無名のコーヒー大国・ベトナムを探る
コーヒー豆の生産地というと、ブラジル、コロンビア、エチオピアが脳裏に浮かぶかもしれません。また、ホンジュラス、グアテマラなどをイメージする人もいるかと思います。しかし「ベトナム」を思い浮かべる人は、あまり多くないでしょう。
「なぜベトナムなのか?」と思われるかもしれませんが、実は意外なことに、ベトナムは世界で2番目にコーヒー豆を生産している国なのです。
ここでは、あまり知られていない「無名のコーヒー大国・ベトナム」について探っていきます。
生産量は世界で第2位
まず下記のランキングをご覧ください。こちらは「FAO(Food and Agriculture Organization)」が2020年に発表した、2018年時点でのデータとなります。
世界のコーヒー生産量TOP10(2018年時点)
- ブラジル
- ベトナム
- インドネシア
- コロンビア
- ホンジュラス
- エチオピア
- ペルー
- インド
- グアテマラ
- ウガンダ
このように、ベトナムはコーヒー豆の生産量で世界第2位を誇ります。
しかしコーヒーの生産地というと、ブラジル、コロンビア、エチオピアなど、南米やアフリカのイメージが強いのではないでしょうか。コーヒーの生産量の多さからすると、ベトナムはもっと「コーヒー」のイメージが強くても良さそうなものですよね。なぜ、ベトナムはコーヒーの産地というイメージから乖離(かいり)しているのでしょうか。
有名ではない理由は豆の種類
ベトナムのコーヒーが有名ではない理由は、その「品種」にあります。
多くの有名なコーヒー生産国は、「アラビカ種」というコーヒー豆を栽培しています。このアラビカ種は、世界のコーヒー生産量の60%を占めているともいわれています。アラビカ種は栽培が難しい品種なのですが、香り高く味わい深いのが特徴です。高級なコーヒー豆と言えるでしょう。
それにに対し、ベトナムで栽培されているコーヒー豆のほとんどは「ロブスタ種」と呼ばれるものです。ロブスタ種は栽培がしやすく生産量も多いのですが、酸味と風味が乏しく、苦みと渋みが強い品種です。そのため、安価に取引きされ、ほとんどがインスタントコーヒーや缶コーヒーの原料になっています。
ですから、コーヒー好きの人たちや、より良い(高品質な)コーヒー豆を厳選したい人たちは、「アラビカ種」を選びます。残念なことに、ベトナム産のロブスタ種は候補から外されてしまいます。一方、インスタントコーヒーや缶コーヒーでは、メーカーやブランドにこだわっても、豆の品種や産地にまでこだわることは少ないでしょう。そのため、ベトナムの「ロブスタ種」は生産量が多くて世界中で飲まれているのにもかかわらず、あまり認知されていないのです。
ベトナムコーヒーの良さに気づいた人も
ご紹介したように、ベトナムで栽培されているコーヒー豆のほとんどは「ロブスタ種」ですが、少数ですが「アラビカ種」を栽培している農家もあります。ベトナム産の「アラビカ種」は、味や香りが非常に良く、コーヒー好きをうならせる高品質な豆です。
そんなベトナムコーヒーの良さに気が付いた、一人の日本人がいます。ベトナムのホーチミンにコーヒー店を構える、山岡清威さんです。
山岡さんは、もともと自分の店で外国産のコーヒーを中心に販売していました。しかし、ある時サンプルでもらったコーヒーを飲んでみたところ、その美味しさに感銘を受けたというのです。
べトナムにはこのような美味しいコーヒー豆が生産されているにもかからず、生産者のほとんどが加工技術や知識がなく、生豆のままで買いたたかれているという現状がありました。コーヒー豆の生産では十分な収入が得られず、農園の売却に踏み切る農家も珍しくはありませんでした。
このことに危機感を覚えた山岡さんは、「どうにかコーヒー豆の生産に携わりたい」と思うようになり、現地の生産者と関わりを持ちながら、様々な取り組みを始めました。現在では生産者の家の敷地に住まいを構え、敷地内に「焙煎器」を設置して、ベトナムコーヒーの研究を重ねています。
「たとえ世界は変えられなくても、自分のまわりの小さな世界を少しでも良くしたい」ー 山岡さんはこのような信念を持って「シングルオリジン」、特別なベトナム産コーヒーの追求に励んでいます。ベトナムブランドのコーヒーが世界進出する日を期待しましょう。
*参照記事:こちらからご覧ください。
まとめ
ベトナムは、世界で2番目にコーヒーの生産量の多い国です。
しかし、インスタントコーヒーなどに使われる安価な「ロブスタ種」が主流なので、コーヒー生産国としてのイメージがついていません。しかし、ベトナム産「アラビカ種」を生産している人たちもおり、ベトナムのコーヒーの良さに魅せられてしまった人たちもいます。今後は、ベトナムコーヒーが変わってゆくかもしれません。
今はまだ世界的に「ブランド」として認知されていませんが、「コーヒーといえばベトナム」といわれる日は近いかもしれませんね。今後に期待しましょう。
株式会社アットグローバルは、ベトナム語翻訳はもちろん、ベトナム向けマーケティングも手掛けています。利用を検討しているなら、ぜひお気軽にご連絡ください。全力でサポートいたします。