RCEP(アールセップ)とは何か?何が決まったのか?

はじめに

最近メディアで耳にするRCEPとは何でしょうか。何が決まったのでしようか。

ザックリと概観してみましょう。

RCEPとは何か

RCEPは東アジアを中心に15か国が参加する地域的な包括的経済連携のことを指します。

コロナ禍であっても経済は発展し続けています。つい先日2021年11月15日の東アジア地域包括的経済連携(RCEP)の合意と署名の様子です。

出典:BBC

RCEP加盟には、日本、韓国、中国、ラオス、ミャンマー、マレーシア、カンボジア、フィリピン、タイ、ベトナム、シンガポール、ブルネイ、インドネシア、オーストラリア、ニュージーランドの15か国が含まれます。

RCEPができた目的は?

RCEPはRegional Comprehensive Economic Partnershipの略で、日本語に直すと「地域的な包括的経済連携」という意味になります。

東南アジア諸国連合の10か国にオーストラリアとニュージーランドを加えた15か国が自由な貿易を進めることができるように結んだ協定になります。また日本にとっては中国、韓国との最初の経済連携協定にもなります。

RCEPの交渉は2012年から始まり、当初はインドも参加していましたが、8年後の最終的な署名時ではインドが離脱して残りの15か国で手を結ぶことになりました。

2012年11月に交渉を開始

2020年11月15日第4回RCEP首脳会議に署名

2021年11月1日に協定の発効要件を満たした日本、オーストラリア、ブルネイ、カンボジア、中国、ラオス、ニュージーランド、シンガポール、タイ、ベトナム、つまり10か国に2022年1月1日から発効します。

協定を結んだ15か国には、経済規模、人口、貿易額がいずれも世界の3割を占めていることから巨大な自由貿易圏を構築する経済連携協定(EPA)であり、協定の規模の大きさがわかります。今後はより発展するためにインドの復帰とその他近隣の国々にも参加してもらえるように自由化やルールの水準を向上させていくことが不可欠になります。

こうして概観するとWTO以上TPP未満のメガEPAである、という見解を示す人が多くみられます。この協定があと1か月程で発効し「世界最大規模の自由貿易圏」が誕生するので、現在注目を浴びているというわけです。

出典:みずほ総合研究所作成

何が決まったのでしょうか

では合意した内容はどのようなことでしょうか?

合意内容には、農林水産品や工業製品にかけられていた関税の撤廃や引き下げが含まれています。また輸出入の手続きの簡素化、サービスや投資のルールなど20の分野について合意しました。 中でも特に注目されているのが関税の撤廃や引き下げです。 この協定が成立することで、多くの品目で関税が撤廃または引き下げられることになります。よって、外国でも容易に本来の価格のままで消費者まで届けられるようになります。

EUをしのぐ 巨大自由貿易圏の誕生となる?

BBCはRCEPについて世界最大規模の自由貿易圏の誕生と報じました。ビジネスチャンスの拡大になる可能性を秘めている連帯になるでしょう。

メリットとデメリットについて

他の協定と同様、RCEP参加によるメリットとデメリットの二面があります。以下にてそれぞれを紹介します

RCEPのメリットは?

自動車業界における関税の撤廃や引き下げ

日本自動車工業会によると、二輪車や部品も含めた自動車の出荷額は、2019年に15.9兆円でした。輸出総額全体の20.7%を占めています。また、2019年に日本で生産された四輪車968.4万台のうち、輸出台数はその約半分の481.8万台でした。

これまでは完成した自動車を海外に輸出する際に高い関税がかかっていたため、部品のみを海外に輸出して現地の人材を雇ってそれらのパーツを組み立てて車を作っていました。

完成車の輸入関税率は国によって異なりますが、例えばタイでは97年のアジア経済危機後には80%といった非常に高い比率になっていました。

これらの関税が完全に撤廃されることは日本にとって非常に恵まれた貿易条件だと言えます。現在環境にやさしい「ECO」が意識されているので、自動車業界はもとよりハイブリット車のモーターなどを製作する電気業界にも追い風になるでしょう。

関税の撤廃や引き下げは輸出に有利に働きます。

海外で人気が高い日本製自動車。自動車分野において課税されずに輸出できるようになれば、より安価で提供できるため、購買層を広げ販売台数を増加させていくことも期待できます。自動車やその部品の製造に関わる産業は、日本にとっても重要な位置を占めているので、その効果は広範囲に渡ることが期待でき、日本経済全体にも良い影響をもたらすでしょう。

RCEPのデメリットは?

しかし、デメリットもあります。その一つは海外からの輸入品です。輸出においては日本に有利に働いた関税撤廃ですが、同時に海外から安い価格で農産物が日本に入ってくることにもなります。それによって日本の農産業がダメージを受けることが問題視されてましたが、幸いにも今回の決定内容には、全ての商品が関税撤廃の対象になるわけではなく、重要5項目(コメ、麦、牛・豚肉、乳製品、砂糖などの甘味資源作物)は対象外に設定されています。

また、段階的撤廃と対象外品があります。

関税対象外品にすることで、これらの品は外国から日本に入ってくるときには従来通り税金が課せられます。それにより、国内の農産業が海外の安い商品との競争に敗れて深刻なダメージを受けることを防ぐのです。

インドが今回、署名を見送った理由の一つもこれと関係しています。とくに中国から安い商品が大量に入ってくることに対する懸念です。インドの人口は現在13.8億人。今後もさらに人口が毎年増え続けることが予想され、今では中国と同じくらいの人口に成長しています。そうした発展の期待が高まるインドが参加していれば、日本の輸出がより発展する大きなチャンスとなったはずです。

それゆえに、今後そうした懸念の払拭や問題解決に努めてどのように協定に参加してもらうかが、日本が成長するための課題になります。

まとめ

グローバル化した世界経済発展を目的とした連帯の一つですが、インドが参加せず課題を残したスタートとなりました。また、他の似た取り組み同様にデメリットも生み出してしまうため、諸手をあげて喜ぶことは出来ないと考える人も多いに違いありません。しかし、同時にこれにより今後の日本の目覚ましい発展が期待できます。

国の情況に関わらず、全ての国の「人」に経済的な恩恵をもたらす連帯が出来てほしいものです。
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