「やさしい日本語」でコミュニケーションをとろう

在留外国人のためのお役立ち情報シリーズ

はじめに

日本で生活する外国人は、年々増えています。当然、生活のいろいろな場面で、外国人とかかわることが増えてきます。

中には、日本人以上に日本語が上手な人もいますが、最低限の日常会話しかできない人、ほとんど話せない人もいます。漢字圏の外国人なら、漢字を見て大体の意味をつかめる人もいますが、非漢字圏の外国人にとって漢字はただの図形です。

今後はますます「やさしい日本語」を使ったコミュニケーションが必要になります。

やさしい日本語」とは、どのような日本語か考えてみましょう。

出典:出入国管理庁 文化庁「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」

https://www.bunka.go.jp/seisaku/kokugo_nihongo/kyoiku/pdf/92484001_01.pdf

「やさしい日本語」のニーズは?

やさしい日本語」とはどのようなものでしょうか。

外国人をはじめ、高齢者や障害のある人など、相手に配慮したやさしい日本語です。難しい言葉をなるべくわかりやすく言い換えることができます。

外国人の側のニーズはどうでしょうか。

生活のための日本語に関する調査によると、約63%の外国人が、「日常生活に困らない言語」を「日本語」としています。「英語」を選んだ人の44%を上回っています。

また、法務省の調査によると、日本語で会話ができると答えた外国人は8割を超えています。

「希望する情報発信言語」として76%の外国人が「やさしい日本語」を選んでいて、英語を上回っています。

多くの外国人が「やさしい日本語」でコミュニケーションができることを希望しています。それに加えて、多言語表記の提供や日本語学習のサポートが必要なことは言うまでもありません。複雑な説明が必要な時

出典:出入国在留管理庁 文化庁

「やさしい日本語」が特に必要な場面は?

生活の中で「やさしい日本語」が必要な場面はたくさんあります。

例えば、役所で手続きをする時の文章は、日本人でも難しくありませんか?

転出届や転入届、それに伴う年金や健康保険の手続き、学校や幼稚園の転校手続きなど、ただでさえ面倒なのに、難しい文章で説明されていると外国人にとってはパニックです。

実は、これは日本だけの問題ではないようです。例えば、アメリカでは2010年に、国の役所が出す文書は分かりやすくするようにということが法律で定められました。

学校でも「やさしい日本語」が必要です。外国人が通っている学校、幼稚園が増えています。でも、すべての先生が外国語が話せるわけではありません。子供たちは日本の教育を受けるために、日本語は必須です。彼らが学ぶ意欲を持ち続けるためにも、「やさしい日本語」から始めることができるでしょう。

子供たちは順応性がありますし、学ぶスピードも速いですが、保護者は限界がある人もいます。でも、先ほどの調査結果からわかるように、多くの外国人が「やさしい日本語」でコミュニケーションをとりたいと思っています。できるだけわかりやすく、必要なことを伝えてあげましょう。

企業でも、「やさしい日本語」を使う場面がたくさんあります。多くの外国人労働者は働く意欲を持っていますから、何をしたらいいのか、どのように作業をしたらよいのか、いつまでにやらなければいけないのかなど、わかりやすくて具体的な指示が欲しいと思っています。そうすれば、仕事の効率も上がりますし、従業員同士のトラブルも防ぐことができるでしょう。

「やさしい日本語」のためのステップ

文章を「簡潔」にする

まず、日本人にとってわかりやすい文章にします。

そのためには、文章を簡潔にします。一つの文は短い方がわかりやすいです。長くなりそうな時は、二つの文に分けて、一つの文に一つの要点だけを含めるようにしましょう。

例えば

「結婚する時は、役所に届け出て、それが受理されると婚姻が成立します。」

という文章を二つの文に分けます。

「結婚する時は、まず役所に婚姻届けを出します。」

「役所が受理すると、婚姻が認められます。」

3つ以上の内容が含まれる時は、箇条書きにするとわかりやすくなります。

回りくどい言い方やあいまいな言い方、不要な繰り返しは避けます。

例えば、

「問題があるということになります」

ではなく

「問題があります」

のように、はっきりと言い切りましょう。

また、カタカナで表記する外来語にも注意が必要です。外来語には原語とは発音や意味が異なるものがたくさんあります。できるだけ外来語を使わずに、わかりやすい日本語に置き換えましょう。

文章を「分かりやすい表現」にする

次に、日本語が母語ではない人にもわかりやすい表現にします。

・二重否定を使わない

日本人は使いがちですが、「~ないことはない」「~ないわけではない」「~以外は必要ない」のような表現は、外国人にとって何をしたらよいかわからない、とても難しい言葉です。

・受身形、使役表現は避ける

「住民税は、市町村で課税されます」ではなく、「住民税は、市町村へお金を払います」と表現すれば、しなければいけないことがはっきりします。

・簡単な言葉を使う

抽象的な表現は避けましょう。

また、略語も使わないようにします。

例えば

「健診」ではなく「健康診断」と表現した方がわかりやすいです。

・あいまいな表現はなるべく避ける

例えば、日本人でも誤解しやすい言葉に「結構です」という言葉があります。

「してよい」という意味と、「いらない」という二つの意味があるので誤解を招きやすいです。意味をはっきり伝える言葉に置き換えると、外国人にとってわかりやすい日本語になります。

・敬語は丁寧語だけにする

多くの外国人にとって敬語は苦手です。使い方がよくわからないのですから、謙譲語や尊敬語は難しくて理解できないと感じます。

・時間や年月日の表記をわかりやすくする

元号ではなく、西暦で表記します。時間は午前、午後をはっきりさせることが大切です。

文章が本当に分かりやすいか「チェック」

文章ができあがったら、実際に外国人に見てもらいましょう。自分はわかりやすいと思っていても、外国人からするとわかりにくいと思う言葉や表現がまだあるかもしれません。

日本語教師の知り合いがいたら、確認してもらうのもいいですね。

まとめ

日本に生まれ育った私たちにとって、ふだん使っている日本語をやさしく表現するのは難しいことがあります。

外国人の友だちに日本語の意味を聞かれて説明しようとすると、なんて説明したらいいかわからないということがよくあります。

相手の立場に立って、どんな場面で使うのか、どうすれば理解してもらえるかと考えてみることができます。

私は時々、中国人の友だちに日本語を教えますが、その時、中国語では何というの?と聞いてみます。こんなふうに言葉を教えあうことで、コミュニケーションがとれます。

日本で生活する外国人と仲良くしていけるように、「やさしい日本語」を使うことにチャレンジしてみませんか?

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