旧正月とコロナ禍・シンガポール編

ウィズコロナ時代を生き抜くための取り組み,シンガポール

新型コロナウイルスの流行は、人々のライフスタイルに大きな影響を与えました。本来なら人々が実家に帰省する「旧正月」も、コロナ禍の影響を大きく受けました。ここでは、今年のシンガポールの旧正月の様子をお伝えします。

旧正月の歴史

中国をはじめとして、シンガポール、ベトナム、マレーシアなど一部のアジアの国では、「旧正月」が盛大な祝日となります。日本人には、なじみのない習慣です。「旧正月」という名称から何となく意味は分かっても、本当に理解している人は少ないのではないでしょうか。

旧正月とは、「太陰暦(たいいんれき)における年始」のことです。太陰暦とは、月の満ち欠けの周期を基にした暦のことをいいます。ちなみに、私たちになじみのある西暦(グレゴリオ暦)は「太陽暦(たいようれき)」と言い、地球の公転周期を基にして作られた暦です。

太陰暦の歴史は非常に古く、一説によると太陰暦の起源は、古代メソポタミア文明にまでさかのぼります。つまり、紀元前2000~3000年頃にはすでに使われていたということになります。また、中国においても紀元前1000~2000年頃には使われていたとされています。

旧正月を「祝う」ようになった歴史も非常に古く、起源は殷王朝(紀元前16から11世紀頃)で、神や祖先を祀る儀式が変化したものとされています。

現在では、旧正月は「神に新しい年の祝福を願い求める日」であり、「古いものを終わらせ新しいものをスタートさせる日」であるとされています。家族や友人、親族が一堂に会し、その1年が幸福であることを祈ります。

シンガポールの旧正月の特徴

シンガポールは「中華文化」が根強い地域です。例えば、地下鉄の建設や都市開発を行う時に、中国の「風水」で路線や建物の配置を決めているほどなのです。民族構成をみても、中華系が74%も占めていて、シンガポールは“中華圏の国”なのです。でも、あまりそのイメージはないかもしれませんね。

中国の旧正月というと、「赤」が思い浮かぶと思います。シンガポールでも「赤」は縁起のよい色とされています。旧正月になると、街が「赤」一色に染まります。人々も赤い服を好んで着るのだそうです。

ご覧のように、家族お揃いで着れる「富」の文字が入った赤いTシャツが、目玉商品として売られていたりします。この感覚は、なかなか日本人には理解しがたいものですね。

また、スーパーの店頭には縁起物の「みかん」が並び、人々が箱買いしていきます。これは、みかんの漢字「橙(中国語cheng/チェン)」の発音と「成(中国語cheng/チェン)」の発音が一緒であることから、「成功」することにつながると考えられているためです。また、「ポメロ」と呼ばれる(大きな)グレープフルーツに似た果物も、旧正月によく食べます。こちらも縁起物で、「富」のシンボルとされています。

また、旧正月に欠かせない料理が、「ユーシェン(Yuu Sahng)」です。主にシンガポールとマレーシアで食べる料理で、「豊かになる」という意味をもつ「余升(中国語yusheng/ユーシェン)」と発音が同じであることから、縁起物として食べられるようになったと言われています。

食べ方が特徴的な料理で、綺麗に盛ったあとに「ローヘイ(すくい上げるの意)」と言いながら箸で高く持ち上げて混ぜます。高く混ぜれば混ぜるほど、テーブルが汚れれば汚れるほど縁起がいいとされています。

しかしコロナ禍の今年は……。

今年は、新型コロナウィルスにより、正月料理の「ユーシェン」の食べ方に大きな影響が及んでしまったようです。

前述したように、ユーシェンは皆で「ローヘイ! ローヘイ!」とかけ声をあげながら箸で持ち上げてかき混ぜる、というのが風習です。声を上げて盛大にやりたいところでしょうが、今年はかけ声による「飛沫」を避けるために“サイレントローヘイ”を強いられることになりました。人は「ローヘイ!」が言えませんから、代わりに「アプリ」が「ローヘイ」と声をあげてくれたのだそうです。今年は、ちょっと残念なお正月になってしまいました。

また、来客の人数も1日8名に制限されるなど、コロナの影響で様々な不便が強いられた旧正月となりました。

まとめ

華僑が多く住み、人口の7割以上が中華系のシンガポール。この時期は例年であれば旧正月のお祝いムード一色ですが、今年は新型コロナウィルスの影響で何とも窮屈な旧正月になってしまいました。来年は、いつものように賑やかな旧正月を迎えたいと思っていることでしょう。コロナの終息を願うばかりです。

株式会社アットグローバルは中国語やマレー語の翻訳はもちろん、インバウンドコンサルティングの無料相談サービスも行っています。シンガポール向けインバウンドについてご質問ご要望ありましたら、ぜひ一度ご相談ください。

インバウンドプロモーション外国語サポートを必要とされる方は、
ぜひ「アットグローバル」にご相談ください。
見積もりやご相談は完全に無料です。こちら からどうぞ!