日本と世界のタクシー事情【料金編】
日本のタクシー料金
2017年1月30日、東京都心部(23区と武蔵野市、三鷹市)のタクシー初乗り運賃が従来の2キロ730円から約1キロ410円に引き下げられました。なんとタクシーの値下げは戦後初めてのことだそうです。これにより短い距離でも利用しやすくなり、いわゆる「ちょい乗り」需要に応える形となりました。都心での短距離移動手段として日本人・外国人共におおむね好意的に受け止められているようです。
とにかく「高い」と言われ続けてきたタクシー料金ですが、そもそも世界と比較するとどうなのか、世界中の都市や国々の生活情報を記録する世界最大のデータベースである「Numbeo」を使って調べてみました。
世界のタクシー料金
http://www.numbeo.com/
各国のタクシー料金をランキング形式で比較できるようになっています。
「Prices by Country of Taxi Start(タクシー初乗り料金)」で表示してみます。
分かりやすくするために「通貨単位」を「日本円」に変更しています。
日本は11位、初乗り料金は600円となっています。全国の初乗り料金の平均としてはおおむね現状を反映しているようです。上位の国は北欧、西欧が大半を占めていました。国全体の平均値ですし、細かな数値の正確性には疑問が残りますが、ほぼ予想通りの結果となりました。
ちなみに、日本への旅行者が多い国(米中韓)のタクシー料金を見てみると、アメリカは25位、中国は55位、韓国は35位となっていました。各国のタクシー事情をもうすこし掘り下げてみます。
アメリカ
例えばニューヨークの「イエローキャブ」の場合、初乗り(1/5マイル=約320m)は2.5ドル(282円)で、その後は1/5マイルごとに50セント(56円)が加算されていきます。さらに州税やチップなどが加算されます。
料金は日本に比べて安いものの、法外な運賃やチップを請求される場合もあるようで、旅行者にとって重要な「安全」、「安心」には疑問が残ります。
在ニューヨーク日本国総領事館によるタクシー利用に関する注意喚起
https://www.ny.us.emb-japan.go.jp/jp/ParkAve299/Vol.28.html
中国
都市ごとに価格に開きがありますが、上海では初乗り(3km)14元(227円)で、以降1kmごとに2.4元(39円)加算となっています。チップは不要です。
上海などの大都市ではぼったくりはだいぶ減った印象ですが、撲滅までには至っていないようです。しかも地方に行けばいくほど管理は甘く、メーターを倒さない、乗車拒否、ぼったくりも日常的に見られますので、旅行者は特に注意が必要です。
在上海日本国総領事館によるタクシー利用に関する注意喚起
https://www.shanghai.cn.emb-japan.go.jp/life/new161209.html
韓国
ソウルの初乗り(2km)は、一般タクシーで3000ウォン(300円)、以降142mごとに100ウォン(10円)が加算されていきます。チップは基本的に不要です。
残念ながら正規タクシーに酷似した違法タクシーや、正規の車両を使用しているものの運転手が偽物であることがあるようで、旅行者にとって「安心」、「安全」の交通手段とまでは言えないのが現状です。
外務省海外安全ホームページ コールバン・違法タクシーによるトラブル
https://www.anzen.mofa.go.jp/info/pcsafetymeasure_003.html
日本と比べてみると料金面では気軽に利用できるものの、当たり外れがあり、安全・安心には至っていないようです。
おまけ
日本各地の空港で、中国式白タクが横行していることがニュースなどで報じられました。中国大陸では個人による有償輸送が合法化されているうえに、旅行客にとっては母国語でしかも格安な交通手段ということで、非常に利用しやすく感じるようです。その利用方法を調べてみました。
中国人の間で広く普及している「美団(共同購入型クーポンサイト)」アプリを開くと、「包車遊(チャーター旅行)」のページがあり、その中に空港から市内への送迎サービスが多数掲載されています。
「東京成田空港―東京都内/富士山/箱根など送迎片道チャーター、五つ星中国語対応運転手サービス」と記載されている
成田空港から都内までは、11月時点で599元(約10000円)、羽田空港から都内までは375元(約6000円)となっています。さらには、車両の種類も選べて5人乗り(乗客4人)~10人乗り(乗客9人)まで選択可能です。
正規のタクシーであれば、成田―都内間(約20,000円)、羽田―都内間(約7,000円)です。使い慣れたアプリから事前予約が可能なうえに、支払いもオンラインででき、かつ低価格であれば、事の良し悪しは別として、利用者が多いのもうなずけます。利用者のレビューも好意的なものが多いようです。予約と支払いはこのアプリ上で行えますので、空港では現金の受け渡しもなく、友人なのか違法業者なのか見分けはつきません。
こうした状況の中で、ソフトバンクと中国配車アプリ最大手の「滴滴出行」が合弁会社を立ち上げて、タクシー配車プラットフォームのトライアルを開始すると発表しました。中国人が慣れ親しんだプラットフォームを日本でも提供することにより、中国人旅行者によるタクシー利用の拡大が見込まれ、結果として中国版白タクの締め出しにつながるのではと期待されています。期待通りに進むか否か、しばらくは経過を見守ることになりそうです。
滴滴出行とソフトバンクの合弁会社、タクシー配車プラットフォームを提供開始(SB社プレスリリース)
https://www.softbank.jp/corp/group/sbm/news/press/2018/20180719_02/
まとめ|タクシー料金は国によって変わる
安全・安心については、すでに高い評価を得ている日本の交通事情。近年、Appでの配車や支払など、より利便性の高いサービスの提供に向けて、様々な施策を打ち出しているようです。今後、いわゆる「配車アプリ」系事業者と競争に向かうのか、あるいは共存関係を築いていくのか面白い展開になってきそうです。
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