安さだけじゃない、観光関連サイトの成功要因

WEBサイト,プラットフォーム

公益社団法人日本観光振興協会が、ネット行動分析サービスを提供する株式会社ヴァリューズ(本社:東京都港区)と協同で、2018年の観光関連ウェブサイトの年間閲覧者数を調査しました。コンテンツが充実し、予約がしやすいサイトが上位を占める結果となっています。

2大王者、温泉のじゃらんnet、ビジネスの楽天トラベル

「旅行・交通」の分野の観光情報は閲覧者のターゲティング、コンテンツの充実が成功要因になっているようです。

(引用元:株式会社ヴァリューズ)

パソコン経由の検索では、「じゃらんnet」「楽天トラベル」「トリップアドバイザー」の順となっています。どこも、ほぼ前年並みの閲覧者数を獲得しており、安定した集客状況がうかがえます。

じゃらんnetは、国内旅行雑誌「じゃらん」から出発したサイトで、温泉宿の掲載が多くなっており、観光に強いといえます。「厳選かけ流し」「にごり湯」といった絞込みもできます。楽天トラベルは、ビジネスマン向けの予約サイト「旅の窓口」から始まり、ビジネスホテルの掲載が充実しています。検索フォームのデフォルトは大人1名になっています。

じゃらんnetは、予約確定後もポイントの額を変更でき、ポイントはPontaポイント 1% + じゃらん限定ポイント 1%、ポイント利用上限は1回につき100,000ポイントまで、楽天トラベルは、予約確定後にポイントの変更はできず、ポイントは通常1%(楽天スーパーポイント)、ポイント利用上限は1回につき30,000ポイントまで、と違いはありますが、キャンセル確定後のシェアや取引額は両者ほぼ拮抗しているとみられます。

同じカテゴリーの、スマートフォンからの検索ランキングです。

(引用元:株式会社ヴァリューズ)

2017年の同様の調査では、「旅行キュレーションメディア」の「RETRIP(リトリップ)」が3位でしたが、2018年は10位でした。閲覧者数は前年割れをしています。ヴァリューズ社では、「Instagramの流行により、観光情報をSNSで得るユーザーが増えていることも背景として考えられます」と分析しています。一方、若い女性をターゲットにしたコンテンツが充実している旅の情報サイト「icotto」は、閲覧者数が大きく増加しています。SNSへのシフトが進む中での変化といえます。

格安旅行の検索・比較サイト「LINEトラベルjp」も、大きく伸びています。国内外の格安旅行の最安値比較ができるだけでなく、「バリ島ウブドで棚田ウオーキング」「ねぶた祭りはひとつじゃない」など、個性的な観光ガイド記事も豊富で、人気の理由となっています。

予約しやすい都道府県公式観光情報サイトが人気

都道府県の公式観光情報サイトは、パソコンでは、東京都の「GO TOKYO」、山梨県の「富士の国やまなし観光ネット」、長崎県の「ながさき旅ネット」の順になりました。

(引用元:株式会社ヴァリューズ)

スマートフォンでは東京都の「GO TOKYO」、三重県の「観光三重」、長崎県の「ながさき旅ネット」の順でした。

(引用元:株式会社ヴァリューズ)

東京都の「GO TOKYO」が、PC・スマートフォンともに、2017年に続き1位です。月ごとにイベント情報が掲載され、ビアガーデンやバラ祭りなど、きめ細かく紹介されています。「富士の国やまなし観光ネット」では、予約可能なツアーのカレンダーが表示され、大月での森林ヨガ体験、わさび収穫体験、ワイナリーをタクシーで巡るツアーなど、コンテンツも個性的な内容です。

「ながさき旅ネット」は、閲覧者数が前年よりも約1.4倍になりました。2018年7月、長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産が世界文化遺産に登録されたことが、増加を促したようです。ここも、ウェブサイトから直接旅の予約が可能になるなど、予約の利便性を高めたことが閲覧者数の増加につながっていると考えられます。

トリップアドバイザーは豊富な口コミで躍進

観光に関する検索から流入者が多かったサイトのランキングです。

(引用元:株式会社ヴァリューズ)

トリップアドバイザー、じゃらんnetの順です。両者は、前年はわずかな差でしたが、2018年はトリップアドバイザーが前年比1.3倍と大きく伸びました。アメリカを本社とし、世界中の観光地を網羅している圧倒的なコンテンツの充実と、利用者の口コミ情報の豊富さが閲覧者数増加の要因になったと考えられます。

トリップアドバイザーでは、利用者の口コミが投稿されたホテルが自動的に登録されます。ほかのサイトには掲載されていないような小さい海外のホテルも登録されています。利用者の評価が良い情報も、ネガティブな情報も、両方を見ることができるので、予約の際の参考にしている人が多くなっています。

そのほか、ジャンルを問わず情報が集まっている「NAVERまとめ」などへの「観光」検索流入者数は減少していました。ヴァリューズ社では、「『icotto』や、『そとあそび』など特定ターゲットに焦点を当てた観光メディアが、ユーザーニーズに合った情報を提供できるようになったことを示す一つの指標といえるかもしれません」と分析しています。ヴァリューズ社の調査レポートはこちらです。https://www.valuesccg.com/knowledge/report/travel/021/

おわりに

販売プランの充実や価格の安さに加え、SNSへのシフト、口コミ情報など、観光関連サイトの人気要因も変わってきています。インバウンド対策にも、これらの変化をふまえることが重要といえるでしょう。

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