【決定版!】ベトナム進出を考えている皆様へ-現地法人の設立方法
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ベトナムに進出する日本企業の現況
日本企業がベトナムに進出する魅力は、実にたくさんあると言われています。
ベトナムは、1980年代の「ドイモイ政策」以降、急速な経済成長を遂げており、今ではアジアの中でも特に成長が期待されるVIP(ベトナム、インドネシア、フィリピン)の国の一つにもなっています。人口約9600万人の平均年齢は31歳と日本に比べて15歳ほど低く、人口の50%以上が25歳以下です。日本が高齢化社会なのに比べると、若さと活力がある国ということが分かるのではないでしょうか。
ベトナムにはすでに日本企業が2000社ほど、製造業やサービス業を中心にさまざまな業種で進出しています。宗教的、政治的に安定しており、親日国家であることから、日系企業の進出は受け入れられやすいでしょう。
また、地理的には人口世界1位、GDP世界2位の大国、中国と国境が接しており、既に中国に進出している企業もこの地理的優位性を活かして、投資戦略としてベトナムに進出することを検討できるかもしれません。
※引用 ジェトロ「日系企業進出状況」 https://www.jetro.go.jp/world/asia/vn/basic_01.html
ベトナムで選択できる事業形態
4つの事業形態
ベトナムに進出する際の事業形態は、主に次の4つです。
- 現地法人
- 支店
- 駐在員事務所
- Global Employment Outsourcing(GEO)
それぞれの違いとメリット・デメリット
事業形態 | 概要 | メリット | デメリット |
現地法人 | ・本社から独立させて現地に設立する子会社。 ・一般的な形態は「有限会社」。 ・出資形態は「独資」と「合弁」の2種類。サービス内容によって「合弁」でなければ認められないケースもあります。 | ・現地での迅速な意思決定が可能なためビジネス上有利。 ・ベトナム企業への投資や株式購入、子会社の設立、合併や買収などは規制されていないため、現地におけるビジネス拡大の自由度が高い。 | ・外交系企業は「外国投資家」とみなされ、外資規制の「禁止業種」と「制限業種」の規制を受ける。 |
支店 | ・資本や資産は本社と共有。決算も本社の仕訳に組み込まれる。 ・販売活動や営業活動が可能。 | ・駐在員事務所のように、活動内容の制限を受けることがない。 | ・「支店」形態がとれるのは、銀行や保険など金融系の一部の業種に限られる。 |
駐在員事務所 | ・現地の情報収集(市場調査や事業開発等)を目的に設立が認められる事業形態。 ・設立許可は5年間有効、期間の延長が認められている。 | ・ベトナムに進出する上でもっとも簡便な形態。 ・実際の投資を実行する前に、ベトナムでの実地調査や分析を行うことが可能。 | ・親会社と同一の法人格とみなされるため、営利活動(営業・販売)はできない。 |
Global Employment Outsourcing(GEO) | ・現地のGEOサービス会社が、進出を希望している会社の代わりに現地で事業を行う責任者を雇用する。そしてその人物が、進出希望企業の事業活動を専属で行う形式。 | ・法人設立にかかる費用や時間が不要。ビジネスが継続・発展できるかどうかのテストケースとして始めることができる。 ・スピーディーな立ち上げが可能。 ・設立後の経理・総務的な事務はGEOサービス会社が行うため不要。 ・ ベトナム在住の法定代表者(Legal Representative)を置く必要がない。 | ・取引がベトナムの顧客と日本法人との間になるため、料金は日本に送金してもらう必要がある。 ・特定の許認可を取るためには、法人格が求められることがある。 ・システム的に小売・飲食業には向かない。 |
現地法人設立のステップと、各ステップで必要とされる期間
ステップ1:各種規制の調査および会社形態の決定
ステップ2:会社登記に必要な情報や書類の準備
ステップ3:会社名の決定、登記で必要な書類の作成
※約1週間程度
ステップ4:オフィスの契約、登記住所の決定
※約2週間程度
ステップ5:投資登録証明書(IRC)・企業登録証明書(ERC)の取得申請
※投資登録証明書(IRC)は申請より約3~6週間程度
※企業登録証明書(ERC)は申請より約1週間程度
ステップ6:国家情報Webサイトへの企業登録証明書の内容掲載
※申請より約30日程度
ステップ7:法人銀行口座の開設
ステップ8:ライセンスの取得(オプション)
投資登録証明書(IRC)と企業登録証明書(ERC)について
投資登録証明書(IRC)
まず最初に必要になるものが投資登録証明書(Investment Registration Certificate = IRC)です。企業設立のステップの第1歩で、ベトナムに進出する外資系企業が絶対取得しなければならない証明書です。
相当大規模な投資の場合には政府への事前申請・承認が求められますが、実務としては省の計画投資局もしくは工業団地や経済特区の管理委員会に申請します。申請してから発行されるまで約1週間程度かかります。
IRCは日本での法人登記でいえば「定款の目的」に一見似ていますが、ベトナムでは行う事業に応じてIRCを取得する必要があり、これを取得せずに事業を行うとペナルティが科されます。
業種によってさまざまな異なる制限が課されています。例えば、広告事業、旅行業などの一部のIRCは100%外資では取得できないので、現地のベトナム人または企業と合弁会社を設立する必要があります。農業、狩猟及び林業の関連サービスでは、合弁会社設立、又は事業協力契約のみが認められ、外国当事者の提供資本総額が合弁会社の法定資本の51%を超えてはならないことにもなっています。さらに、製造関連サービスや科学技術コンサルタントサービス、配達サービスなどの業種では申請後一定期間は制限されますが、その後は外資100%の企業の設立が認められます。
企業登録証明書(ERC)
日本でいうところの法人登記に当たるのが、企業登録証明書(Enterprise Registration Certificate = ERC)の取得です。こちらも前述のIRCと同様に省の計画投資局や工業団地・経済特区の管理員会に申請となります。こちらは約3~6週間程度で発給されます。
まとめ
日本企業がベトナムで現地法人を設立する方法について説明しました。
法人設立後の要件について知りたい方は、近日公開される「【決定版】ベトナム進出を考えている皆様へ-現地法人運営において知っておきたいこと」の記事をどうぞ参照してください。