​​海外進出に成功している外食チェーンからヒントを得よう

はじめに

海外に進出して成功している外食チェーンはたくさんあります。

例えば、誰もがご存じのマクドナルドやケンタッキーは世界中で有名ですね。外国へ行った時、見慣れたファストフード店があるとホッとするものです。テレビ番組でもよく取り上げられますが、その土地に合わせたメニューがあり、現地の人たちにも愛されています。

では、日本の外食チェーンはどうでしょう?
マクドナルドやケンタッキーほど世界中で有名ではありませんが、海外進出して成功している外食チェーンがあります。

ここでは、外食チェーンの海外展開のヒントを見てみることにしましょう。

成功している日本の外食チェーン

吉野家

牛丼でおなじみの吉野家ですが、海外にも数多く進出しているのをご存じでしたか?

海外進出の歴史と現在の店舗数

吉野家の海外展開は1975年にアメリカから始まりました。その後、台湾を皮切りにアジアへ進出し、1990年代には未開拓の地域での出店を加速させ、店舗数を順調に伸ばしてきました。2000年代になると、進出した国や地域で吉野家ブランドが広く認知されるようになってきました。

2021年現在、海外に940店舗出店しています。そのうち、アメリカに104店舗、台湾に63店舗、中国に607店舗あります。さらに1500店舗を目指して事業拡大を推進しています。

参照:YOSHINOYA HOLDINGS

https://www.yoshinoya-holdings.com/

アメリカの店舗とメニューはどんな感じ?

アメリカの吉野家はまず、店舗の広さが違います。注文するカウンターも広々としています。アメリカ人と日本人の体格の違いでしょうか?

メニューもかなり現地の人の好みや習慣に合わせている感じですね。ボリュームや牛丼以外のメニューもアメリカナイズされています。

パックに入ったコンボセットがメジャーなようですね。好きな物2品と野菜を選べるコンボセットが日本円で約910円!例えば、牛丼とスイートチリシュリンプとコールスローという組み合わせがあります。他にもポテトや照り焼きチキンなどと組み合わせることができます。

牛丼がメインの日本のメニューとは違いますが、おいしそうです。

中国でのメニューや店舗はどんな感じ?

吉野家は中国にもあります。1992年に中国・北京に第1号店がオープンしました。海外の店舗中、なんと半分が中国にあるんです。2005年には、消費者が最も愛するブランドとして表彰されました。

日本では、お手頃なファストフードのイメージですが、中国ではレストランという位置づけです。ですから、日本のようなカウンター席はなく、テーブル席だけです。

牛丼以外のメニューがとても充実しています。照り焼きチキン丼、サバ丼、ラーメンまであります。サイドメニューにおでんもあるんですよ。2020年からは新メニューとして、鍋料理が登場しました。一番人気は日本風すき焼き 48元(日本円で約870円)です。立派な日本料理店ですね。

値段は日本でいう小盛が25元(約400円)です。中国で一般的なランチが20元くらいなので、若干高めという感じです。

肝心の味はどうでしょうか?以前、中国・武漢のイオンモールに入っている吉野家で食べたことがあります。日本の吉野家と同じ味を期待していたら、あれ?という感じでした。やはり、現地のお客さんがターゲットなので、彼らの味覚に合わせていたのでしょう。何かが足りない、という感じがしました。お米は比較的、日本に近い感じでおいしかったです。

成功のための秘訣の一つ

日本の外食産業が海外で成功するための秘訣の1つはローカライズです。日本語で言うと「地域化」です。

ローカライズ

牛丼は日本料理ですが、お店に行けば安くおいしく食べられるので、家庭ではあまり作られることはありません。牛丼は外食向けのメニューとみなされているので、吉野家は日本では成功していると言えます。

では、海外で牛丼はどれほど受け入れられているのでしょうか?

実は、1975年にアメリカ、デンバーに吉野家1号店がオープンしました。パン食文化のアメリカで、米食文化は受け入れられたのでしょうか?ヒントは、牛丼は米メニューでありながら、牛肉メニューであるということです。

コロラド州デンバーはステーキが有名な都市なので、牛丼をアメリカ風にアレンジした味付けが受け入れられたようです。味だけでなく、量も現地の人に合わせてきました。つまり、これが地域に合わせたローカライズです。

中国の吉野家が目指すところは、「速さ」ではなくグローバルなブランド・文化をグルメを通して「体験」することだそうです。それで、味やメニューを中国人の好みに合わせて、中国にいながら日本の味や高い衛生基準、日本の文化を体験できるようにしたことが成功の秘訣といえます。

ケンタッキーのローカライズ例

日本企業ではありませんが、中国で成功しているケンタッキーはどのような工夫をしているでしょうか?

中国に初めて進出したアメリカのファストフードはケンタッキーです。ですから、中国ではマクドナルドよりも親しまれています。

メニューも中国人好みのものが取り入れられています。例えば、日本の定番は「オリジナルチキン」ですが、中国では「手羽先」です。日本にはないメニューです。

メニューの数はとても多いです。バーガー系だけで24種類、サイドメニューも31種類以上あります。その中にはご飯類もあり、ケンタッキーなのに牛丼もあるんです。

モーニング用のメニューもかなり中国人の習慣を意識しています。「お粥」のセットや、「油条」という揚げパンの一種と豆乳のセットもあります。これらは一般的な中国人の朝食メニューなんです。

北京店では、定期的に新作発表会があり、「ジャージャー麺」や「甘酒」もあります。新商品の開発に力が入っています。

中国ではキャッシュレス決済がかなり普及しているので、注文用のタッチパネルを使って注文します。進んでますね。

店舗も非常に広いです。中国で見たケンタッキーは、ほとんどが2階までありました。友達とおしゃべりしている人、子供を遊ばせに来ている人、勉強している学生、昼寝をしている人など、いつもたくさんの人でにぎわっていました。中国人は外で食べたり、おしゃべりしたりするのが大好きなので、広いフロアは彼らのニーズに合っているんですね。

中国人は元々鶏肉好きです。企業として中国人に寄り添う姿が、中国で受け入れられている大きな要因なのでしょう。

おわりに

外国進出に成功する秘訣の一つは「ローカライズ」であることが分かりました。もちろん、他にも様々な要素がありますが、現地の人に受け入れてもらえなければ発展することはできないので、大事な要素です。

現地の人に喜ばれて受け入れてもらえれば、その人気は高まります。評判が広がれば、店舗を増やしていくこともできます。

吉野家だけでなく、海外に進出している外食チェーンはたくさんあります。コロナ禍で苦戦しているかもしれませんが、現地の人たちに寄り添って「ローカライズ」に力を入れるなら、きっと世界的に有名な日本の外食チェーンになれるはずです。

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