日本人から見ると気がつかない?訪日外国人が不便に感じること

グルメ、風景、買い物、交流など、旅の楽しみ方や目的は人それぞれですが、訪日外国人が不便だと感じることにはある程度の傾向が見られるようです。中には「トラブルこそ旅の醍醐味」と感じる猛者もいるでしょうが、大抵の旅行者は安全・快適な旅を望むことでしょう。それでは、訪日外国人は日本旅行でどんな不便を感じているのでしょうか。

カギはコミュニケーションと多言語化

国土交通省観光庁の調査によると、訪日外国人が不便に感じていることとして、以下のような点があげられています。

施設等のスタッフとのコミュニケーションがとれない         32.9%
多言語表示の少なさ・分かりにくさ(観光案内板・地図等)  23.6%

出典:国土交通省観光庁 2017年「訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関するアンケート」結果

以前から指摘されていた「無料公衆無線LAN環境」は改善が見られました(2014年の調査では46.6%)。さらには、「困ったことはなかった」が30.1%となっています。日本の受け入れ態勢も整ってきたことが伺えますが、それでも7割程度の人々がなんらかの不便を感じていたことになります。

この表からも分かるように、「施設スタッフとのコミュニケーションがとれない」「多言語表記の少なさ・分かりにくさ」が上位にあがっています。では、これらの点について、訪日外国人は特にいつ・どこで不便と感じたのでしょうか。こちらも国土交通省観光庁の調査によると、

施設スタッフとのコミュニケーションで特に困った場所(複数回答)出典:国土交通省観光庁 2017年「訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関するアンケート」結果

多言語表示で特に困った場所(複数回答)出典:国土交通省観光庁 2017年「訪日外国人旅行者の国内における受入環境整備に関するアンケート」結果

この調査結果からも分かりますが、訪日外国人は「飲食・小売店」でコミュニケーションに不便さを感じることが多いようです。実際どういった点が問題となっているのでしょうか? 例えば、

「メニューが外国語表記されていないから分からない」
「どういう料理なのか意味が分からない」
「(食券購入など)独特のシステムの説明が分からない」
「商品の説明が分からない」

上記はほんの一部にしか過ぎませんが、訪日外国人は飲食店や商店でこのように感じているようです。英語(を含め他の外国語)で満足のゆくコミュニケーションをとることは難しくても、訪日外国人が分かりやすい多言語表記された「(写真付き)メニュー」「商品の説明」「案内板」などを充実させてゆけば、随分とスムーズに旅行を楽しんでいただけるのではないでしょうか。飲食店のインバウンド対策については、こちらの記事もご覧ください。

しかし、特別なリクエストや支払いなど、実際にコミュニケーションを取らなければならない場面も出てきます。それは分かるけれど、外国人スタッフを雇うゆとりもない、そんな場合はどうしたらよいでしょうか。東京都の取り組みをご紹介します。

東京都産業労働局による取り組み

東京都産業労働局によると「飲食店向け多言語コールセンター」が平成30年4月1日から発足しました。今のところサービスの対象は東京都内の飲食店、対応言語は英語・中国語・韓国語ということですが、どのようなサービスなのでしょうか。

電話通訳サービス
 飲食店の従業員が、外国人旅行者との接客時において外国語による意思疎通が困難な場合に、コールセンターのオペレーターが通訳を行う。
翻訳サービス
 施設内の表示や料理の概要・食べ方、外国人旅行者からのemailでの問合せ等に関する翻訳を行う。
・対象:東京都内の飲食店
・対応言語:英語・中国語・韓国語
・開始日:平成30年4月1日(日)から
・対応時間:24時間
・料金:無料(ただし、各施設とコールセンター間の通話料金は飲食店の負担)

東京都産業労働局「飲食店向け多言語コールセンター」
http://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.jp/tourism/kakusyu/callcenter/eat/

インバウンド対策を考える飲食店にはなんとも心強いサービスです。
利用者を募集中とのことです(2018年10月現在)。

まとめ

訪日外国人の多くは、日本でのグルメ体験を楽しみにやってきますが、にぎわっているレストランや食堂、居酒屋を見ても外国語のメニューがなく、注文や支払いの方法が分からなかったために、泣く泣くあきらめた旅行者もいたかもしれません。そんな旅の悲劇?を繰り返さないために、飲食店のインバウンド対策が必要です。外国語メニューのない飲食店の皆様、ご検討されてみてはいかがでしょうか。

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