世界各国のキャッシュレス決済現況
最近よく耳にする「キャッシュレス決済」。諸外国での普及に比べて、日本が遅れているという声も聞こえます。そこで数か国の「キャッシュレス決済」を調べてみました。
各報道で耳にするとおり、国際的に、クレジットカード、電子マネー、スマートフォンなどを使ったキャッシュレス決済は一般的になりつつあるようです。
各国の傾向について、マーケティング・リサーチ会社のクロス・マーケティングが2017年に実施した調査を一部ご紹介します。
「日本とドイツは現金決済の割合が高い。しかし、中国はスマートフォン、アメリカはクレジットカード、デビットカードが最もよく使う決済手段として挙げられており、キャッシュレス化が進んでいるといえる。」
引用:「クロスマーケティング」図1-1
「5年前と現在を比較した決済手段の利用の増減について各国全体でみると、現金以外の決済手段について「増えた」とした割合が高いことが判明。特に、スマートフォンや電子マネーの利用が増えたと感じていることがわかる。現金決済も約3割が「減った」と回答しており、今後さらにキャッシュレス決済が利用できる店舗が増えるのではないかと考えられる。」
この調査結果からも分かるように、世界の流れは確実に「キャッシュレス決済」に向かっており、現金での支払いを好む日本でも、海外からの多くの外国人旅行客を迎えるようになった今、キャッシュレス化推進の必要性は非常に高まっています。
このコラムでは、キャッシュレス化先進国と言われるスウェーデンと、国家施策によるキャッシュレスの進展を遂げた韓国、近年キャッシュレスが急速に普及しつつある中国についてご紹介します。
キャッシュレス先進国-スウェーデン
スウェーデンではほとんどの人が、カード(多くはデビッドカード)と「swish(スウィッシュ)」と呼ばれるスマートフォン向けモバイル決済アプリを使っています。「swish(スウィッシュ)」があれば、スーパーなどでの買い物の支払い、電車やバスなどの公共交通機関、医療機関での支払い、個人間送金など、これ一つでスムーズに決済できます。市場の露店などでも使われています。最近では実店舗においても「現金拒否」を表示する店舗もあるそうです。
キャッシュレス普及率世界1位-韓国
韓国政府は政策により、クレジットカードの使用を推奨しています。政府が実施したクレジットカード利用促進策には、年間クレジットカード利用額の20%の所得控除や、宝くじの権利付与などがあります。その取り組みの効果もあり、韓国は世界でも有数な「クレジットカード大国」となりました。経済産業省のデータによれば、韓国のキャッシュレス決済の割合は世界ダントツの89.1%となっています。韓国人にとって,買い物の際にクレジットカードを利用することは当たり前で、ほとんどの店舗でクレジットカードを利用できます。筆者が韓国滞在中にも、コンビニからレストランまでほぼすべてをクレジットカードで支払うことができました。
ほとんどがスマホ決済-中国
現在中国では、現金を持ち歩く必要が全くないといってよいほどスマートフォンによる決済が浸透しています。ほぼすべての店でキャッシュレス決済が可能です。スーパーやデパート、ホテル、レストランではもちろん、タクシーの料金を支払う時も、レンタサイクルに乗る時も、公共料金や家賃を払う時なども、生活のありとあらゆるシーンで、スマートフォンに「微信(wechat)」か「支付宝(Alipay)」というアプリが入っていれば、QRコードをスキャンするだけで送金や支払いが可能です。水を一本だけ買いたい時など、小さな露店であっても、店頭などに貼ってあるQRコードを自分のスマホでスキャンすれば送金可能です。
ここまでキャッシュレス化した社会では、財布を持ち歩かなくても全く不便を感じません。10年前まで紙幣はボロボロで、常に偽札かどうか不安を感じていたことを考えると、この発展のスピードには目を見張るものがあります。このような場所に生活している中国人が日本を訪れると、不便さを感じてしまうのは無理もありません。もっとも、日本の紙幣の美しさと清潔さに感心している中国人は大勢いるかもしれませんが。
上記のデータから各国のキャッシュレス決済は確実に普及しつつあることが分かります。これまでの海外旅行では、現地に着いて最初に行うことは現地通貨への「両替」でした。また、支払時にも通貨の種類を見分けるのが困難で、支払いに手間取る場面も少なくありませんでした。今後、旅行者が自国のクレジットカードやアプリを使ってキャッシュレスで買い物ができるようになれば、こうした煩わしさから解放されて、より安心で快適な旅になりそうです。さらに、キャッシュレス化決済には客単価増という効果もあると言われています。
それでは、現在(2018年10月)の日本におけるキャッシュレス決済の状況はどのようになっているでしょうか。次回の記事では、筆者のスマホを使って、実際に中国人が多く使用する「微信支付」による支払いをレポートします。
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