観光地の翻訳をレベルアップしよう

2022年4月8日インバウンドが復活した今取り組みたい施策

はじめに

観光庁が取り組んでいる「地域観光資源の多言語解説整備支援事業」をご存じですか?

訪日外国人旅行者の満足度を向上させることを目的に、始められたものです。観光地の観光資源の翻訳を、外国人目線で分かりやすいものにする取り組みです。

質の高い翻訳は、インバウンド対策において重要なポイントの1つです。訪日外国人旅行者がコロナ前の人数を超えた今、以前よりもレベルアップしたおもてなしでリピータを増やしたいものです。

どのように取り組んでいけばよいか、観光庁の提案からヒントとなる情報をみてみましょう。

観光庁の「地域観光資源の多言語解説整備支援事業」とは?

観光庁は文化庁・環境省などと連携して「分かりやすい多言語解説整備推進委員会」を立ち上げました。そして平成30年度から「地域観光資源の多言語解説整備支援事業」を開始しました。

インバウンドで日本を訪れた外国人旅行者が、観光地や観光資源に関する分かりやすくて、読みやすい解説文を通して旅の満足度を高めてもらうことが目的です。

実際にこれまでの解説文は、表記が不十分だったり、外国人目線ではないために、観光地の魅力が十分に伝わっていないこともありました。ただ単に、日本語解説文を外国語に翻訳するだけでは不十分だということです。

それでは外国人にとって「難しくてよくわからない」、「知りたいことが十分説明されていない」という問題点が残り、せっかくの日本旅行を十分に楽しんでもらえないという課題がありました。

では、「地域観光資源の多言語解説整備支援事業」において、どのような取り組みがなされているのでしょうか。

出典:観光庁

観光庁が関係省庁と連携して、多言語解説文を作成できる英語のネイティブライター等の専門人材をリスト化します。そして、そうした専門人材を地域に派遣して、ネイティブ目線の解説文の作成をします。

ネイティブが作成すれば、英語表現の不自然さはありませんし、ネイティブとして知りたい情報や魅力的に思える解説を含めることができます。

このように、まず英語の解説文を作成し、それをもとに中国圏からの旅行者向けに中国語などの解説文も作成します。

看板やタッチパネル式解説板に解説文を掲載したり、看板に2次元コードを貼り付けるという方法で、外国人旅行者が自分の理解できる言語で魅力を感じてもらえるようにします。

外国人にとって魅力的な解説をしよう

では、外国人旅行者にとって魅力的な多言語解説とはどんなものでしょうか?

彼らが必要としているのは、ただ文法が正しいとか表現が正しい解説文ではありません。外国人に学びと感動を与えるものでなければなりません。

日本人目線の解説文では、外国人に伝わりにくいようです。なぜなら、日本語と英語の文章スタイルに大きな違いがあるからです。日本語は、歴史的解説文を「時系列」に扱うのに対し、英語はまず概略を述べてから、個別の説明に入るというスタイルだからです。

また日本人は、日本で生活し、日本の学校教育を受けているので、ある程度の情報は知っています。しかし、外国人はほとんど知らないので、もっと知りたいという気持ちがあります。日本の文化・習慣を知らない人が持つ、外国人目線の興味や疑問は日本人とは違うことがあります。ですから、多言語解説文は、外国人目線の疑問を解消し、学びや感動を与えるものでなければなりません。

外国人旅行者が、観光地の解説文から知りたい情報とは何でしょうか?

観光庁が行ったアンケートによると、例えば、文化財の解説文においては、文化財の持つ歴史的な意味やストーリー、日本独自の精神性や文化、その文化財の価値などに深い関心を持っていることがわかりました。

また、国立公園の自然に関する解説文においては、生息する動植物の情報だけでなく、その地域にまつわる文化・歴史的な情報、国立公園そのものの基本情報、その地域で体験することのできる文化や風景、行事などの情報にも期待が向けられていることがわかりました。

地元で生活していると、地域の観光資源が当たり前になりすぎて、その魅力に気づいていない場合もあります。そこで、外国人ライターや地域外の日本人の目線が必要になってきます。観光資源の魅力の再発見、再認識が必要なのです。

私が住んでいる県は一般的に魅力度が低いと言われています。私自身も県内の魅力にあまり気付いていませんでした。ある時、外国から来た友達を案内することになり、こんなにいいところがあったんだと再発見しました。一緒に行動して初めて、外国人の目線で魅力的に思えること、感動することは何かを知ることができました。

ですから、外国人のライターに実際に観光地を見てもらい、体験してもらうなら、外国人から見た本当の魅力をより感じてもらうことができます。

そのようにして外国人目線の解説文を書いてもらうことは、さらに多くの外国人に、日本の魅力を伝える良い方法だと言えます。

まとめ

私たちも海外旅行に行って観光する時、現地の本当の魅力を知りたいですよね。間違った日本語翻訳だったり、つまらない文章だとがっかりします。伝わらない日本語だったりすると、残念なことに、笑えるけど情報は何も残りません。

日本に来る外国人旅行者も同じです。日本の美しい自然や文化を楽しんで、魅力を感じて、感動してもらいたいものです。再び日本に行って、他の地域も見てみたいと思ってもらいたいですね。

これからのインバウンドの成功を考えると、「短期的な成果」ではなく「長期的な視野」に立った準備が必要だということがわかりました。観光庁はそうしたことを見据えて、「地域観光資源の多言語解説整備支援事業」に積極的に取り組んでいます。

正確な情報を知ることができた、勉強になった、日本がもっと好きになったと思ってもらえるような、多言語解説を目指していきましょう。

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