日本語の条件表現をマスターしよう⑦ まとめ

4つの条件表現のまとめ

シリーズの最後に、今までの情報をまとめてみましょう。

ならたら
品詞接続助詞接続助詞助動詞動詞の活用形
動詞への接続先終止形仮定形厳密には不可
慣用的に可
動詞自体の変化
条件の分類◎恒常条件
○確定条件
○仮定条件
◎仮定条件
○恒常条件
○確定条件
○仮定条件○仮定条件
○確定条件
現実/非現実現実のみ現実/非現実現実のみ現実/非現実
焦点前件前件後件後件
前件に対する後件の時間
後件のモダリティ不可前件が動作なら不可
前件が状態なら可
必須
レジスター高~中中~低
前件の丁寧語不可不可

まとめて見てみると、4つの表現にはそれぞれ特徴がありニュアンスや使用場面が異なることが改めて分かります。

実はもう一つある条件表現

さて、ここまで長らく4つの表現を考えてきたのですが、実際の翻訳で一番多く使われる条件表現は「場合」です。「場合」は、特に強調されるニュアンスがないため汎用性が高く、漢字の表現のため文章にメリハリが出るといった長所があります。

あるプロの翻訳家は「肌感覚では、『場合』が8割、残り2割は恒常条件なら『と』、仮定条件なら『ば』を使っている。大事なのは同じ文章で表現を統一すること。」と語っています。

日本語表現は変化する

表現の使い分けには地域差も関係しています。一般的に関東圏の人はそれぞれの表現を使い分けており、関西圏の人はあまり使い分けずに「たら」を多用する傾向があるようです。こうした例から、日本語には厳密に正しい絶対的な表現があるわけではなく、時代や地域、習慣などで変化していくことが分かります。「なら」の回でも取り上げましたが、「動詞+なら」は文法的には間違っていても慣用的には使われているというケースもあります。つまり、皆が使っていれば自然に感じ、使わなければ不自然に感じてしまうのです。

日本語話者は普段からこうした表現を無意識に使い分けているわけですが、プロの翻訳家は自分の訳す文章にどの表現を使うべきか意識しなければなりません。だからこそ、今回のようにそれぞれの表現を徹底的に掘り下げて調べることが必要になってくるのです。特にビジネス翻訳などの、小さなミスが大きな誤解を生みかねない案件では、一番良い表現をチョイスできるプロの翻訳家に任せるのが確実ですね。

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