います。安息日と呼ばれる特別な日には、礼拝を行うためにモスク(崇拝の場所)に向かいます。断食の習慣もあり、ラマダンという1ヶ月に及ぶ断食もあります。ムハンマドの死後、後継者争いが起きて2つのグループ、シーア派とスンニ派に分裂しました。現在の大多数のムスリムはスンニ派です。ムスリムは食事に関しても様々な規定があり、食べて良い食品(ハラルフード)と禁止されている食品(ハラムフード)があります。

ムスリムの人口

ムスリムの人口は現在18億人と言われています。今後も増加し、イスラム教徒が世界最多になるだろうとも推測されています。ムスリムはほぼ世界中にいますが、特に中東、西アジア、南アジア、中央アジア、東南アジア、西アフリカに多く、欧米にも広がりを見せています。現在一番多い国は、インドネシアです。

「なぜムスリムに注目するの?」と思われるかもしれませんが、ムスリムは近いうちに20億人(世界の4人に1人)になるかもしれない、可能性を秘めた巨大マーケットなのです。ムスリムの訪日旅行者の受け入れは、大きな経済効果を期待できるでしょう。ムスリムの人々は飲食において規定がありますので、レストランやスーパーなどでの対策を始める必要があります。

ムスリムの食事ハラルフードとは?

イスラム教徒が食べることを許されている食品を「ハラルフード」と言います。逆に禁じられているものを「ハラムフード」と言います。

「ハラル」「ハラム」の言葉の意味

「ハラル」(ハラール、HALAL)という言葉は、元々はイスラーム法において「合法・許されたもの」という意味があります。逆に「ハラム」は「非合法・行ってはいけないもの」という意味があり、飲酒や盗みなども「ハラム」にあたります。

つまり「ハラルフード」は「食べてもよいもの」、「ハラムフード」は「食べてはいけないもの」という意味があります。

ハラルフード(飲食可能な食品)

*野菜
*果物
*乳製品
*卵
*穀物
*魚介類
*ハラルミート(イスラム教の規定に沿って屠殺、処理された精肉)

野菜・果物・穀物・乳製品・魚介類は問題ありません。肉はハラルミートであれば、牛肉・鶏肉・マトンどれも可能です。ご飯やパン、ケーキは問題ありません。魚、貝、エビも基本的にOKです。バター、ヨーグルトなどの乳製品も問題ありません。(ショートニングは不可)

ハラムフード(禁止されている食品)

*豚肉と豚肉に由来する食品
*犬肉
*アルコールとアルコールを含む食品
*血液
*遺伝子組み換え食品

豚肉と豚に由来するラード、ハム、ベーコン、ブイヨン、ゼラチンは不可。日本酒、ワイン、ウイスキーなどの酒類、ラム酒を使ったお菓子、アルコールが含まれている調味料(醤油、みりんなど)、遺伝子組み換え食品も不可です。

加えて牛肉や鶏肉でも、イスラム教の規定にそった場所の食肉処理・輸送方法でない場合はハラムフードとみなされ食べることが出来ません

ハラール認証とは?

ハラールの認証機関が認定する、ハラール食品のマークです。

このマークがついているお店(食品)であれば、ムスリムの方も安心してレストランで食事が出来ますし、スーパーで買い物が出来ます。ハラール認証の取得をお考えでしたら、ハラール認証機関に相談することをお勧めします。団体はたくさんあり、必要な手続き・費用などは団体によって異なりますので、前もってご確認ください。ハラール認定マークの取得は必須ではありませんが、このマークが付いていることでムスリムのお客様が安心して飲食店やスーパーマーケットを利用することができますので、集客アップが見込めます。

ムスリム向け食品ハラルは2020年に1,148億円規模の市場にまで成長する見込み

日本のハラール食品市場規模は、2012年には479億円、2016年には806億円となり、2020年には1,148億円に到達すると見込まれています。 

https://www.halalmedia.jp/wp-content/uploads/2017/11/JMTI-2017_JP-1.pdf

ビザの緩和やLCCの増加などの要因もあり、ムスリムの訪日客は年々増加しています。それに伴い、ハラール食品市場の需要が拡大しています。海外のハラール認定機関(サウジアラビアやマレーシアなど)も日本への進出を始めており、日本でのムスリム対策に大いに関心を向けています。特に飲食店での対策が必要とされています。

すでに都市部ではハラル対策が進みつつありますが、地方ではハラル認証された飲食店の数が少ないのが現状です。現在、訪日外国人はリピーターも多く、地方への訪問を望んでいます。地方の飲食店でのムスリム向け対策が急がれています。

ハラル対策で成功しているお店

1.ムスリムでも日本食が楽しめる日本食レストランMINATO(みなと)

大阪の「日本食レストラン祭」の2号店が、横浜にオープンした「日本食レストランMINATO」です。全メニューがハラール対応しています。豚肉やそれに由来するもの、アルコールの含まれている醤油やみりんなどを一切使用せずに、豊富な日本食メニューを提供しています。「ビーガンたこ焼き」が人気が高いのですが、普通のソースはハラル対応ではありませんので、お店が独自に開発したソースを使用しています。「お好み焼き」もベジミートを使ったり、米粉を使ってもっちり感を出すなどの工夫をしています。お店の努力と工夫が実を結んでいます。
https://vegewel.com/ja/style/minato

2.ハラルラーメンのお店「成田屋」
https://www.fellowscompany.jp/naritaya

ほとんどのラーメンは豚肉を使用していますので、ムスリムは食べる事ができません。東京浅草にあるハラルラーメン「成田屋」は、ムスリムのお客さんでも安心して食べることのできるラーメンを提供しています。鶏をベースにした特製のスープや、もちもち食感の麺を使用したラーメンがムスリムの人々に大人気です。こちらのお店は、たくさんのメディアでも取り上げられています。

ハラル市場は伸びしろアリ!ハラルフードやムスリムの食事を理解して、インバウンド需要を取り込もう

多くのムスリムの旅行者が来日し「日本食を食べてみたい」と思っても、ハラル対応レストラン(ハラル認証店)が少ないために断念しなければならないのであれば、とても残念ですよね。日本食も調理法や食材を変えるなどの工夫をすることで、ハラル対応は可能です。実際、ハラル対応のために工夫と努力をしてムスリム集客に成功している店舗も増えています。

ハラル市場は今後の伸びしろが大きい、高い経済効果が期待されている分野です。現在訪日外国人は多様化しています。よりグローバル化すると思われる日本のインバウンド。ムスリムの人々を受け入れるための対策を行ってゆきましょう。

訪日外国人旅行客のための「多言語対応」も必須です。正確で安心してもらえる翻訳のために、専門の翻訳会社を利用しましょう。株式会社アットグローバルは、翻訳サービスはもちろんのこと、インバウンド対策をお考えの皆様のお手伝いをいたします。ぜひご利用下さい。

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