外国人スタッフの質問に「やさしい日本語」で答えよう(Part1)

在留外国人のためのお役立ち情報シリーズ

はじめに

人材不足を補うために外国人を採用する企業が増えています。また、技術のある外国人を雇用する会社もあるでしょう。そして日本で働きたいと思っている外国人も多くいます。

しかし、外国人にとって当たり前の習慣が、日本では通用しないことがあります。逆に、日本では当然の習慣が、外国人には馴染みがなかったり、理解できないこともあります。

ここでは、職場における外国人が抱えがちな質問・要望に「やさしい日本語」でどう対応できるか、厚生労働省の資料を元に考えてみましょう。

参照:厚生労働省資料

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/jigyounushi/tagengoyougosyu.html?fbclid=IwAR1yP3OVdiFJISEDHHt3aR88qrMLtGEsAERmdSE1f4zraTvVAuNRj7oOf%E3%81%B2%E3%83%BC

外国人に多い質問や要望とは?

こんな質問をされたことはありませんか?

最初に聞いていた給料と振り込まれた金額が違うのはどうして?

もっと働きたいのに、なぜ働いてはいけないの?

8時始業なので、8時に会社に来ればいいですか?

こんな要望をされることもあるかもしれません。

18時半になったので帰ります。

会社に住所を教えたくないです。

健康診断は受けたくありません。

日本人にとっては「何を言っているの?」と感じるかもしれませんが、外国人にとっては日本の法律や雇用習慣は馴染みがないので仕方がありません。日本人でもわかりにくい用語などもあるのですから、外国人が知らないのは無理もありません。

彼らに日本の習慣を正しく理解してもらえるように、また気持ちよく働いてもらえるように、「やさしい日本語」で親切にわかりやすく説明してあげましょう。

外国人に馴染みのない日本の習慣に答える

賃金に関すること

多くの外国人が一番知りたいのは、賃金に関することでしょう。

基本給

日本人は給料の仕組みを大体理解していますが、外国人は国によって文化や習慣が違うので理解できないことがあります。

例えば

基本給と手当の違いが理解できません。こんなふうに説明できます。

「基本給」とは、最初から決まっている給料のことです。毎月、同じ金額です。「手当」とは、あなたに会社が決めた理由がある時だけ、払う給料のことです。それで、毎月の賃金には、「基本給」と会社が決めた「手当」が含まれます。

各種手当

外国で支払われる手当と、日本で支払われる手当は違います。外国にはないものもあるので、わかりやすく説明する必要があります。

こう言えるかもしれません。

資格手当」というものがあります。例えば、あなたが仕事に役立つスキルの資格を持っていたら、基本給とは別に「資格手当」が支払われます。

家族手当」は会社があなたとあなたの家族の暮らしを助けるために払うお金です。国のルールではなく、会社が決めたルールです。それで、家族のこと、子供のことを教えてもらう必要があります。今は独身でも、結婚したり子供が生まれたらもらえることもありますから、その時は相談してください。

多くの国にはないのが「通勤手当」です。

こう言えるかもしれません。

通勤手当」というのは、家から会社に来るまでのバスや電車のお金を払います。それで、あなたの住所と、会社にくる方法を教えてください。

会社によって、1ヶ月に払う通勤手当の上限がありますし、支払われない条件なども異なるので、この点も親切に伝える必要があります。

住宅手当」は住宅にかかるお金の一部あるいは全部を会社が補助する手当です。いくらまで払うかは会社のルールがあるので、相談しましょう、と言えるかもしれません。

最低賃金

日本では労働者の生活を守るために、最低賃金が法律で定められrています。外国では最低賃金がない国もあります。

こう説明できます。

「最低賃金」とは働く人の生活を守るために、仕事をした時に会社からもらえる最低の給料のことです。これは国の法律で決まっていますが、県によって違います。例えば、〇〇県では1時間当たり、一番低くても○○〇円もらえます。

割り増し賃金

残業代と混同しやすい言葉に「割り増し賃金」があります。労働者の心身の健康を守るための法律です。わかりやすく伝えましょう。

「割り増し賃金」とは、法律で決まっている時間より長く仕事をした時、法律で決まっている休みの日に仕事をした時、午後10時から朝5時の間に仕事をした時に、いつもの給料より多くお金がもらえるというルールです。働いている人の健康を守るために、法律で決まっています。

賃金支払い方法

日本ではほとんどの企業が、月1回賃金を支払いますが、国によっては月2回というところもあります。毎月何日に給料が支払われるのか、給料振り込みのための銀行口座を作る方法など丁寧に説明する必要があります。

こう言えます。

日本ではほとんどの会社が、1ヶ月に1回、給料を払います。この会社は毎月〇日にあなたの銀行口座に給料を払います。〇日が休みの日の時は、その前の日に払います。

所得税の源泉徴収

日本と外国では、税制や社会保障の仕組みなどが違うので、外国人の多くは理解するのが難しいようです。様々なお金が引かれるので、給料と手取りが違うことが理解できず、トラブルも多いようです。

例えば、「所得税の源泉徴収」をどのように説明したらよいでしょうか。

日本で働く人はみんな、国に「所得税」というお金を払わなければなりません。自分で直接、国に払うのは大変なので、会社が代わりに国に払う制度が「源泉徴収」です。ですから、会社は給料から「所得税」を引いて残りをあなたに払います。

社会保険料の控除

給料から引かれる社会保険料は、病気や失業した時など困った時に働く人を助けるものであること、働く人は皆、払わなければならないことを説明しましょう。日本の保障制度は外国とは違うので、理解してもらう必要があります。

日本のルールでは、働く人は「社会保険」に入らなくてはなりません。これに入っていれば、けがをしたり病気になった時、仕事を辞めて仕事が見つからない時に国からお金がもらえます。あなたや家族にとって、とても役に立つルールです。それで、会社は一人一人の給料から「社会保険料」を引いて代わりに国に払います。

年末調整

日本の確定申告や年末調整のような仕組みがない国もあります。年末調整のために書類の提出が求められても、理解できない人のためにやさしい日本語で説明してください。

会社は毎月、給料から「所得税」を引いていますが、これは大体の金額です。1年が終わる12月に正しい税金の額を計算して、国に報告します。これを「年末調整」といいます。

確定申告

日本には「確定申告をする」という決まりがあります。1年間、収入がいくらあったか、働いたお金からいくら税金を払わなければいけないかを計算するためです。これを自分でやるととても大変なので、会社が代わりにやってくれます。これを「年末調整」と言います。

まとめ

今回は、多くの外国人が持っている賃金についての疑問を取り上げました。やさしい日本語で答えてあげましょう。

私たちにとっては当たり前でも、外国人にとっては不慣れなことがたくさんあります。支払われた給料の額が間違っているように思えても、うまく質問できないかもしれません。日本で気持ちよく働けるように、分かりやすい日本語で説明してあげましょう。

いろいろなことが理解できると、モチベーションもあがって、仕事も頑張ってくれるでしょう。

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