外国人が運転免許を取得するには?~在留外国人のためのお役立ち情報シリーズその5~
コンテンツ一覧
はじめに
すれ違った車の運転手が外国人だったという経験はありませんか?日本で生活するのに運転免許は必要だと感じている外国人の方も多いようです。都会であれば電車やバスが便利ですが、住む場所によっては車で移動するほうが便利な場所もたくさんあります。日本の交通機関は運賃が高いと考えている人もいます。また、仕事の選択範囲が広げるためには運転免許を取らなければならない、と考える人もいます。
令和2年末の在留外国人数は、288万7,116人で、前年末と比べると1.6%減少しました。在留資格の内訳で一番多いのは、「永住者」です。永住資格を持っている人は80万7,517人と最も多く、前年末より1.8%も増加しています。在留外国人者数は減ったのに、永住者が増えているということですから、運転免許を取得する外国人もさらに増えることが予想されます。
もちろん、日本で生活する外国人がすべて日本語が流暢ではありません。免許は欲しいけど日本語が心配とか、費用がかかりそうで心配という人もいるでしょう。
今回は外国人が運転免許を取得するにはどうしたらよいか、いくつかの方法を取り上げてみたいと思います。
外国人が運転免許を取得する方法について
母国免許の切り替えという方法
一つには母国で取得した運転免許を日本の免許に切り替えるという方法がありますが、その際いくつか必要な条件があります。
まず、取得した運転免許証が有効であること、また、免許を取得した国に通算3か月以上滞在していたことです。それから、切り替えたい地域に住民票があり在住していること、そしてもちろんビザが有効であることです。
条件が整っていれば、適性試験、学科試験、技能試験を受けて日本の運転免許を取得することができます。
運転免許証は身分証明書にもなりますから、住んでいる地域で切り替えるのがお勧めです。
アメリカの一部の州やイギリス、台湾など特例が適用されて試験が免除される国もあります。視力テストだけでOKな国もあります。事前にお住いの地域の警察署または運転免許センターに問い合わせてみてください。
ちなみに知り合いの中国人は、運転免許試験場で免許の切り替えにトライしましたが、技能試験に2回失敗しました。しばらくハンドルを握っていなかったのと、日本の道路や車に慣れていないせいだったかもしれません。日本の道路を想定した技能試験ですから、無理もありません。教習所などで事前に練習した方がよさそうです。
新たに取得という方法
では母国で運転免許を取得していない人はどうしたらいいでしょうか。
その場合は、日本人が運転免許を取得するのと同じです。つまり、教習所に通って学科試験を運転免許試験場で受けるか、運転免許試験場に行って直接学科と実技の試験を受けるという方法のどちらかです。
直接運転試験場に行って合格できればかかる費用は安くてすみますが、言語の問題は大きなハードルになります。日本語があまりできなかったり、日本の交通ルールをきちんと理解していないと、何度も失敗してかえって時間とお金がかかります。現実的には少しコストはかかっても、教習所に通って免許を取得する方がいいかもしれません。教官が親切に指導してくれますし、交通ルールも自分で勉強するよりしっかり学べます。日本では車両は左側通行なので、右側通行の国とは車両の曲がり方が違いますし、横断歩道の渡り方も国によってルールが違います。道路標識も違います。教習所で日本の交通ルールを正確にマスターした方が確実かもしれません。
今は、外国語に対応している教習所もありますし、時間のない人向けに短期合宿プランもあるようです。そのようなプランを活用するのも一つの方法かもしれませんね。
多言語に対応した教習所の存在はありがたい
最近では英語・中国語などの外国語に対応している教習所もあります。
一例として、新潟県の中条自動車学校(http://www.nakajo-ds.jp/foreigner.html)では外国人を受け入れています。交通ルールの違いや言語の壁があり、分からないことや不安なことが多い外国人が、運転免許を取得して日本での生活を楽しめるようサポートしてくれます。ホームページを見ると、外国人教習生の普通免許取得までの流れを英語で読むこともできます。英語・中国語の教本を貸し出してもらえます。単語程度の英語や中国語が話せる指導員も在籍しているということなので、安心ですね。
実際に中条教習所を利用した外国人教習生の実例があげられていました。1人の中国人の女性は、日本語でのあいさつや簡単な会話はできますが、「アクセル」「ブレーキ」等の運転に関する呼称が苦手でした。教官が簡単な単語を使って説明したり、運転教本のイラストを活用して指導してくれました。約4ヶ月の教習後に免許を手にすることができたようです。
外国人を積極的に受け入れている教習所は各地にあります。親切な教官がサポートしてくれるので、きっとリラックスして授業を受けられることでしょう。
外国人向けの合宿免許も出てきた
日本人の学生が休みを利用して免許を取得するためによく利用される合宿免許ですが、外国人向けのプログラムを用意している教習所も増えてきました。
合宿免許のメリットは何でしょうか。
まず、料金が安いことです。時期や場所、宿泊プランにもよりますが、教習所に通うよりも5万円から10万円も安い場合もあります。また、順調に進めば約2週間という短期間で、集中して免許を取得できるのも魅力です。教習所に通うと、自分が希望する時間に予約が取れないこともよくあります。そうすると、2ヶ月で免許を取ろうと思っていても、3ヶ月、4ヶ月かかってしまうこともあります。合宿プランなら毎日2時間の教習枠を自動的にもらえるので、大体2週間という予定を立てることができます。ただし、多少の個人差があるので、2週間ギリギリの予定をたてることはお勧めできません。少し余裕を持ってプランをたてましょう。
住んでいるところから少し離れていると、交通費がかかるのでは?と心配になるかもしれませんが、交通費の補助金が出る教習所もあります。
合宿ですから、教習所で用意されたホテルに宿泊するので、ちょっとした旅行気分も味わえるかもしれません。短い期間ですが、そこで知り合った人と友達になったり、日本語が上達するチャンスになるかもしれません。
ハードルとなる学科試験について
外国人が日本の運転免許を取得する際に一番のハードルとなるものは、ズバリ学科試験です。
普通に日常会話ができるとしても、学科試験に出てくる単語や文章は日本人でも頭を悩ませるものが多いですから、外国人にとってはなおさらです。
でも、県によっては外国語で学科試験を行っている場所もあります。対応している言語は、英語、中国語、ポルトガル語が多く、他の言語は未対応なのが現状です。都道府県によって、対応している言語が異なります。自分の住んでいるエリアはどの言語に対応しているか、事前に確認しておくことが必要です。
なお、第二種運転免許の試験は日本語でしか受けることはできません。日本語に自信がない外国の方にとっては、かなりハードルが高いといえるでしょう。
国際免許という選択肢
外国人が日本で自動車を運転するもう一つの方法は、国際免許証という方法です。
道路交通に関する条約(ジュネーブ条約)に基づき外国で発行された国際運転免許証を所持している方は日本国内で運転することができます。または、国際免許証を発行していない国で、日本と同等の水準の免許制度がある国(スイス・ドイツ・フランス・ベルギー・スロベニア・モナコ・台湾のみ)の免許証を持っていて、大使館、JAF、日本自動車連盟など政令で定める者が作成した日本語の翻訳文が添付されていれば、運転することは可能です。
日本において運転できる期間は、日本に上陸してから1年間又は免許証の有効期間のいずれか短い期間です。
まとめ
日本での快適な生活や仕事のために多くの外国人が運転免許を取得しています。特に公共の交通手段が少ない地方で暮らす外国人にとって、運転免許は必需品です。仕事、買い物、家族で出かける時に自家用車で出かけたいと思う外国人は多いはずです。外国人の免許取得をサポートする教習所は増えています。
普通免許だけでなく、第二種免許が外国語でも受験できるようになれば、海外のように外国人のタクシー運転手やバスの運転手も増えるかもしれません。
タクシーに乗ったら、フレンドリーに挨拶してくれる外国人のドライバーに会える日が来るかもしれませんね。