【2021年度】快挙!世界で認められた日本のワイン

はじめに

「インターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)」は、1984年から毎年イギリス・ロンドンで開催される世界的なワインコンテストです。世界で最も権威のある酒類のコンテストなので、そこで受賞することは世界的な評価を得たことを意味します。

今回は、「お酒のオリンピック」とも呼ばれる、「インターナショナル・ワイン・チャレンジ2021」で高評価を得た日本の「ワイン」をご紹介します。

参照:international wine challenge

https://www.internationalwinechallenge.com/

快挙!金賞受賞ワイン

「インターナショナル・ワイン・チャレンジ2021」で見事、金賞を受賞したのが「シャトー・メルシャン 笛吹甲州グリ・ド・グリ2019」です。

このコンテストで受賞すると、ワインのボトルにラベルを表示することができます。作り手にとっては、とても栄誉なことです。受賞結果は、世界のワイン愛好家にもあっという間に広がり、最高の賞を受賞したワインはすぐに売り切れてしまうそうです。

日本といえば日本酒の本場ですから、日本で作られたワインが注目されることは多くありません。それゆえに今回、日本のワインが金賞に輝いたというのは快挙と言えます。

また、「オレンジワイン」というカテゴリーの中で、「オレンジワイン」の世界的に有名な産地であるジョージア以外の産地で金賞を受賞するのは、このコンクール史上初の素晴らしい成果です。

コンテストでは、ワインのラベルを隠したままテイスティング審査が行われます。権威ある審査員による数回にわたる厳正な選考過程を経て、評価が決定されます。

では、このような由緒あるコンテストで金賞に輝いた「シャトー・メルシャン 笛吹甲州グリ・ド・グリ2019」とはどんなワインでしょうか?

淡く灰色がかった(灰色=仏語でGris/グリ)赤紫色の皮を持つ甲州というブドウの品種はもともと白ワインに使われていましたが、「その果皮の周りにおいしさがあるのでは?」という仮説から、赤ワインの造り方の要素を加えて丹念に仕込まれたワインです。

甲州の果汁だけでなく果皮や種も使うことによって、それらがすべて混ざり合い、立体的で複雑な味を作り出しています。リンゴのコンポートのような甘美な香りとふくよかな味わいが特徴です。

白ブドウを果皮ごと発酵させることで、オレンジに近い色調となる「オレンジワイン」としても人気が高まっています。

「オレンジワイン」についてはこの後、取り上げます。

「出典:シャトーメルシャン」

https://www.chateaumercian.com/

オレンジワインとは?

お酒に詳しい方はご存じかもしれませんが、「オレンジワイン」とはどんなワインでしょうか?「オレンジで作ったワイン?」と思われがちですが、そうではありません。

一般的にワインと聞いて思い浮かべるのは、赤ワイン、白ワイン、ロゼワイン、スパークリングワインといったところでしょうか。

赤ワインは、黒ブドウの実を皮や種ごと発酵させて作られます。この果皮に赤い色素が含まれているので、赤いワインになるのです。また、種に含まれるタンニンという成分により、赤ワイン特有の渋みが出ます。

一方、白ワインは果皮の色の薄い白ブドウが使われます。赤ワインと違って、皮と種を取り除き、搾り取った果汁だけで作られます。果皮を取り除いて作られるので、色の薄い透明なワインができあがります。

ロゼワインは、赤ワインと同じく黒ブドウの果汁が使われます。発酵の途中で果皮を取り出すので、赤と白の中間色のバラ色(フランス語でロゼ)のきれいなワインができあがります。

「オレンジワイン」は白ブドウを材料に、赤ワインと同じ作り方をしたワインです。赤ワインを作る時に、果皮の色と共に果皮や種が持つ味を果汁に着ける工程を「マセラシオン(醸し)」というのですが、これを白ワイン用の緑色のブドウで行うと、品種によっては果皮由来のオレンジ色がワインにつくので、「オレンジワイン」と呼ばれます。

大きく分けると白ワインの仲間ですが、赤ワインのように果皮や種も粉砕するので、赤ワインのようなコクも持ち合わせています。

「オレンジワイン」の起源は約8000年前ですが、その後、一時期歴史から姿を消していました。しかし、1990年代後半に、一人の自然派ワインの作り手が注目し、復活しました。「オレンジワイン」の製法だと、酸化防止剤の添加を抑えることができるからです。

「オレンジワイン」はジョージアが本場ですが、イタリアやオーストラリア、日本でも作られるようになりました。先ほどの「シャトー・メルシャン 笛吹甲州グリ・ド・グリ2019」を作ったメルシャンは、甲州ブドウを使った「オレンジワイン」に力を入れています。世界の多くの「オレンジワイン」は、渋みや苦み、独特な青臭さなどのために、クセが出てしまいがちです。しかし、そのクセがあるところがむしろ味のしっかりとしたオリエンタル料理とは相性が良いことから、新しい組み合わせとしてレストランで提供されるようになりました。

「シャトー・メルシャン 笛吹甲州グリ・ド・グリ2019」は、もとがさっぱりとしたブドウのおかげなのか、とてもクリーンで主張が控えめなワインです。そのため日本食やアジアの食事に合うと言われ、世界的にもとても高い評価を得ています。

受賞した日本酒

「インターナショナル・ワイン・チャレンジ」には2007年から日本酒部門が設けられました。そこで上位入賞した日本酒は、外務省で在外公館用として採用されるほど高く評価されます。

2021年度は、どれくらいの日本酒が受賞したのでしょうか。

9つのカテゴリーに分けられた1499銘柄を、審査員がブラインド・テイスティングを行い、審査します。そして、ゴールドメダル、シルバーメダル、ブロンズメダル、大会推奨酒の4つに評価します。

その結果、金メダル 103個、銀メダル 255個、銅メダル 312個を受賞し、メダル総数は670個にもなりました。

ゴールドメダルを受賞した日本酒の中から、特に優れたものに「トロフィー」が与えられ、その中でさらに優れたたった一つの銘柄に「チャンピオン・サケ」という称号が与えられます。2021年は長野県・諏訪御湖鶴酒造場で醸造された「純米吟醸 山恵錦」でした。

出典:酒サムライhttp://www.sakesamurai.jp/iwc21_medal.html

また、出品した複数の日本酒すべてで高評価を得た酒蔵(メーカー)には、「サケ・ブリュワリー・オブ・ザ・イヤー」が与えられます。

2021年度は、富美菊酒造・富山県、清水清三郎商店・三重県、滝沢酒造・埼玉県が候補にあがりましたが、清水清三郎商店が受賞しました。

おわりに

多くの外国人が日本酒を高く評価している一方で、世界で認められている日本製のワインは多くありません。しかし、以前に見たテレビ番組では、日本のワインを飲んだイタリア人が自国のものよりおいしいと言っていました。こうしたことからも、日本のワインの品質は向上してきたと言えるでしょう。

今回のインターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)での受賞によって、日本のワインが世界的にも認められるレベルに達したことが示され、世界の人々に注目してもらうきっかけになったはずです。

今後も、日本が日本酒とともにワインの産地としても国際的に認知されていくことを期待できるに違いありません。

普段の買い物で、ゆっくりお酒コーナーを眺めることは少ないかもしれませんが、世界に認められた日本の「オレンジワイン」を探してみませんか?

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