世界の「賃金」事情

賃金が上がっていない日本

先日、バイトしながらオーストラリアに住んでいた知人から、日本の時給はとっても安いという話を聞きました。オーストラリアは時給が高く、土日や祭日には時給がさらにUPするということです。

そういえば、日本は賃金が数十年上がっていないという話をよく聞きます。世界情勢の影響で、光熱費をはじめ食品、日用品など値上げの嵐なのに、肝心の給料が上がらず、頭を痛めている人も多いのではないでしょうか。

では、世界の他の国の賃金はどうでしょうか。日本と世界の賃金事情を比較してみました。

何年くらい上がっていないのか

日本の賃金は何年くらい上がっていないのでしょうか。

この30年の各国の平均賃金の推移のグラフです。

出典:https://public.tableau.com/app/profile/lm.7/viz/OECD1990-2019/Dashboard1

他の国が順調に賃金が上がっている中、ブルーの日本のグラフが上がっていないことが分かります。

もう少し見やすいグラフをご紹介します。20年間の平均賃金の推移を表したものです。各国の賃金は年々、上がっています。アメリカは20年で30%アップ、韓国は40%になっています。

出典:東レ経営研究所「経営センサー」2021年9月号より

日本はというと、ほぼ横ばいです。世界の状況と比べると、遅れを取っていることが一目瞭然です。これは驚きました。物の値段は上がっているのに、賃金が上がっていないなんて、家計が苦しいはずです。

よく言われる話

日本は賃金は安いが、物価も安いので生活にはあまり影響がないとよく言われますが、本当でしょうか。

そんなことはありません。

外国に頼らず、日本国内でほとんどのものを賄うことができれば問題はないかもしれません。しかし、ご存じのとおり、日本の現状は、エネルギーをはじめ、食料や他の多くのものを輸入に頼っています。海外の商品が値上がりすれば、日本国内の物価も当然上がります。原油価格が上がれば、輸入する際の燃料代も上がってきます。現に、ガソリン価格は毎週のように値上がりしています。電気代、ガス代の請求書を見て、驚くこともしばしばです。輸入に頼っている小麦や大豆を使う食品が次々と値上がりして、家計を直撃しています。4月になってから特に、値上がり商品が増えていることに驚いているのは私だけではないと思います。おいしいパン屋さんでパンを買う回数を減らしたり、パンの数を減らしたり、切実な問題です。

このまま、賃金が上がらなければ、生活はますます苦しくなります。ちょっと悲しくなってきました。

昨今のオーストラリアの賃金事情

外国の実例を一つご紹介します。オーストラリアの時給です。記事の始めで触れたように、オーストラリアの時給はとても高く、世界一ともいわれているそうです。バイトの時給は何と日本より86%も高いんです。

土日と祝日はさらに時給がアップします。アルバイトの職種によっても異なりますが、土日は25%~50%くらい高くなります。

さらに驚くのが祝日の時給です。平日よりも125%から150%もアップします。

オーストラリアでは、「土日や祝日には働きたくない」という人が多いようで、そんな日に働いてくれる人には時給をアップするという仕組みになっています。

オーストラリアの従業員の種類は、大きく分けてカジュアル従業員、フルタイム従業員、パートタイム従業員に分けられます。フルタイム従業員とパートタイム従業員は労働時間が保証されていたり、病気休暇や有休もあり、福利厚生もあるので比較的優遇されています。それに対して、カジュアル従業員は1週間の労働時間が未定だったり、シフト変更の可能性があったり、病気休暇や有休がなく、仕事状況が不安定です。そのため、フルタイム従業員よりも最低賃金が25%高く設定されています。

2020年の数字では、21歳以上のフルタイム、パートタイム従業員の時給が日本円で約1828円なのに対し、カジュアル従業員の時給は約2285円です。

留学生ビザやワーキングホリデイビザでオーストラリアへ行き、アルバイトする場合、カジュアル従業員として雇われることになります。最低賃金は最も低い場合に保証されている金額なので、実際にはもっと多く収入が得られる可能性もあります。

ただし、21歳以下は少し時給が安くなります。

カジュアル従業員は、賃金は高いですが、労働時間の保証がないこと、福利厚生が受けられないことさえ理解していれば、勉強しながら仕事もして、豊かな生活を楽しめるという訳です。日本でアルバイトをするよりもリッチな暮らしができるかもしれませんね。

まとめ

改めて日本の賃金の低さに驚きました。そして、オーストラリアの時給が世界一かもということにも驚きました。学生ビザやワーホリビザでオーストラリアに住めば、豊かな生活を楽しみつつ、自分の世界を広げられ、教育も仕事も得られるということです。

もちろん、税や社会保障の問題もあるので、一概にどっちが良いとは言えませんが、若い人が進路を選ぶ時の参考になると思います。時間とエネルギーと好奇心がある若い人にとって、海外での生活はきっとプラスになるはずです。現地での生活は、言語を習得しながら、広い視野を身に着ける良い方法ではないでしょうか。

願わくば、日本の時給も、もう少し上がってくれると嬉しいのですが・・・。

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