ベトナムの若者最新事情をリサーチしてみた【2020年版】

ベトナム

新型コロナウィルスの蔓延に伴い、中国脱出の政府支援が行われるなど、企業は中国から別のアジアへと関心が移りつつあります。そんな新たな市場として注目を集めているのが、アジアで急成長を遂げ、存在感を増しているベトナムです。

今回はベトナムの若者たちのリアルな姿を捉えたアンケート結果をもとに、ベトナムの最新事情を紹介してきます。

アンケート調査について

今回のアンケートはベトナムの18歳から25歳の男女436人と、12名のインフルエンサー(フォロワー数は71,000人~1,400人)を対象にグループインタビューを行なったものです。

まさに、今のベトナムの若者たちの最新事情を掘り下げた内容となっています。なお、調査は株式会社アットグローバルと提携しているリサーチ会社「Q&Me」によって行われました。

お金の使い道

食費・飲み物代100万ドンファッション59万7000ドン
エンターテインメント46万4000ドン勉強・学習65万4000ドン
美容・メイク41万ドン交通費45万8000ドン
携帯電話・パソコン38万6000ドン家賃96万ドン

今のベトナムの若者の消費傾向はご覧のようになっています。なお、「ドン」はベトナムの通貨の単位で、現在(2020年8月)のレートで「1ドン=0.0046円」「1円=217.42ドン」です。食費の100万ドンがだいたい4,600円となります。

全体的な傾向は日本人とあまり変わらないように思えます。ただ、経済成長著しいベトナムの若者は上昇志向の高い人が多く、勉強・学習の意欲が高いことで知られています。このことは、このデータからも窺うことができますね。

好きなファーストフード・カフェ

次は、ベトナムの若者に人気のファーストフード・カフェのランキングです。調査したところ、以下のとおりとなりました。

ベトナムはカフェ人気が非常に高く、特に今はタピオカのブームが続いていることもあってタピオカミルクティーを提供する店が多くランクインしています。例えば、「GongCha(貢茶)」や「Royal Tea(皇茶)」などは、日本でも有名なタピオカミルクティーのお店ですね。

このランキングで興味深いのは「ロッテリア」が6位にランクインしていること。ベトナムのロッテリアは韓国ロッテリアが出店しているもので、ベトナム全国で200店舗以上を展開するメガチェーンに成長しています。マクドナルドを差し置いてここまでの成功を収めたのは驚異的です。

韓国ロッテリアは2015年頃までは格安路線を貫き、出店数を増やして認知度を上げることに注力しています。例えば、国営系列のアイス店「チャンティエンアイスクリーム」でアイスクリームを10,000ドン(約50円)で販売しているところに、ロッテリアではアイスクリームを3,000ドン(15円)で販売していました。圧倒的な安さが理解してもらえると思います。

このような値段設定の低さもあって長らく赤字だったそうですが、その甲斐もあって購買力の低い若年層を中心に高い人気と知名度を得ました。2016年頃に営業利益の水増しによる赤字隠しが発覚したことなどから方針を転換し、現在は特別な安さはなくなっていますが、それでもこれまでに確立したブランドイメージのおかげで高い人気を維持しています。

問題はあるものの、それでも韓国ロッテリアの戦略はこれからベトナムに進出するチェーン店にとって参考にできるのではないでしょうか。

若者の飲食について

情報化社会の今、情報は何もしなくても入ってきます。しかし、ベトナムの若者はそういった情報を盲目的に信用するのではなく、「誰の情報なのか」を重視しています。CMや広告等で企業からもたらされた恣意的な情報よりも、利用者や購入者などからもたらされる「生の声」を重視しているのです。そのため、「口コミ」の影響力が非常に高いとされています。

そして、口コミの影響力が高いため、人気者になりたい若者は積極的に口コミを書こうとします。日本の若者が「バズる」ためにTikTokやインスタで動画・画像をアップするのと同じように、ベトナムの若者は口コミを書くわけですね。

そのため、新しい店ができると積極的に赴く傾向があります。彼らは自分が最初のレビューアーとなり、そのレストランの口コミの先駆者となりたいのです。もちろん、事前の情報収集も怠りません。事前にお店のFacebookの写真を見て、美味しそうか、インテリアはどうかなどをチェックしてから出向きます。

また、ベトナムでは今年から飲酒運転の罰則が強化されたことが影響し、ビールの消費量が大幅に下がるという現象が起きています。これまでのベトナムでは飲酒運転の罰則がゆるく、違反しても1,000,000ドン(4,600円)~6,000,000ドン(27,680円)程度の軽い罰金しか科せられませんでした。そのため、平気で飲酒運転をする人間が後を絶たず、毎年重大な事故が起きていました。

そんなベトナムで昨年、飲酒運転による事故で亡くなった母親の傍らで泣く男の子の悲痛な写真が拡散。世論が一気に飲酒運転の厳罰化に流れ、今年から罰則が強化されました。これに伴い若者の行動に変化が起き、ビールの代わりにノンアルコールビールが選ばれるようになっています。また、お酒を飲む場所もなるべく家の近くを選ぶようになりました。

好きなファッションブランド

1位アディダス
2位GUCCI
3位ナイキ
4位H&M
5位Zara
6位シャネル
7位Việt Tiến 
8位canifa 
9位ivy moda
10位gumac

1~6位までの上位を欧米ブランドが独占、7~10位に地元ベトナムのブランドが続いています。残念ながら、日本企業は圏外になってしまっています。

一応、ユニクロはベトナムでも知名度はありますが、認識は「日本製らしく素材が良く耐久性はあるものの、デザインがややベーシックでトレンド要素に欠ける」とのことです。

メイク・ビューティー

日本人の感覚からすると少し意外かも知れませんが、ベトナムでは男女ともに美肌に気を使う若者が多い傾向にあります。ビタミンやコラーゲン、オメガ、ローヤルゼリーなどのサプリメントが人気の他、肌ケアのフェイスマスクなどにもお金にかけているようです。

また、化粧品では韓国のメイク用品に人気があります。ちょうど良い価格設定とナチュラルメイクが印象的な広告が女性人気を集めている要因です。近年、ベトナムを始めとした東南アジアではK-popが人気があります。韓国のメイク・ビューティーが人気なのには、こういった部分も影響があるようです。

また、広告よりも利用者の生の声を重視するベトナムでは「Beauty Vloggers(ビューティー ブイロガー)」の影響力が強く、購入にあたってはブイロガーたちの動画を参考する人が多いようです。

スマホやアプリについて

経済成長著しいベトナムではスマートフォンの普及も進んでいます。今回の調査対象の若者のうち、自分専用のスマホを持っているの方は93%にものぼりました。なお、よく利用するアプリは以下のとおり。

ベトナムはFacebookが圧倒的な利用者数を誇り、長らく1位に君臨しています。YoutubeやInstagram、TikTokなどのおなじみのアプリも並んでいますが、ベトナム発のアプリもいくつかクランクインしていますね。例えば、Zaloはベトナム発のメッセージアプリでベトナム版LINEのような存在です。

各アプリに対する印象

facebook 

 Facebookは簡単に色々な人とやり取りができるため、友人やフォロワーとの繋がりを作ってくれる最適なツールだと考えているようです。

一方で、簡単に個人情報を得ることができてしまうことなどもあってか、セキュリティーの面での不安を持っている方も多いようです。また、口コミなどで情報収集に役に立つ一方、情報が玉石混交なので、何が正しい情報で何が間違った情報なののか見極める目が必要とされるとのこと。

Instagram

InstagramはFacebookよりもクオリティの高い写真が多く投稿されており、旅行風景の画像や情報を知りたいときに最適のツールという印象。他のアプリよりもリアルで信頼できる情報を得られるイメージが有るようです。

UIが洗練されており、セキュリティーが良い(プライベートモード)のも好評なようです。また、海外のインフルエンサーや芸能人の多くがInstagramを利用しているので、フォローすることで海外のトレンドをつかめることも良いポイントとのこと。

Youtube

見て楽しい動画、聴いて楽しめる音楽、一緒に楽しむゲーム実況動画など、エンターテイメントに優れたアプリケーションとして知られています。ブイロガーから様々な情報を得られる点や、登録者数を多く集める事ができれば大金を稼げるという夢のある部分が好印象なようです

TikTok

見て笑顔になれるようなクリップが多く、また自分でも気軽に投稿できて楽しめるアプリという印象。視聴でも投稿でもストレス解消ができるツールとして人気です。また、世界のホットなトレンドを簡単につかめることや、マイクロインフルエンサーでもお金を稼ぎやすい点なども好評な模様です。

まとめ

マスコミでは出てこない、ベトナムの若者のリアルな姿が分かっていただければ幸いです。

ベトナムと聞くと貧しい発展途上国で、皆が農業をしながら質素に暮らしている――そんなイメージを持っている方が今も少なからずいると思います。

しかし、今回ご紹介したように、実際にはそんなイメージは過去のもの。いつまでも古いイメージのまま取り残されていては、大きなチャンスを逃すことになります。ぜひ、今回ご紹介した「ベトナムの若者の最新事情」を活用し、チャンスをつかみ取ってくださいね。

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